インターネットの普及により手軽にネットオークションで物品の売買が可能である。このネットオークションで得た所得の税金はやや複雑だ。次にケースごとの計算方法を示す。
○譲渡所得となるケース
ネットオークションで物品の売買は資産の譲渡である。資産の譲渡は譲渡所得となる。
譲渡所得は
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=譲渡所得の金額 として計算する。
さらに所有期間が5年以下の資産を譲渡することによる所得を短期譲渡所得といい、所有期間が5年を超える資産を譲渡することによる所得を長期譲渡所得という。特別控除額は短期譲渡所得と長期譲渡所得の合計で50万円までで、まず短期譲渡所得から控除し、残りを長期譲渡所得から控除する。50万円に満たないときの控除額は、その金額までとなる。
○生活用動産の譲渡は課税されない
資産の譲渡による所得のうち、生活用動産の譲渡による所得については課税されない。
例えば、家具、什器、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得など。しかし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税される。
○事業所得となるケース
ネットオークションで物品の売買は中古品が中心となる。サラリーマンでも古物商の免許の取得は可能である。古物商の免許を取得して対価を得て継続的にネットオークションで
物品の売買を行っていればネットオークションで得た所得は事業所得となる。
事業所得は
総収入金額-必要経費=事業所得の金額 として計算する。
○雑所得となるケース
サラリーマンが事業的規模でなくサイドビジネスとしてネットオークションで物品の売買したときは雑所得となる。
雑所得は
総収入金額-必要経費=雑所得の金額 として計算する。
計算式は事業所得と同じである。事業所得と雑所得の違いはネットオークションでの売買が反復継続して営まれているかによるが、悩ましいのは規模、態様も含めて個別に判断する。
○確定申告が不要のケース
サラリーマンがサイドビジネスで、ネットオークションで得た所得が20万円以下のときは、確定申告は不要である。20万円を超えたときは確定申告が必要である。
間違いやすいのは、20万円は収入ではなく所得(総収入金額-必要経費)である。またサラリーマンが給料以外に他に所得があり確定申告をしているときは20万円以下の確定申告不要の適用はない。
もしデフレ期のいま失業中で一年間に給料の支払いを受けてなくネットオークションで得る所得が一年間の所得あり、その金額が所得税の基礎控除の38万円以下であれば所得税の課税はない。住民税の課税は各自治体による。
○会社にサイドビジネスの存在を会社に知られたくないときは
サイドビジネスの存在を会社に知られたくないときは確定申告をするときに申告書の第二表の「住民税に関する事項欄」の「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に対する住民税の徴収方法の選択」については、徴収方法を選択することができる。
この場合は「自分で納付」に○印をつける。サイドビジネスの部分の住民税の納付書は自宅に送られてきて自分で納付する仕組みだ。
○必要経費とは何だ
必要経費は収入を得るために直接要した費用などである。販売活動において直接要した費用である販売費、事業を運営するために必要な費用である一般管理費の費用である。
さてサイドビジネスが事業的規模になれば税務署に個人事業の開業届出や青色申告承認申請書などを提出する。自宅は賃貸マンションであっても事業として利用している割合に応じた支払い家賃部分や水道光熱費も必要経費となる。
さらに日々の記帳などしっかりしていると確定申告のときに青色決算書(貸借対照表と損益計算書)を添付すると領収書なしの65万円控除、青色申告特別控除が適用となる。白色申告にはない特典である。もっとも白色でも平成27年から記帳と帳簿の保存が義務付けられる。