平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
浅野史郎氏講演会
S信用金庫の新春講演会があって、午後に同行するS氏が自宅まで迎えに来てくれ、出掛けた。講師は元宮城県知事の浅野史郎氏である。講演会は前代未聞のとんでもない始まり方をした。開演20分ほど前に、我々は二列目に座った。誰かがつかつかと入ってきて、マイクの前に立って「マイクのテストです。浅野史郎です」と始めた。ええっ!と思っている間に、これは前座で、早く来たので雑談を始めますと、身辺の話を面白おかしく話し始めてしまった。サプライズである。こんなに面白い人だとは想像していなかった。
講演ではいつもこんな風に早く来て、会場準備ができているか、マイクはOKか、白板は?、客層は?などをチェックするために、講演前の前座をやるようにしているという。これは永六輔さんのまねで、永さんは緞帳前の舞台に足をブランと腰掛けて、講演前の前座をやっていた。
時間が来て、講師の紹介をしてもらいながら、司会者の隣に立って紹介の内容にコメントしたり、やりたい放題という感じであった。講演はすぐに始まった。あれっ、普通ならここである主催者の挨拶もとんでしまった。
「年金」「政治とカネ」「ガソリン」「格差」「ボランティア」などのテーマで話しが進んだ。たとえば、年金問題では、元厚生官僚で、年金の部署にもいたことがある浅野氏は、その根っこに「無謬性」と「密室性」という問題があるという。「無謬性」はお役人は間違うことはない、お役人に任せて置けば間違いないという、国民側の考え方である。「密室性」は年金制度が余りに複雑で、しろうとが説明を聞いても判らないし、聞きたくもないという国民の姿勢である。これってどちらにしても無責任行政を許してしまった国民側に主たる責任があると言っていることになる。だからと言って、行政の怠慢が許されるわけではないだろうと思った。
それぞれのテーマに一家言を持っていることはわかったが、始まりの奇抜さに、講演内容が色あせてしまった。厚生官僚時代の破天荒な活動、知事になったいきさつなど本で読んで知っているだけに、評論家的な話には説得力がない。最後に触れた「NPO地域創造ネットワークジャパン、団塊世代の地域デビュー」についての話は現在、浅野氏が主になってやっているテーマだけあって興味深かった。2007年問題で、定年を迎える団塊の世代が地域社会とどのようにかかわっていくのか。その話をもっとしっかりと聞きたかった。
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