納税者に寄り添う税の専門家 税理士法人 元(GEN)のブログ

会計・税金・経営情報について「わかりやすい」を合言葉に現場の声を発信しています。

相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

2016-08-30 17:50:02 | Weblog
最後です、

第五 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

(1)請求権者の範囲を限定する考え方

・相続人以外の被相続人に対する家族の貢献について、

金銭の請求を認めることには反対である。

理由:心情的にはわからないでもないが、

まず日本の家族の在り方そのものを否定する考え方を

民法上に規定することになってしまう。

日本の家族の考え方はあくまで血のつながりが大前提で成り立っており、

その考え方を覆す結果となる。

親族同士でさえ争いが多い相続なのに、

血のつながりのない第三者が権利を主張することを認めると

争議のもとを作るきっかけになりかねない。

(2)貢献の対象となる行為を無償の労務の提供に限定する考え方

・基本的に反対である。

理由:被相続人に対して無償で療養看護その他の労務を提供し、

これにより被相続人の財産の維持または増加について

特別に寄与した者に限定している。

親族でない知人や近隣または非常に安価な報酬で後見業務を行った成年後見人等にも、

その貢献度が認められ、

その対価としての金銭の請求を認めたら、

相続問題以上にさまざまな争議が起きてくる可能性がある。

 相続問題はあくまで、血のつながった親族に限定すべきである。

・(1)(2)双方について言えることであるが、

この貢献に対する金銭の請求権を認めてしまうと、被相続人から財産を継承した相続人は、

その金銭請求可能期間が終了するまでは、

その継承した財産の自由処分権を行使できないことになってしまう。


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遺留分制度に関する見直し

2016-08-30 17:45:48 | Weblog
もう少し、

第四 遺留分制度に関する見直し

・遺留分算定基礎となる財産に含めるべき相続人に対する生前贈与の範囲は、

相続開始前の3年間にすべきである。

理由:相続税の計算を行う際に、

相続開始前3年以内におこなった生前贈与に関する財産の価額については

相続税の課税価格に加算する(相続税法19①)規定がある。

それに準拠すべきである。

 上記にも述べたように被相続人の財産の算出は困難を極めるケースが多い。

相続開始前3年までの遡りが実務上も妥当だと考える。





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遺言制度に関する見直し

2016-08-24 10:30:04 | Weblog
続きです。

第三 遺言制度に関する見直し

・公正証書遺言の推進とその手続きの簡略化と費用負担の軽減を提案する。
・できればその自筆証書遺言保管の有無と相続人の明細を、
死亡届提出時に各市区町村窓口で確認できるしくみを構築してほしい。
また、その死亡届提出先で、被相続人のすべての戸籍謄本を取得できるようにすべきである。

理由:相続が発生すると、死亡届と合わせて、戸籍謄本や住民票除票等の取得を行う。
その際にその市区町村に戸籍がない場合にはさらにその戸籍が連続するまで
各市区町村に確認してその戸籍謄本を取得する。
さらにその戸籍謄本は、一般人には理解しがたい書式になっていて
いったい誰が法定相続人なのか特定できない。
マイナンバーが導入されて住民基本台帳が紐付されれば
この一括処理は可能となると考える。

自筆遺言証書の緩和が提案されていて、その利用件数も増えているという。
しかし、実務的には公正証書遺言の利用が普及しており
公正証書遺言の推進とその手続きの簡略化と費用負担の軽減が課題と思える。

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遺産分割に関する見直し

2016-08-23 10:50:05 | Weblog
昨日の続きです、

第二 遺産分割に関する見直し
(1)配偶者の相続分の見直し
・被相続人の財産評価については、従来の計算が望ましい。
理由:まず、具体的相続分の算出方法を婚姻後増加した財産(ここでは「夫婦共有財産」と略する)と被相続人の婚姻前財産(ここでは、「被相続人固有財産」と略する)に分けて相続分の算出する趣旨は理解できる。
しかし、相続実務の実情、被相続人が亡くなる際に、自身の財産すべてを相続人に伝えているケースは極めてまれなケースであり、実務上も預金通帳等の過去のお金の流れ、親族の預貯金のお金の推移等の資料から、推定して相続財産の確定を行っている現状がある。
したがって、被相続人が何十年前になろう婚姻時に有していた純資産の額など算出することは不可能と言わざるをえない。よって本改正案の財産評価方法は現実的でない。
・配偶者の相続持分の引き上げについて提案したい。
 上記記述したように、従来の財産評価を維持することを前提に提案する。
 贈与税の配偶者控除(相続税法21の6①)の適用要件である婚姻期間20年以上の要件を満たす配偶者に限り、法定相続分引き上げを検討することを望みたい。また年齢が23歳未満の扶養親族もしくは障害者の親族をもつ配偶者または配偶者自身が障害者である場合については、婚姻期間20年以上の要件を満たさなくても法定相続分の引き上げの検討を行うべきである。
理由:夫婦で築き上げた財産を自身の老後生活の資金として準備するのは当然の権利であるから、夫婦共同生活の期間としては、婚姻期間20年以上が妥当と考える。また、23歳未満の扶養親族や障害者がいる場合または配偶者自身が障害者である場合には、当然にその費用負担の加重を考慮すべきと考える。
・配偶者の相続持分の引き上げを考慮する際に、同族会社の事業承継に関わる財産(株式、土地、建物等)を遺産分割計算から除くことを提案する。
理由:配偶者の法定相続分引き上げが行われた際に、分割する財産がなく、同族会社の事業承継に関わる財産まで分割すると、同族会社の経営に関わっていない被相続人の配偶者が経営に参加する事態を招き、事業承継税制で相続税法上の優遇措置を規定した効果が薄れてしまう恐れがある。
(2)可分債権の遺産分割における取扱い
・可分債権の遺産分割における取扱いについては、そもそも可分、不可分の区別が必要なのか検討してほしい。
理由:相続時の実務上では、とくに可分・不可分を意識することなく遺産分割協議が行われているのが現状である。遺産分割が行われるまでは、被相続人の預貯金等が凍結されて、相続人の生活等に支障をきたすケースは考えられる。しかし、その生活費等は他の相続人が一時的に負担して、その負担分を遺産分割協議が整った際に清算すれば十分である。
・預貯金債権以外の可分債権に、不法行為にもとづく損害賠償請求権を含めるのは反対である。
理由:上記の損害賠償請求権は、司法手続き等で決定しているものだとしても、その権利行使が滞りなく行われる可能性は100%ではない。したがって、実現可能性の不確かな財産を遺産分割の対象とするのは妥当でなく、その権利行使が不可能となったときに、あらたな相続財産をめぐる紛争の機会をつくってしまう恐れがある。


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短期と長期の居住権

2016-08-22 14:56:36 | Weblog
台風9号、久々に関東に上陸です。

普段は枯れているちいさな川も水かさが増え、

びっくりです。

土砂災害注意報がでています。


岩本先生と民法(相続関係)部会の中間試案の

検討をしました。


第一 配偶者の居住権を保護するための方策

・短期居住権の内容については賛成である。

過去の判例をまとめたもので異論は出ないでしょう。


・長期居住権については、財産的価値を認めるべきではない。

理由:本改正の趣旨は、高齢化社会到来に伴う配偶者の居住権取得に主旨が置かれている。
したがって、居住権を売買することは想定できないし、
建物の所有権と居住権を切り離して考えるのは妥当性にかけると考える。
もし、長期居住権に財産的価値を認めることになると、税務の実務上でも、
相続財産として評価せざるをえず、
法定相続分に含めることにより、配偶者の老後の生活資金の取得に支障をきたす恐れが生じる。

長期居住権については まだまだ議論が必要なようです。
だけど被相続人の配偶者の住まいを確保しなければならないとするとは
大変な時代です。

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