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「竹下村誌稿」を読む 240 駅路 11

(岡部の正応院の多宝塔)

朝、防災訓練。熱中症になることを恐れ、町内集合の訓練は中止となった。確かに、今日は日差しが強く、一日、強烈な暑さであった。

訓練参加後、NTさんと「志太の社」見学会の下見に行く。一日掛かりで、バスで巡る時の所要時間を計り、トイレの有無、駐車場の確認などをして来た。巡る寺社には結構トイレがあった。30分置きくらいにはトイレが使えそうだ。バスの停められる駐車場はなかなかなくて、路駐を御願いしなくてはならない所もありそうであった。巡る場所が10ヶ所は、計算では時間内に回れそうであったが、お年寄りが多く、長い距離を歩いたり、急な坂を上るようなところはないけれども、乗り降りや移動など、予想以上に時間が掛かることは覚悟して置かねばならない。押して来たら、何ヶ所か飛ばすことも必要になると思った。

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「竹下村誌稿」の解読を続ける。

承久の難より三年目なる、貞応二年(1223)四月、源光行海道記に、

十二日、池田を立ちて、くれぐれ行けば、林野同じさまなれども、所々道となれば、見るに従いてめずらしく、天の中川を渡れば大河にて、水面三町ばかりあれば、舟にて渡る。早く浪さかしくて棹もさしえねば、大なる(えぶり)をもちて横さまに水を掻きてわたる。(中略)山口と云う今宿を過れば、道は旧に依って通ぜり。野原を跡にし里村をさきにして、打ちかえ/\過ぎ行けば、事のままと申す社に参詣す。云々。
※ くれぐれ(暗々)- 難渋して行くさま。苦労して。
※ 林野(りんや)- 森林と野原。
※ 朳(えぶり)-農具の一。長い柄の先に横板のついたくわのような形のもの。土をならしたり、穀物の実などをかき集めたりするのに用いる。えんぶり。ここでは、櫂(かい)を示す。


(やしろ)の後ろの小川(逆川)を渡れば、佐夜の中山にかかる。この山をしばらく登れば、左に深谷、右も深谷、一峰長き道は、堤の上に似たり。両谷の梢(こずえ)を眼下に見て,群鳥の囀(さえず)りを足の下に聞く。谷の両岸は高く、また山の間を過ぐれば、中山とは見えたり。山は昔の九折の道、古きが如し。梢は新たなる梢、千条のみどり、皆な浅し。この処は、その名、殊に聞こえつる処なれば、一時(いっとき)の程に百般立ち留りて、うち眺め行けば、秦のの雨の音は、濡れずして耳を洗い、商(殷)の風の響きは、色あらずして身にしむ。
※ 群鳥(むらどり)- 群がり集まった鳥。
※ 九折(きゅうせつ)- 坂道などで、曲折が多いこと。つづらおり。
※ 千条(せんじょう)- 糸状をなした物がたくさんあること。
※ 百般(ひゃっぱん)- いろいろな方面。さまざまな事柄。
※ 蓋(がい)- かさ(傘)。
※ 絃(げん)- 弦楽器のこと。


  わけ登る さよの中山 なか/\に 越えて名残りぞ 苦しかりける
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