土地と建物の区分がされていない契約書はよくありますが
区分の原則は時価ですが、これを按分するのは実務上悩ましいですね。
譲渡対価の額が区分されていなかった土地と建物を売却したことを巡り、
課税庁が消費税法施行令45条3項を適用して建物の譲渡に係る消費税の課税標準を算出する際には
固定資産税評価額比率による按分法を用いることが最も合理的として更正処分等を行った。
これに対し、納税者が異なる主張を行い、処分の取消しを求めていた事案で、
東京地裁(岡田幸人裁判長)は7日、課税庁の採った手法は一般的にはその合理性を肯定し得ないものではないとしつつ、
適正な鑑定で異なる評価がされるなどした場合には合理性の根拠は失われるなどとし、
本件はこのような場合に当たり、鑑定評価額比率を用いるのが相当として処分の大半を取り消す判決を下した<令和元年(行ウ)第480号>。
消費税法施行令45条3項は、事業者が課税資産と非課税資産とを同一の者に同時に譲渡した場合、
これらの資産の譲渡の対価の額がそれぞれ合理的に区分されていないときは、
当該課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、これらの資産の譲渡の対価の額に、
これらの資産の譲渡のときにおける当該課税資産の価額と当該非課税資産の価額との合計額のうちに当該課税資産の価額の占める割合を乗じて計算した金額とする旨を定めている。
納税者は不動産貸付業を営む者で平成28年8月に大阪市中央区にある土地建物を売却した。
売買契約書には消費税相当額を含む代金総額は記載されていたが、その内訳は記載がなかった。売却時、同地周辺は地価の急騰局面にあった。
その後、納税者が消費税等の確定申告書を提出したところ、
所轄税務署が本件代金総額に占める建物の価額は、
代金総額に28年度の建物の固定資産税評価額と土地の固定資産税評価額との合計額のうち
建物固定資産税評価額の占める割合を乗じて計算した金額の税抜価額になるとして、
更正処分等を下したため、納税者が処分の取消しを求めていた。
争点は、同項を適用した場合における本件建物の譲渡に係る消費税の課税標準。
納税者は当初、譲渡時点で課税資産と非課税資産の各譲渡の対価の額が区分されていなくても、
納税申告時点で合理的に区分されていれば同項の適用はない旨の主張もしていたが、地裁はこれを同項の文理に反するとして退けた。
その上で、地裁は納税者の鑑定申出を採用。
不動産鑑定士が本件土地建物の売買時点の時価評価額を鑑定したところ、
土地と建物の固定資産税評価額比率が55・51対44・49だったのに対し、
同鑑定評価額比率は77・3対22・7で、建物の価額が占める割合に相当な乖離が生じていた。
この点につき地裁は「消費税の課税標準を算出するに当たって実質的な差異が生じている」と指摘。
そうすると、同項を適用した建物の譲渡に係る消費税の課税標準を算出するに当たって、
固定資産税評価額比率による按分法を用いる合理性を肯定する根拠は失われており、
鑑定評価額比率による按分法を用いることが相当であると判断し、
鑑定評価額比率に基づき税額等を算出して増額更正処分等の大半を取り消した。
(税のしるべ)
区分の原則は時価ですが、これを按分するのは実務上悩ましいですね。
譲渡対価の額が区分されていなかった土地と建物を売却したことを巡り、
課税庁が消費税法施行令45条3項を適用して建物の譲渡に係る消費税の課税標準を算出する際には
固定資産税評価額比率による按分法を用いることが最も合理的として更正処分等を行った。
これに対し、納税者が異なる主張を行い、処分の取消しを求めていた事案で、
東京地裁(岡田幸人裁判長)は7日、課税庁の採った手法は一般的にはその合理性を肯定し得ないものではないとしつつ、
適正な鑑定で異なる評価がされるなどした場合には合理性の根拠は失われるなどとし、
本件はこのような場合に当たり、鑑定評価額比率を用いるのが相当として処分の大半を取り消す判決を下した<令和元年(行ウ)第480号>。
消費税法施行令45条3項は、事業者が課税資産と非課税資産とを同一の者に同時に譲渡した場合、
これらの資産の譲渡の対価の額がそれぞれ合理的に区分されていないときは、
当該課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、これらの資産の譲渡の対価の額に、
これらの資産の譲渡のときにおける当該課税資産の価額と当該非課税資産の価額との合計額のうちに当該課税資産の価額の占める割合を乗じて計算した金額とする旨を定めている。
納税者は不動産貸付業を営む者で平成28年8月に大阪市中央区にある土地建物を売却した。
売買契約書には消費税相当額を含む代金総額は記載されていたが、その内訳は記載がなかった。売却時、同地周辺は地価の急騰局面にあった。
その後、納税者が消費税等の確定申告書を提出したところ、
所轄税務署が本件代金総額に占める建物の価額は、
代金総額に28年度の建物の固定資産税評価額と土地の固定資産税評価額との合計額のうち
建物固定資産税評価額の占める割合を乗じて計算した金額の税抜価額になるとして、
更正処分等を下したため、納税者が処分の取消しを求めていた。
争点は、同項を適用した場合における本件建物の譲渡に係る消費税の課税標準。
納税者は当初、譲渡時点で課税資産と非課税資産の各譲渡の対価の額が区分されていなくても、
納税申告時点で合理的に区分されていれば同項の適用はない旨の主張もしていたが、地裁はこれを同項の文理に反するとして退けた。
その上で、地裁は納税者の鑑定申出を採用。
不動産鑑定士が本件土地建物の売買時点の時価評価額を鑑定したところ、
土地と建物の固定資産税評価額比率が55・51対44・49だったのに対し、
同鑑定評価額比率は77・3対22・7で、建物の価額が占める割合に相当な乖離が生じていた。
この点につき地裁は「消費税の課税標準を算出するに当たって実質的な差異が生じている」と指摘。
そうすると、同項を適用した建物の譲渡に係る消費税の課税標準を算出するに当たって、
固定資産税評価額比率による按分法を用いる合理性を肯定する根拠は失われており、
鑑定評価額比率による按分法を用いることが相当であると判断し、
鑑定評価額比率に基づき税額等を算出して増額更正処分等の大半を取り消した。
(税のしるべ)