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2013年02月22日 | 日記
先日、新しい生徒さんをお迎えしました。このYさん、普段の話し声は人並み以上にしっかりしたお声ですが、大勢の人の前で話す時は声が出にくくなるとのこと。こういうケースはメンタル面のアプローチも必要だと思いますが、緊張すると筋肉が動きにくくなるので、呼吸も浅くなり、声帯の動きもスムーズでなくなりますので、まずはヴォイストレーニングの守備範囲内で「声を出す際の体の使い方」をレッスンしました。まず仰向けに寝て頂いて、腰のあたりの空間をつぶすように息を吐き切り、完全に吐き切ったら「吐くことをやめる」(身体をゆるめる、という表現ではうまく通じない場合があります)と、反射的に吸気が入ってきます。最初は反射的に入ってくるはずの吸気がうまく入ってこなかったのですが、「しっかり吐き切る」練習を重ねるうちにだんだんスムーズになってきました。そこで今度は起き上がり、椅子に腰かけて背もたれに腰を押しつけるようにして同じことをしてみます。次に立ちあがり、膝を少し緩めて、息を吐きながら足の裏で床を押すようにして徐々に膝を立て、吐き切ったら脱力して肺の下方に吸気を取り込みます。この一連のエクササイズで「息を全部吐くって難しいんですね」とおっしゃいました。「吐き切れば脱力ってできるんですね。普段は過緊張になっていたから、完全に吐くことができなくなっていたんですね」とも。深い呼吸が全身運動だということを実感されたようです。
声をつけてみましょうか、ということで、唇を閉じたハミングから口を開けたハミングへ、そしてその時の体の緊張を保ったまま「ア」の母音で発声。体がプルプル震えます。「これが声帯がきちんと閉じた状態ですよ」と言うと、「喉には全く何の感覚もないんですね、その代わりお腹や足腰をすごく使うんですね」と、身体の状態をとてもよく把握されています。下顎の力を抜く練習や上顎を上げる練習も比較的簡単にできてしまいました。と言ってもご本人としてはすべてが初めての経験で、「目からウロコです」と何度もおっしゃっていましたが。最初は「歌じゃなくて発声だけ習いたいんです」とおっしゃっていましたが、終わった後は「歌もやりたくなりました」と、気持ちが変化したようです。レッスン後の雑談で、Yさんは私より2学年上で同じ高校の卒業生だとわかりました。高校の選択科目で音楽を取っていたそうで、ピアノの心得もあるそうですから、発声のエクササイズをしているうちに歌心が目覚めたのでしょう。
発声のもうひとつの課題であるメンタル面に関しては、私は経験上「場数を踏むこと」としか言えませんし、個人レッスンではカバーしにくいのですが、今はコーチングやメンタルトレーニングなど様々なアプローチがありますから、そちらも組み合わせてレッスンを重ねられることで克服できると思います。また、3月には外部会場で発声セミナーをしますので、そこで複数の人たちと一緒に声を出すのも良い経験になるのでは、と思ってお勧めすると、「是非参加したいです」とのこと。こういう時、セミナーをやっていてよかったなと思います。
2015年春の健康発声セミナー(全3回)は以下の通り開催致します。
日時 3月9日(土)、23日(土)、30日(土) 18時より入門編、19時より応用編。
場所 ウェルパルくまもと1階あいぽーと大会議室(交通局前電停の目の前)
参加費は各回ごとの徴収で、飛び込み参加も可、1回だけでも3回連続でも可、入門編と応用編に続けて参加されることも可。どなたもどうぞお気軽にご参加下さい。

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