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新幹線不通の鹿児島から戻る

(休憩列車の窓から)

昨日までに仕事を終えて、鹿児島から今朝帰途についた。月曜日に鹿児島へ入ったとき、その前日、川内-出水間の大雨で、九州新幹線が一時運転を見合わせたと聞いていた。昨日から再び烈しい雨になって、今朝も新幹線不通の予感があった。鹿児島中央駅へのタクシーの中で、ラジオの交通情報が川内-出水間の大雨で、九州新幹線、鹿児島中央-熊本間が早朝から運転を見合わせていると報じていた。運転手に前回の不通はどれくらい続いたのかと聞いたところ、4時間ほどだと教えてくれた。今日もおそらく最低でも覚悟しなければならない時間だと思った。

窓口の女性は指定は出来ないが特急券だけなら発行できるという。購入しながら、トンネルばかりのように見えるのに、どうして雨に弱いのかねぇ、と意地悪な質問をしてみた。

改札前の広い通路には大勢の乗客が、改札口を中心に半円の同心円を描くようにたむろしていた。改札口の前で、何人かの駅員が乗客たちの質問に答えていた。といっても、何度も放送で繰り返されている、運転見合せと復旧の見込みは立っていない、という情報以上のものはないだろう。改札口からどっと人が降りてきた。川内-鹿児島中央間は通勤電車に使われていて、それが着いたようであった。川内-鹿児島中央間はピストン輸送で動いていた。

およそ4時間の待ち時間を覚悟して、その時間をどうして過ごすかが課題となった。どちらにしても九州新幹線に乗るしか帰る方法は無いのだから、改札の外で待つ手は無いと思った。駅員に中へ入ってよいかと聞くと、どうぞという。ホーム下の広い待合広場にも200人以上の人がいた。椅子席も埋まってコンクリート上に座り込んでいる乗客も見える。広場の室温がやや上がって息苦しく感じ、いっそのことホームへ出ようとエスカレーターに乗った。

ホームは気温が下がって気持がよい。乗客はほとんど見えなかった。両側に車両が止まって扉も閉まっている。待合室の座席はほぼ埋まっていたが、一人の青年が3人分ほど荷物で席を占めていたので、譲ってくれないかと話すと、今トイレに行っているのでという。こちらへどうぞと、背後の席で呼ばれた。一人座れるように譲ってくれた。

それにしても待合室で4時間近く待つのも厳しいなあと思いながら、本を出して読み始めた。一列車が川内まで限定で出発して行った。間もなく、残った車両を休憩用の車両として開放しますと放送があり、扉が開いた。どうせなら座席がゆったりとした車両と思い、自販機で飲み物を買って指定席の表示のあった車両に乗った。しばらく誰も入ってこなかったが、本を読んでいるうちに何人か来たようであった。しかしあれだけ待っている人が多くいたのに、休憩車両が埋まってこないのは不思議であった。ホームだけでの放送だったのだろうか。

本を読むうちにうつらうつらし、目が覚めて再び読書、そのうちにけっこうしっかりと寝てしまったようだ。周りが何となくざわついて目が覚めた。時間を見ると12時15分、よく寝たようだ。ホームを覗いてみると、どうやら最初の電車が出るようで、この休憩列車がそのまま博多まで行くようだ。車内の電光表示は指定席となっていたから、そばのビジネス客にここは指定席かと聞くと、自分も指定など持っていないという。車掌が指定などと言ったら食いつきそうな様子であった。そのうち、電光表示が自由席に変わり、この列車は全車自由席だと放送があった。12時20分、休憩で座った席のままで、博多行各駅停車のさくらは鹿児島中央駅を後にした。

あとで考えて、おそらく数百人はいたであろう、長時間列車を待った乗客の中で、自分が一番楽に待てたと思った。最初から迷わずに4時間待つ覚悟をし、最も列車に近い所まで行って、早い時間から休憩列車というJRのはからいの恩恵を受けられた。

金谷には午後七時半頃に着いた。昨日、予感したように、帰るのに一日仕事になってしまった。
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