納税者に寄り添う税の専門家 税理士法人 元(GEN)のブログ

会計・税金・経営情報について「わかりやすい」を合言葉に現場の声を発信しています。

相続税対策6 贈与税相続時精算課税を使う

2022-10-26 11:20:16 | Weblog
相続税対策6 贈与税相続時精算課税を使う

鈴木「相続時精算課税について説明をお願いします」

私「相続時精算課税の計算式は
(贈与財産-特別控除額)×20%(贈与税率)=贈与税額

暦年課税と同じような計算式に見えますが、相続時精算課税は贈与を受けたときに一定の贈与税率で贈与税をいったん納め、

贈与者が亡くなったときに相続税で精算するしくみです。

税率は一律20%です。

特別控除(基礎控除ではありません)は2,500万円で贈与財産から差し引きます。

つまり、2,500万円以内の贈与であれば贈与税は発生しません。申告は必要となります。

また、贈与は暦年(1年)ではなく複数年に渡ってもかまいません」

鈴木「注意するポイントは?」

私「受贈者(財産をもらう人)は、暦年課税か相続時精算課税かを選択することになります。

ただし、相続時精算課税を一度選択すると暦年課税の選択をすることができなくなります」

鈴木「相続時精算課税を選択すると暦年課税に戻れなくなるのですね」

私「そうです。暦年課税か相続時精算課税かの選択は慎重に検討ですね」

鈴木「どのような人に向いていますか」

私「相続時精算課税は相続財産を前渡しすることができます。

特別控除(基礎控除ではありません)が2,500万円ありますから、

暦年課税の110万円の基礎控除額を超える金額、

例えば1,000万円とか2,000万円の贈与を単年度にしても贈与税の課税はありません。(申告は必要)

贈与者が亡くなったときに相続税で精算しますが、

もそも贈与者の相続財産が相続税の基礎控除いかであれば相続税の課税はないわけですから、

結果として贈与税も相続税も課されることなく相続財産を前渡しできることになります」

鈴木「相続税の課税対象ではない人が利用するのに向いているとは面白いです。

値上がりが見込まれる相続財産を持っている人にも有効ですね」

私「そうですね。収益不動産を持っている人なども検討の余地はあります」

鈴木「相続時精算課税のデメリットはありますか」

私「相続税の申告が必要になったときに贈与時の財産が値下がりしている場合ですね。

また、繰り返しになりますが相続時精算課税を一度選択すると暦年課税の選択をすることができなくなります」

鈴木「なるほど慎重な検討が必要ですね」

※参考 適用対象者
 ・受贈者 贈与者の推定相続人である直系卑属及び孫のうち、

贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者(令和4年4月1日以後の贈与より18歳以上)

 ・贈与者 贈与をした念の1月1日において60歳以上である者

※相続時精算課税は現在、改正が検討されています。動向に注視です。


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国外居住親族に係る扶養控除等の適用について

2022-10-19 10:21:27 | Weblog
年末調整の書類の配布が始まりました。

同時に来年、令和5年の扶養控除等申告書の記入があります。

そこに新たに、国外居住親族に係る扶養控除等の適用について

令和5年1月からの国外居住親族に係る扶養控除等について、

国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合、

その親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」の提出または提示をすることとされていますが、

令和5年1月からは、国外居住親族に係る扶養控除の適用を受ける一定の場合、

「留学ビザ等書類」や「38万円送金書類」の提出等も必要となります。

どのような書類が留学ビザ等書類や38万円送金書類に該当するのか、

留学ビザ等書類の提出等を受けた場合の確認事項などが公表されました。

該当する人は、詳細を国税庁のHPで要チェックです。

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雑所得、副業300万円問題が大幅修正

2022-10-11 10:01:52 | Weblog
質問が多く関心のある副業問題ですが

パブリックコメントを受けて修正となりました。

要約すると事業所得になるのは?

〇社会通念上、事業である(事業的規模、営利、継続反復など)

〇帳簿の保存

※事業所得が確定(僅少、副業収入300万円以下、本業1割) ⇒個別判定 雑所得?
        (営利性、3年赤字で解消の取組なし) ⇒個別判定 雑所得?


業務に係る雑所得の判定に関する改正通達、解説、パブコメからの変更点を公表、帳簿の保存ありで概ね事業所得に


国税庁は10月7日、事業所得と業務に係る雑所得の所得区分の判定等に関する所得税基本通達を一部改正したと発表した。

8月末まで行われていた意見募集(パブリックコメント)には、7000通を超える意見が寄せられ、

その判定基準として、新たに主たる所得か否かを基準とすることに否定的な意見があったことなどから、

パブコメの原案を修正している(下記参照)。

通達の新旧対照表のほか、通達の解説やパブコメからの変更点も示されている。

解説では、事業所得と業務に係る雑所得の区分について、記帳・帳簿書類の保存をしている場合は、

社会通念での判定において、概ね事業所得に区分されると説明している。

ただし、①その所得の収入金額が僅少と認められる場合、

②その所得を得る活動に営利性が認められない場合は、事業と認められるかどうかを個別に判断するとしている。

記帳・帳簿書類の保存をしていない場合は、社会通念での判定において、原則として、事業所得に区分されないと説明。

ただし、その所得を得るための活動が、収入金額300 万円を超えるような規模で行っている場合には、

帳簿書類の保存がない事実のみで、所得区分を判定せず、

業所得と認められる事実がある場合には、事業所得と取り扱うとしている。改正通達は令和4年分の確定申告から適用する。

【修正後】

(業務に係る雑所得の例示)

35-2 次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得に該当する。

⑴~⑻ 省略

(注)事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。

なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、

譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。

【修正前】

(業務に係る雑所得の例示)

35-2 次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得に該当する。

⑴~⑻ 省略

(注)事業所得と業務に係る雑所得の判定は、その所得を得るための活動が、

社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するのであるが、

その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その 所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない。

(税のしるべ電子版)


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相続税対策5 贈与税暦年課税を使う

2022-10-05 11:11:54 | Weblog
相続税対策5 贈与税暦年課税を使う

死んで相続税がかかるなら生きているうちに妻や子供に贈与をすれば相続税は払わなくて済むのではと考える人がいるかもしれません。

これは意外とよくある質問です。

相続財産がなければ相続税の課税がないのではということなのでしょう。

しかしそんな都合よくはいきません。

生前に贈与すれば贈与税、亡くなれば相続税という仕組みになっています。

鈴木「生前に贈与をしてしまえば相続税は支払わなくてよいですか」

私 「まず、贈与税ですが、この贈与税には二つの課税方法が規定されています。

ひとつは暦年課税、もうひとつは相続時精算課税です。

暦年課税の計算式は
(贈与財産-基礎控除額)×贈与税率=贈与税額

基礎控除額は110万円で暦年、1年間で計算します。

暦年課税の基礎控除額=1年間(1月1日~12月31日) 110万円

基礎控除額の範囲内であれば贈与税の課税はなく、贈与税の申告も必要ありません。

もちろん所得税・住民税の課税もなく申告も不要です。これ意外と質問が多いのですよ。

110万円を超える暦年課税は1年間に贈与を受けた財産の合計額をもとに贈与税を計算する方法をいいます。

税率は10%~55%の間で課税されます。

注意点は贈与をする人が亡くなると相続開始前3年以内の暦年贈与は相続税の課税対象として持ち戻されてしまいます」

鈴木「年間110万円でも10年20年と続けていけば大きな金額になりますから対策として

有効ではないですか」

私「そうですね。1100万円、2200万円とまとまった金額になるので効果はありますね」

鈴木「2人分となると大きいですね」

私「長期間にわたって金銭を移していく人に向いています。

ポイントは贈与の事実を残しておくために毎年贈与契約書を作成して保管すること。

銀行振込を利用して送金、入金の記録を保存する。相続人名義の通帳の管理は相続人がする。

通帳が相続人名義でも被相続人が管理して名義預金とみなされないように注意が必要です」



[よく聞かれる項目]
Q大学生の子供に仕送りしている金銭は贈与税が課税されますか。

A夫婦や親子、兄弟姉妹など扶養義務者から社会通念上当然とされる生活費や教育費としてもらったものは贈与税の課税の対象とはなりません。




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