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寺島実郎氏講演会(続き)

(咲き出した庭のサクラソウ)

安倍川の水が一部、完全に伏流水になって途絶えたというニュースを聞いた。あの安倍川の流れが絶えるなど初めて聞く。鮎などの溯上に影響がありそうだ。今日の雨で流れが戻っているだろうか。一方、春節の民族大移動に入っている中国では、時ならぬ大雪で民族大移動に滞りが生じ、浙江省杭州駅前には軍隊が出動して、列車待ちの帰省客のためにテント村が出現しているという。世界各地で気候変動がじわじわと起っている。

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(昨日の寺島実郎氏講演会続き)
世界経済に占める大中国圏(中国に、香港・台湾・シンガポールを加えた経済圏)の比重が年々大きくなって、日本の輸出入において、大中国圏がアメリカを越えてしまった。GDPも、ドイツを追い越し、4兆ドルとなって4.3兆ドルの日本を追い越し、世界第2位になることは時間の問題といわれている。また資源大国として、ロシアやオーストラリアの勢いも目覚しいものがあり、今やそれらの国々の人達にとって、日本の物価は比較的安くなり、買い物ツアーや観光客が日本に大挙して訪れる時代になってきた。

イギリスでは25年前のサッチャー改革以来、グローバル化により経済は成長を続けているが、発展は海外からお金が入ることによる成長で、技術革新とか物づくり面ではさんざんたるものである。10数社ある電力会社は1社を残してあとはすべて海外資本に握られ、自動車産業に至ってはすべて海外資本傘下に入っている。最近、老舗のジャガーがインドの資本に買収されるというニュースはショッキングであった。インドはもとイギリスの植民地であった国である。

小泉改革で日本はイギリスのサッチャー改革の後を追っていると言われてきたが、経済成長は果たせても実産業の部分で海外の資本に蚕食されて良いのか、考慮を要する点ではある。

企業物価指数を見ると、2000年を100とすると07年10月水準で、素材原料は199.5、中間財は115.7、最終財は92.3(うち耐久消費財79.1、非耐久消費財103.7)という極端なギャップを示している。

日本人が営々と蓄えてきた個人金融資産1500兆円が生かされていない。それらの資産は日本株を買うことにもなっておらず、低金利の預金等にあずけられているか、海外に円キャリーとして出ているかである。現在、日本株の60%は海外投資家が持っており、日本の株は割安と言われながら低迷している。もっと日本人の個人金融資産で日本株が買われても良いと思う。

これらの個人資産を都会と田舎の2地域居住の促進などによって個人消費へつなげるとか、金利を2ポイントぐらい上げて、その膨大な利息を個人消費につなげるとか、内需を上げる方策を取らなければ前述のギャップは埋まらず、日本の経済の閉塞状態に出口がないと考える。
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