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花ざかりの庭

     (咲きはじめたシモクレン)

例年より寒かった冬を乗り越えて、当家の庭にもようやく春が来て、次々に花が咲き始めている。

木の花を数え上げただけでも、ジンチョウゲ(沈丁花)、コブシ(辛夷)、シモクレン(紫木蓮)、ヒイラギ(柊)、アセビ(馬酔木)などが花を付け始めている。

中でも、今咲き始めて大きく目立つのはシモクレンである。家の庭のコンセプトは「雑木林のような庭」で、基本的にはよそから頂いた雑木が植わっている。買って来た樹木は僅かであるが、このシモクレンはその一本である。

このシモクレンは当家に間違って来てしまった不幸な樹木である。購入したのは20年以上前であるが、あの当時、寒さの残る中で何よりも先に、健気に白い大型の花を咲かせるハクモクレンがお気に入りで、自分の庭に一本ほしいと思った。

どこの植木市であったか、確かに「白木蓮」という値札を見て買ったはずであった。しかし庭に植えて、一年後に咲いた花は紫色であった。

シモクレンはハクモクレンより咲くのが半月ほど遅い。だから健気にとはいえないが、何にも染まらないで空間を切り取る紫は、むしろいさぎよく感じる。いまでは庭の、外から来ると最も目立つ位置を占めて、毎年花を咲かせる。植木屋さんが小さく切り詰めてくれるので、20年経っても、木は大きくはなっていないが、家の庭では欠かすことの出来ない木になっている。

ネットで調べると、シモクレンは単にモクレンとも呼ばれ、原産地は中国だという。花のない時期ではハクモクレンと区別がしにくいと書かれていた。間違ったのも致し方なかったかもしれない。
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