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名草神社三重塔再訪

(名草神社の三重塔)

17日の朝、在所の兄が「どこへ行きたい?」と聞く。1日ドライブに付き合ってくれると言う。「それなら、名草神社の三重塔を見に行きたい」

名草神社の三重塔を見に行くのは何年振りであろうか。まだお袋が一緒だったような気がする。そのお袋も今はベッドの上で、97歳。記憶がまだらで惚けることはあるが、まずまず元気で安心した。このままなら100歳の長寿を迎えられそうだ。

名草神社は但馬の名峰、妙見山の標高800mの地点にある。あたりは巨木の妙見杉が林立する山中である。そこに朱色も鮮やかな三重塔がある。日本で最も高い標高にある塔である。

名草神社三重塔は塔の高さは24.1メートル、一層の間口4.7m、はじめは大永7年(1527年)に島根県の出雲大社に建立された。その後、守護尼子氏が出雲大社本殿の柱に当地の妙見杉を所望し、応諾してくれたお礼に、寛文5年(1655年)、この地に移築されたと伝わっている。


(軒を支える力士像)

昭和62年に解体修理のあと、大雪や倒壊した杉に当って傷ついたけれどその度に改修されて、今も国指定の重要文化財である。この三重塔は記憶していた以上に大きく見えた。一層の四方の軒を力士が支え、三層の軒は見ざる・言わざる・聞かざる・思わざるの四匹の猿が支えている。そんな面白い意匠になっている。


(夫婦スギ根株)

三重塔のかたわらには、高さ57m、幹回り14.5m、樹齢1500年とも言われた夫婦杉が立っていたが、1991年(平成3年)9月の台風19号により倒壊してしまった。現在は幹が巨体を横たえて朽ちるままに置かれているほか、根株の部分には上屋を掛けて保存されていた。

妙見山には小学校高学年の頃、担任の先生に連れられて、数人で一度登った遠い記憶がある。往時は三重塔や健在であった夫婦杉の記憶は無く、名草神社の手前、登り道の両側に平屋の山家が建ち並んでいて、その前の側溝を綺麗な水が音を立てて流れていた。持参した「渡辺のジュースの素」という粉末ジュースを、その流水を汲んで溶かして飲んだのを覚えている。その冷たさと甘い味が記憶に残っている。


(もう一基の名草神社三重塔)

下ってきた八鹿の街角に、もう一基の名草神社の三重塔が建っていた。案内標識代わりの模型だが、かなりしっかりと造られていた。
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