インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

浜で映画ロケ

2014-01-19 18:55:18 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
久々にサンセットに間に合うよう、浜に出た。
大きなオレンジ色の入日が西端の波打ち際に架かっていた。

50メートルほど前方に、人がたくさん群がっている。
これはロケかなと思い、近づいたら案の定であった。
黄色いサリーをまとった女優と、薄緑色のTシャツの男優が、音楽に合わせて、ミュージカルシーンを演じていた。

どうもテルグー語、南隣のアンドラプラデシュ州の映画のようで、主人公の男女はとくに際立つ美男美女ということもなく、十人並みだ。
ヒロインは太めで浅黒いが、顔立ちは悪くない。ヒーローはどこにでもいる、ちょっと太目の背の低い男性、南インドの男優はみな、お世辞にもハンサムと言えない輩ばかりである。
これでアクターが通るなら、うちの子なんてイージーパスだ。
キャラクター俳優もいるから、確かにルックスだけとは限らないが。

ミュージックに合わせて、寄り添ったりタッチしたりのラブシーン、保守的な田舎では公のスキンシップはタブーのため、子どもから大人まで興味津々、好奇に駆られた目をぎょろりと向けている。携帯で撮影しているのもちらほら。

見とれているうちに、鮮やかなコーラルに色づいた落陽がまさに落ちなんとしていた。
下三分の一、薄墨の靄に浸されている。
日が没するのを見届けてから、ロケ現場に戻ろうと思っていったんその場を離れたが、きびすを返したときには、ロケは終わっていた。

女優が付き人らしい男と寄り添いながら、歩いていく。
群集に注目されていることが得意そうだ。
顔は悪くないけど、背中の開いたサリーのブラウスから覗く黒い肌がむちっと太って、お世辞にもスタイルがいいとはいえない。
女優も、ローカル映画だと、ほんと十人並みである。

人が群れる合間を、観光客を乗せたらくだや、白馬や、アイスクリーム売りが通り抜けていった。
本日の日中は結構暖かくなって、アイス日和だったのだ。

日曜の浜はたくさんの人が群れていた。
東の沖合いには漁船が多数連なり、大海は残照に白翠に輝いていた。
のどかな渚の光景を満喫した後、背を翻した。
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帰国時持込図書ほぼ読了

2014-01-19 18:19:32 | カルチャー(祭)・アート・本
昨夜、角田光代の「八日目の蝉」を読み終えた。
2011年映画化され、ベストセラーになった作品だから、ご存知の方も多いだろう。
サスペンス紛いのエンタテイメントかと読み進めていったら、純文学的な深いところもあり、読み応えのあるいい作品だった。

解説者の池澤夏樹が書いているように、平易な言葉で書かれているが、「深い作品」でもある。

これで、昨冬帰国時持ち込んだ本は大体、読了したことになる。
浅田二郎の「夏ブリズンホテル」はいまいちだったが、どれもわりと読み応えのある作品ばかりだった。
とくにご贈呈いただいた三冊は、小説が圧巻(「鉄の光」五十嵐勉)、英語教育関連書二冊(「英語教育が亡びるとき」、「英語教育原論」(共に寺島隆吉))も著者が多数の書籍を出しておられせいで文章もこなれているし、内容についてもいろいろ考えさせられた。

しかし、プロの小説を読むと、へこむ。
とくに内容も文章もすばらしいできばえであればあるほど、比べてしまい、劣等感を覚えるのだ。

プロと比べてもしょうがないと思うのだけど。

角田光代は比較的近年読み出したのだが、軽いと思い込んでいた印象が読んでみると、そうでもなく、なかなかの書き手だと感心している。
「八日目の蝉」は読売新聞の夕刊に連載(2005-2006年)された小説だそうで、2007年に中央公論新社から上梓されたらしいが、二年ほど前ベストセラー書として本屋にうずたかく積まれていたことを記憶しているので、映画化に伴って再販、一躍ベストセラーになったということでもあろうか。
2006年中央公論文芸賞に輝いた作品でもあり、ベストセラーには失望させられることが多いのだが、こればかりはさすがだなとプロの面目躍如たるものが感ぜられた。

帰国時、百田尚樹の「ゼロ戦」がベストセラーになっていたが、これもブックオフにそのうち降りてくるだろうから、次回読んでみたい。

宮本輝の大河小説「流転の海」(著者の父がモデル)も六部まで既に刊行されているようで、三部までしか読んでないので、次回は求めたい。
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