連立与党の税制協議会で
消費税の軽減税率の素案が
公表された。
8案飲食料品分野が示された。
軽減税率、飲食料品対象に8案 与党税協、導入時期で自公に温度差
自民、公明両党は5日、与党税制協議会を開き、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率制度の導入に向け骨子案をまとめた。最大の焦点である対象品目の選定についてはまず「飲食料品」を優先して検討。選択肢として酒類や外食を除く場合など8案を示した。経理方法についても、商品ごとに税率や税額を記載するインボイス(税額票)方式など通常の消費税率と低い税率を区分するのに必要な4案を提示した。与党税協は7月頃から関係団体などへの意見聴取を始め、9月から年末に向け最終案の取りまとめに入る。
8パターンある対象品目の選択肢では、全ての飲食料品を対象とした場合、消費税率1%当たりの減収額は6600億円、精米だけで200億円などと試算した。自民党税調の野田毅会長は会合後の会見で「(示した案について)関係分野の意見を謙虚に聴き、丁寧に事柄を進めていく」と述べた。新聞・出版物を適用対象にするかは、飲食料品とは別に検討する構えだ。
軽減税率骨子案が固まり、導入に向けた議論は一歩前進したが、「消費税率10%時」とする導入時期をめぐっては、自民、公明両党に温度差があり、導入に向けた道筋は見えていない。
野田氏は5日の会見で「若干(公明党と)ニュアンスに差がある」と語り、消費税率10%への引き上げと同時の導入を求める公明党との間に、時期をめぐる認識の違いがあることを認めた。
導入時期の意見の隔たりには、財源に対する考え方への違いが反映されている。
消費税は税率1%の引き上げで約2兆7000億円の税収増になり、全額が社会保障費に使われる。ただ、この増収分は軽減税率を導入しない前提で計算されている。全飲食料品に軽減税率を適用した場合は税率1%の軽減で減収額は6600億円となり、社会保障財源に影響を及ぼす。このため自民党は「導入には代替財源が不可欠」との立場だ。
これに対し公明党は、低所得者に対する現在の現金給付制度などを見直せば財源を捻出できると主張。しかし、今回の骨子案では、具体的な財源候補には一言も言及していない。
導入に向けた最大のハードルである代替財源の議論が抜け落ちれば、対象品目などの重要事項の設計を固めても、実現は難しい。2014年度与党税制改正大綱で軽減税率について「(消費)税率10%時に導入」と明記した両党。今年12月までに結論を得る方針を示しているが、代替財源の議論に、依然として大きな進展がない中、今後の調整は難航も予想される。
SankeiBiz 6月6日(金)