夏の終わり

2017年09月14日 | 日記
父の手術以来、なんだかんだとバタバタした今年の夏でしたが、気が付けばもう9月半ば。ブログもなかなか更新できないでいるうちに、小さなことがいろいろありました。
まず、新しい生徒さんが数名入門されました。皆さん「目からウロコが落ちました!」と喜んで下さって、私もとても嬉しいです。
それから、くみさんの忘れ形見のエリカちゃんが小学校に入学したというメールが来ました。相変わらずハニー夫妻がエリカちゃんを孫のように可愛がって下さっていて、写真がたくさん添付されていました。エリカちゃんの希望で、入学祝にお友達やハニー夫妻、パパやおばさんと一緒にみんなで日本食レストランに行って食事をしたそうです。降り注ぐ愛情を受けてすくすくと成長するエリカちゃんの様子が手に取るように感じられて、本当に嬉しいお便りでした。
一方、我が家では父の退院に向けて家の模様替えをすることになり、今まで物置状態だった北側の小部屋に遮音断熱工事を施してリビングのピアノを移し、レッスン室にすることにしました。工事の段取りに2週間ぐらいかかりましたが、先週末から着工、明日には一応終了の予定です。そのさなか、父が転院することに。そして私は所用で東京へ。人と会う約束があり、無事に用を済ませたあと、アレクサンダー・テクニークのレッスンに行きました。以前から一度体験してみたいと思っていたボディ・ワークです。これは実に不思議なメソッドで、先生が私の身体にそっと触れてスーッと引っ張ると、体がびよーんと伸びる感じがするのですね。そして、意識の向け方をちょっと変えることで体の動きが変わるのを感じました。私の場合は背骨の内側を意識してまっすぐに保つよう言われ、これまで少し背中が反っていたことに気付きました。そして、首は顎の後ろ側まであるので、首の長さを感じること。首を伸ばそうとするのではなく、長さを感じるだけでよいとのこと。しかしそれだけで歩き方や所作が変わってくるのです。なーるほど。
夜はまた人と会い、翌日はW先生のお宅へ。85歳になられたW先生は、4月から施設に入るご予定だったのですが、結局独り暮らしを続けていらっしゃいます。体調は十分とは言えないようでしたが、何とか暮らしを維持していらっしゃる感じです。物忘れがひどくなった、と嘆かれていましたが、気持ちはしっかりしていらっしゃるだけに、記憶がおぼつかなくなったのがとてもお辛いようでした。でもレッスンはぼちぼち続けていらっしゃるそうで、「一人でいると頭がぼーっとして、ずっと寝起きみたいな感じなんだけど、レッスンするとしゃんとするのよね」と仰っていました。今回は、レッスンの仕方を教えて頂こうと、うちの生徒さんたち(高校生たちプラス数名)の演奏録画を持って行って聴いて頂いたのですが、高校生たちに関しては「呼気が遅い。息が後ろへ回っていないから体の背面が使えていない。声が口から前に出ている」と仰いました。やっぱりね。「みんないい声ねえ。でも胴体の全面3分の1ぐらいしか使えていないわ。みんなもっと良くなるわよ」と仰って下さいました。ポイントをまとめてみます。

1.鼻の脇を締め、足の裏に力を入れて、息を足から上へ流す。足の裏から声が出る感じ。
2.口を閉じて、ハミングで上へ抜く。
3.鼻の裏の響きと下半身。マ行、ナ行で練習する。
4.肺に入った空気を足の裏までもっていくようにする(体を開くようにして、息を目の後ろから下に引っ張る)。その息を、後ろを通って上げる(前を通ると喉頭蓋が閉まる)。
5.耳の後ろの乳突洞に響かせる。少し鼻声っぽくなる(鼻の奥が響く)。後ろが開くと背面が響く。
6.体の真ん中を意識して。
7.口の後ろをしっかり開ける。上の奥歯を後頭骨までもっていく感じ。背中を感じる。下あごは楽に。笑った時のように上あごを上げる。
8.背中と下腹を広げる。
9.足の下の泥を横へ押しやるように拡げるつもりで。その時、目の裏を拡げる。
10.上と下のバランスを取る。高い音域ほど下半身が必要。
11・下行音型の時に息が下がるのは、足腰が弱いから。足の裏に力を入れて息を上げる。

録画の中に4月のリサイタルの記録が残っていたので、ちょっと聴いて頂いたら、「え、これ、本当にあなたの声?すごく若い(未熟な)人の声みたい」と言われました。やっぱりね。「そうなんです。この2週間前のモーツァルト協会のコンサートの時は自分なりにある程度歌えた気がしたんですけど、リサイタルではすごく不全感が残って。」と言うと、「何かあったの?」と言われました。いえ、特別なことは何もなかったのですが。ちょっと声を出してごらんなさい、ということで発声してみてわかりました。発音の位置が違っていたのです。扁桃腺の外側あたり(つまり、かなり後ろ)で母音を発音してみたら後ろが開き、背骨が響きました。「それそれ。それがあなたの声よ」ということで、つまり私は軟口蓋の一番高いところに当てていたのですが、もっと奥のもっと外側に当てないと乳突洞に響かないのですね。わかった!
やっとモヤモヤから解放され、帰ってきて早速レッスンに取り入れてみると、生徒さんたちの声が格段に変わりました。当たり前のことですが、自分ができていないと人には教えられませんね。今回はそれを痛感しました。
W先生は、体力的に外出が難しくなっています。来年は免許も返納すると仰っていましたので、ますます人に会う機会が制限されるでしょう。でも、人に会うことは老化防止に必須なのだと聞いたことがあります。それに、先生には一日も長くレッスンを続けて頂きたいですから、私もできるだけ、できれば毎月でも先生のお顔を見に行きたいと思ったことでした。




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