喉を開ける

2014年01月14日 | 日記
よく言われる「喉を開ける」ということについて、先日に引き続きW先生の学会発表の資料から引用しつつ考察してみたいと思います。
喉を開ける、というのは、声帯の上にある喉頭蓋というしゃもじのような大きな軟骨を立て、喉頭腔・咽頭腔をあけることです。あくびをすれば自然と喉頭蓋が立ちますが、以下のような練習を重ねることが効果的だと説明されています。

1.口を大きく開け、舌は奥へ引っ込まないように下歯に軽くつける。両手の親指を耳の穴の前のくぼみに入れ、他の指を頬骨の下に置いて持ち上げる。すると口蓋汎挙筋と口蓋咽頭筋が引っ張られ、軟口蓋が上がって口蓋垂が見えなくなる。急激にやるとかなり痛いので、少しずつ慣らす。

2.口を軽く開け、舌は下歯につける。両手の親指を下顎骨のくぼみ(側頭下窩)に入れ、他の指を鼻筋の脇に置き、鼻翼を緊張させて鼻全体を上に上げる。その時に「ンガ」という鼻濁音を発する。また、「ンガ」というつもりで鼻を持ち上げたまま5秒我慢する。

3.口を軽く開け、舌は下歯につける。両手の指を鼻の脇に当て、両手で鼻を挟むようにして持ち上げる。豚の鳴き声のように「ブフォー」という音をたてる。この時、口蓋垂を認識する。

4.両足を肩幅に開き、足の親指を少し内側にする(仙骨が動く)。両掌で口角を思い切り左右に引く。上の奥歯は斜め上へと持ち上げる(こうすると口蓋汎張筋や上咽頭収縮筋などが引っ張られ、蝶形骨、篩骨、鋤骨が約1000分の5ミリほど動く)。

5.両手の親指を口の中に入れ、口蓋垂のまわりを高く拡げるようにマッサージする。

以上はすべて準備運動として発声練習の前にやります。発声時には無理に喉を開けようとせず、普通に口を開けるだけでよいのです。上記のような練習をすると「口の奥って、こんなに開けないといけないのか」とびっくりします。「喉の奥を開けなさい」というセリフは昔から耳にたこができるほど言われてきましたが、どこをどれぐらい開けなくてはいけないのか、この練習をするとよくわかります。日本人は骨格的に喉の奥が開きにくいんだな、ということも実感します。そして何より、いざ声を出す時には喉の奥は「もう開いてます」という状態であることが大事です。
生徒さん達には常々「家では練習しないで下さい」と言っていますが、声を出す練習はしなくていいですから、この「喉を開ける」練習は毎日やって頂きたいと思います。お風呂に入ったら、口に拳を突っ込む練習も是非やって頂きたいです。右手(左手でもよい)の指を揃えて親指を下にしてすぼめ、口に突っ込みます。第2関節ぐらいまで入ったら、口の中で握り込んで拳にして第3関節まで入れます。最初はなかなか入りませんが、毎日やっているうちにだんだん入るようになります。
こうして口や喉を十分に開けることが発声の前提条件です。根気よく取り組みましょう。

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2 コメント

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Unknown (s)
2014-01-15 14:14:37
いつも、本番前に喉を開けておかなきゃ。と思っていたのですが、なかなか思うように直前に「開いてます」の状態に出来ているか不安でした。
これからは、毎日「開いてます」の状態になるよう練習すると、直前に慌てなくて歌に集中出来そうです。
有難うございました(*^_^*)
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Unknown (吉田)
2014-01-15 15:58:35
sさん、コメント有難うございます。W先生のお弟子さんの1人は、1日3回こぶしを口に突っ込んでいたそうですよ。それで1年間レッスンに通えなかったのに全く発声が崩れていなかったそうです。私たちも頑張ろう!
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