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李明博大統領の初来日

(庭のプランターの苺)

20日に、韓国の李明博(イミョンバク)大統領が、就任後初来日した。21日、公式行事の間に、民放が企画し収録した大統領と日本の民間人との対話番組が「ニュース23」の枠で一時間余り放映された。韓国の大統領に興味を抱くことは無かったのだが、李大統領は実業家出身の経済に強い大統領として注目していた。

李大統領は大阪に生まれ、戦後すぐに両親と帰国、貧窮の中で苦学して大学に進学した。学生運動も経験し、大学を出たけれども、就職難で、就職できたのが現代建設という中小企業であった。しかし、そこで頑張り、36歳で社長に抜擢され、会長職を経て、その間に現代建設を大企業に発展させた。その後、国会議員、ソウル市長、そして大統領へ上り詰めることになる。韓国の立志伝中の人物である。その半生が韓国のテレビドラマにもなったという。

「コンピューター付ブルドーザー」とあだ名されていた点は、田中角栄元首相を思い起こす。見た目には、細身で温和なニコニコした表情を絶やさない優男にしか見えないが、これだけのし上がってきたパワーを内に秘めているのであろう。

質疑応答が始まった。若い人の質問に、目標は有名大学・大会社である必要はない。自分のいる場所で一生懸命になることが大切であると、何度か形を変えて述べた。このあたりは自分がそうしてきた経験に基づいたものであろう、説得力がある。

盧武鉉(ノムヒョン)前大統領の時代、対米、対日との関係がギクシャクしていた一方、対北朝鮮には太陽政策で融和策を進めてきた。李大統領は経済発展を最優先の公約に上げているように、経済を最優先において、対米、対日の関係改善を目差し、北朝鮮とはまず北朝鮮が核の放棄をすることが前提で、それが出来れば援助が出来るという原点に戻った対応である。北朝鮮がいらつくのも無理はない。

対話は通訳を通して行われた。しかし、李大統領は日本語が判っているように思えた。通訳に聞き返すこともなかったし、質問側が要点を得ないような質問をしても、その受け答えには、的を外したりはぐらかしたりしているところは見られなかった。質問をしっかり分析し、その一つ一つにていねいに答えていく点など、さすがに大会社を背負って立ってきたと思わせるものがあった。

短い対話集会のパフォーマンスで、どこまで本音が出たかは判らないが、発想的には日本人に近いものも感じられ、日韓外交は今後進展することが期待される。ただ、まだまだ大統領の秘められた部分がたくさんありそうで、どこかの棚ぼた首相ではとても太刀打ちできない大統領だと思った。
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