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お米から代替燃料

(庭のベニシウム)

5月15日の、NHKの「クローズアップ現代」で「“休耕田”でコメを作れ ~農業再生へ チャンスを生かせるか~」と題して、休耕田を利用して、家畜の飼料や、代替燃料エタノール醸造用のお米を作るという取組みが進んでいるという話が取り上げられていた。今まで、一貫してうまいお米作りを目指してきたが、今取り組もうとしている米は、田植えはしないで直播きにするなど、手間を最小限に大量生産ができる米作りである。農家の戸惑いも大きい。

放送では全国の田んぼの約40%の100万ヘクタール休耕田があると言っていた。2005年の農水省統計によると、全国の耕地面積345万ヘクタールのうち、田んぼが200万ヘクタールあり、そのうち52万ヘクタールがいわゆる休耕田で、その中でも他の作物が植えられている田んぼが37万ヘクタール、耕作が放棄されている田んぼが14万ヘクタールあるという。放送と農水省の統計では大きく差異がある。これはおそらく兼業農家分の耕作田んぼや放置田んぼをどう扱うかで出来たものと思われる。

一月ほど前には中国などの急速な経済発展によって、世界的に建築材として木材が高騰し、輸入材の総コストよりも国内材の価格の方が安くなり、国内の材木の産地が活況を呈していると報道されていた。

それに引き続き、地球温暖化を止めるため、ガソリンにバイオ燃料の一部を混合使用することが義務付けられる世界的な潮流によって、直接バイオ燃料の原料になる、とうもろこし、サトウキビだけではなく、作付けで競合する小麦や菜種、用途的には食用油や家畜の飼料まで高騰し初めた。そのおかげで価格的に負けて日本の農業のコストでは作れないと思われていた作物がもう一度見直され始めてきたのである。

低迷する日本の農業にとっては朗報であろう。人為的に使用禁止になっていた田んぼが使えるようになり、農家の収入が向上する。一見良いこと尽くめに見えるが、その分、食料品などの物価は確実に騰がるし、またまた耕地として世界の緑地の乱開発が始まり、高騰により食料を得られなくなる貧民層の問題がさらに深刻になる。

我々が車を動かすために人々が飢えるという結果になりかねない。そんな大きな危惧を抱かせる流れである。やはりエタノールで車を動かすのは一次しのぎの対策に過ぎず、省エネ、燃料電池、自然エネルギーの活用などの対策が急がれる。
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