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相続税対策3 借金はしたくないけど借金は相続税対策として有効ですか

2022-09-22 11:18:52 | Weblog
相続税対策3 借金はしたくないけど借金は相続税対策として有効ですか

鈴木「借金は相続財産から差引けるということですから、借金は相続税の節税対策として有効なのですか?」

私 「まず、債務控除の確認ですね。相続は亡くなった人(被相続人)の財産を引き継ぐだけでなく、被相続人の借金も引き継ぐことになります。

相続財産というと土地や預貯金などプラスの財産のイメージがありますが借金などマイナス財産、負の財産も財産に変わりはありません。

マイナスの資産はプラスの資産から差し引いて相続財産を計算します。単純な引き算ですがこれを債務控除といいます。

算式で示しますと

プラスの財産(土地や預貯金)-マイナスの財産(借金)=相続税の計算対象となる財産

となります」

鈴木「相続税対策のためにわざわざ借金をするのですか。我が家の家系は借金をしないのですが」

私 「例えば、自宅を借金で建替えます。住宅ローンの残債は相続が開始すると債務控除となりますが、

一般的には住宅ローンは団体信用生命保険で弁済されているケースがほとんどですので死亡保険金と住宅ローンが相殺され、

プラスマイナスがゼロとなり借金は相続税対策にはなりませんね」

鈴木「仮に投資用ワンルームマンションを借金で購入するとどうなりますか?」

私 「投資ワンルームを借金で購入というのは非常に質問の多いところです、いま具体的な投資物件の資料が手元にないですが、

ざっくりと説明しますと、例えば、2,000万円の中古マンションを投資用で購入した場合です。

頭金を10% 200万円、残りはローンで1,800万円を組んだ場合です。

何年か経過した後に相続が開始した場合ですが、ローンの残債が1,500万円残っているとします。

この1,500万円が債務控除として相続財産から差引かれます」

鈴木「なんとなくイメージはつかめました。だけど、お話を聞いて気になることがありました」

私 「なんでも聞いてください」

鈴木「中古のマンションを2,000万円で購入し、相続開始のときのローン残債が1,500

万円ですと 2,000万円-1,500万円=500万円で 相続財産が増えていないでしょうか」

私 「そうですね、中古マンションは相続財産となります。で、ここからが大事です。

中古マンションの多くは建物と土地から成り立っています。

建物の相続税評価額は固定資産税評価額で土地の相続税評価額は路線価とすると、

中古マンションの相続税評価額は売買価額の50~70%程度になります。

仮にいまお話している中古マンションの相続税評価額が1,000万円とすると 

1,000万円(相続税評価額)-1,500万円(ローンの残債)=△500万円となります。

つまりマイナス500万円が相続税の節税効果です。

投資マンションの相続税評価は他に評価減もできますが

今日はあくまで借金が債務控除として相続財産から差引けるということを押さえておいてください」

鈴木「わかりました」
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