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吉良川、べっぴんさんの店

(吉良川の町並み)

旅の間の書込みで、書き残したことなどを、しばらく書き込んでいきたい。

5月16日、室戸を回って、吉良川という町に差し掛かった。吉良川の町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に、平成9年に指定され、保存活動が進んでいる。町屋の建物は土佐漆喰の外壁に水切瓦の付いた、重厚で装飾的な建物が多く見られる。昔から林業が盛んで良質の木材や薪炭を京阪神に出荷していたが、和歌山から備長炭の製炭技術を学び、良質な備長炭を生産して、それを搬送する回船業とともに町が大変栄えたという。

その町で横丁に「べっぴんさんの店」を見つけ、うどんを食べたことは書き込んだ。少し重複するところもあるが、その話をもう少し書こう。使われなくなった古い家を改装して、高知名物の皿鉢料理なども出す店らしい。町のお上さんたちが10人ぐらいもいただろうか。お店にはお客はいなかった。うどんを頼むと、座敷へどうぞと言われたが、土間のテーブルに座った。靴を脱がなくてよいし、荷物や金剛杖の処置が楽だから。


(「べっぴんさんの店」の中)

暇だったのだろう、何人か寄ってきた。お遍路への質問を一通り聞かれたあと、鯉のぼりとともに土間の側面を飾る大漁旗のようなものについて聞いた。これは節句旗と言って、この地方では男の子の端午の節句に鯉のぼりと一緒に空に掲げる。大漁旗を作っている店が一軒だけあって、節句旗もそこで作ってもらう。昔は武者絵とか金太郎などの図柄と決まっていたが、最近はドラえもんとかピカチューの絵柄になってきた。そういえば。節句旗が揚がっているのを見てきた。


(お接待のデザート)

そのおばさんも、主人と車でお遍路をしていて、ようやく徳島県が終ったところだと話していた。一番からの歩き遍路だと知ったら、これは何か接待をさせてもらわないとならないねえ。そこへ出てきたうどんにはたくさんのデザートが付いていた。相手をしていてくれたおばさんは、ああ、お接待を出してくれてよかった。デザートはお接待らしい。

その代わりに出てきたおばあちゃんは、朝、3時ごろに出発して、一日に17ヶ所の札所を回るバスツアーに参加したことがある。食事もバスの中での強行軍であった。ところがどこかで霊が付いてきてしまい、帰ってから除霊のため先達さんたちに大変面倒をかけ、お金も掛かった。お遍路に行きたいのだけれど、先達さんに止めた方がいいと言われて、その後行っていない。遍路の途中で白いひげを生やしたお大師さんの御姿を見たと話したのもそのおばあちゃんである。この辺りの人は皆んなお大師さんにおすがりすればかなえてもらえる、お大師さんに生かされているという。四国の地にはまだまだお大師さんに対する信仰が根付いているのだと思った。色々なお話をして、そちらの方でお腹いっぱいになり、昔のべっぴんさんに見送られて店をあとにしお遍路に戻った。
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