納税者に寄り添う税の専門家 税理士法人 元(GEN)のブログ

会計・税金・経営情報について「わかりやすい」を合言葉に現場の声を発信しています。

退職所得課税制度の見直し

2023-04-26 10:18:30 | Weblog
退職所得課税の改正が続くようですね。

政府は12日、首相官邸で第15回新しい資本主義実現会議(議長=岸田文雄首相)を開催した。

この日は労働市場改革の方向性について議論が行われ、

会議後に岸田首相は労働市場の改革に向けた各種制度の見直し方針などを打ち出す中で、

「労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘のある退職所得課税制度について見直しを行う」と明言した。

退職所得控除額は勤続年数20年以下の場合は1年当たり40万円だが、20年超の部分については同70万円となる。

こうした退職所得課税の仕組みについて、事務局を務める内閣官房が同会議で示した労働市場改革の論点案の中で、

勤続20年を境に勤続1年当たりの控除額が増額される点が自らの選択による労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘があるとし、

「制度変更に伴う影響に留意しつつ、本税制の見直しを行ってはどうか」と問題提起を行った。

これを受けて、会議の民間委員からは「労働市場のみならず各方面への影響を十分精査し、慎重に検討すべき」と見直しに慎重な意見もあったが、

「退職所得課税制度の見直しは労働移動円滑化の政策と軌を一にして進めるべき」

「控除額は勤続年数に関係なく一定額とすべき」

「長期勤続年数の方が有利となる制度を、経過措置を考慮しつつも、早急に見直す」

「勤続1年当たりの控除額を一律・年60万円とすべき」といった見直しに比較的前向きと受け取れる意見が多かった。

退職所得課税の見直しは、賃金形態の多様化や転職機会の増加など社会環境の変化を受けて見直しを求める声が一部から上がるものの、

基本的な仕組みは長らく変わっていない。

また、会議では退職金関連で、一部の企業で自己都合退職の場合に退職金の減額が行われていることや

勤続年数・年齢が一定基準以下であれば退職金を不支給としている労働慣行の見直しも必要になり得ることも論点として示された。

(税のしるべ)

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日本版インボイス制度についてのQ&A ④

2023-04-24 09:11:21 | Weblog
Q7.少額特例は、いつまで適用されるのでしょうか?

→ A.対象期間は、インボイス制度開始からの6年間です。
    令和5年10月1日から令和11年9月30日までの
    間に行う課税仕入れが適用対象となります。

    たとえ課税期間の途中であっても、
    令和11年10月1日以降については、
    少額特例の適用はありませんので、
    注意が必要です。


Q8.少額特例の対象となる1万円未満は、
  税込・税抜のいずれで判定すれば
   よいのでしょうか?

→ A.税込金額で1万円未満かどうかを判定します。


Q9.例えば、9,000円の商品と8,000円の商品を
   同時に購入した場合(合計17,000円)
   それぞれの商品が少額特例の対象になりますか?

→ A.少額特例は、課税仕入れにかかる1商品ごとの
   金額により判定するのではなく
   1回の取引の合計額が1万円未満であるかにより
   判定します。

   この場合、17,000円の取引となるため、
   少額特例の対象となりません。

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法人税申告書で誤りが多い10事例

2023-04-19 09:31:05 | Weblog

3月決算法人の準備中ですね。

参考にです。

国税庁は11日、3月決算法人の5月末の確定申告期限を前に

「調査課所管法人「法人税申告書の申告内容の誤りが多い10事例」について公表した。

これは、令和3事務年度に実地調査以外で把握したものを集計し、

誤りが多い順番にその状況を取りまとめたもの。

集計対象法人数は約350法人で、

そのうち約6割の法人において公表した10事例のいずれかに関する誤りが確認されているという。

同庁は、「これらの誤りについては、国税庁ホームページに掲載されている『申告書確認表』を活用いただくことにより、

未然に防止することが可能。

申告書の自主点検の際には、この『誤りが多い10事例』を参照いただくとともに、

『申告書確認表』を活用ください」と呼び掛けている。

一番誤りが多かったのが、「外国税額の控除等に関する誤り」(別表六(二)等)。

具体的に見てみると、

①別表六(二)の「その他の国外源泉所得に係る当期利益又は当期欠損の額」欄の金額が、

税引後の金額になっていなかった、

②外国法人税に該当しない税を記載していた、

③別表六(四)の8欄(納付外国法人税額の税率)が、租税条約の限度税率を超えていた―となっている。

次に多いのが、「法人税額及び地方法人税額の計算に関する誤り」(別表一・同次葉)で、

①別表一の「中間申告分の法人税額」欄及び「中間申告分の地方法人税額」欄に、

中間申告分の税額を正しく記載していなかった、

②当事業年度終了の時における資本金の額又は出資金の額が1億円超の法人等であるにもかかわらず、

年800万円以下の所得について、軽減税率を適用していた―などが挙げられている。

この他の主な事例は次の通り。

【所得金額の計算・利益積立金額等の計算に関する誤り(別表四・別表五(一))】

・貸借対照表の任意引当金等の金額が、別表五(一)の④欄(差引翌期首現在利益積立金額)の金額と一致していなかった。

・前事業年度以前に所得金額に加算した有価証券等の評価損の額について、当事業年度に売却等の減算事由が生じたものを減算していなかった。

・別表四の1③欄の配当の額が、株主資本等変動計算書等に記載の剰余金の配当等の額と一致していなかった。

【受取配当等の益金不算入に関する誤り(別表八(一)・同付表一)】

・「非支配目的株式等の受取配当等の額」欄の金額に、非支配目的株式等に係る配当等の額に該当しないものを含めていた。

・「その他株式等の受取配当等の額」欄の金額に、その他株式等に係る配当等の額に該当しないものを含めていた。

【租税公課の納付状況等に関する誤り(別表五(二))】

・別表五(二)の19の③欄及び④欄でプラス表示している事業税等の額を別表四の13欄等で減算していなかった。

・別表五(二)の41欄(期末納税充当金)の金額が、貸借対照表等の記載額と一致していなかった。

【役員給与等に関する誤り(役員給与等の内訳書)】

 役員に対する給与の額のうち、定期同額給与、事前確定届出給与及び損金となる業績連動給与のいずれにも該当しないものの額を別表四で加算していなかった。

【減価償却資産の償却額の計算に関する誤り(別表十六(一)等)】

 中小企業者等に該当しない法人であるにもかかわらず、中小企業者等に該当しないと適用できない特別償却を適用していた(同№75参照)。

(税のしるべ)

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日本版インボイス制度についてのQ&A ③

2023-04-17 09:12:51 | Weblog
【 一定規模以下の事業者に対する
事務負担の軽減措置(少額特例) 】

Q5.令和5年度税制改正において、
   少額の取引であればインボイス保存が
   なくてもよいことになったそうですが?

→ A.中小企業の事務負担に考慮して、
    一定規模以下の事業者については
    1万円未満の課税仕入れ(経費等)であれば、
    インボイスの保存がなくても帳簿のみの保存で
    仕入税額控除が認められることになります。
    (少額特例)


Q6.少額特例の対象となる一定規模以下の
   事業者とは?

→ A.次のいずれかの事業者が対象になります。

   〇基準期間が(前々年・前々事業年度)の
    課税売上高が1億円以下の事業者

   〇基準期間の課税売上高が1億円超であっても
    特定期間(個人事業者は前年の1~6月)の
    課税売上高が5千万円以下の事業者


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日本版インボイス制度についてのQ&A ②

2023-04-11 09:27:39 | Weblog

Q3.これまで、店舗等が発行する
   「ご利用明細書」等をきちんと保存できて
   いないこともあったかもしれません。

→ A.前述のクレジットカード会社が発行する
   「請求明細書」は、消費税法上の
   請求書等には該当しませんが、現行では
   3万円未満の取引の場合、帳簿のみの保存で
   仕入税額控除が認められているため、
   少額のクレジットカード取引については、
   これまで「請求明細書」を保存することでも
   問題とされなかったと思われます。

   インボイス制度の開始後は、3万円未満の
   特例が廃止されるため、クレジットカードの
   利用の際は、店舗等が発行する「ご利用明細」
   や「ご利用控」を必ず受け取って
   保存することを徹底してください。

   高速道路を利用する際に、料金所において
   クレジットカードで支払う場合には、
   交付される「利用証明書」を保存することで
   仕入税額控除が認められることになります。

   ETCの利用については、
   クレジットカード会社が発行する
   「ETCクレジットカード」等を利用した場合は、
   WEB上の「ETC照会サービス」において
   簡易インボイスが電子データにて
   交付される予定です。

Q4.コインパーキングの利用時は
   どのような対応が必要でしょうか?

→ A.インボイス制度では、3万円未満の
    自動販売機や自動サービス機からの
    商品の購入については帳簿のみの保存で
    仕入税額控除が認められる特例があります。
    しかし、コインパーキングは対象になって
    おりません。
   
    そのため、コインパーキングから発行される
    レシート(簡易インボイスに該当するもの)
    は必ず保存しておいてください。

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日本版インボイス制度についてのQ&A ①

2023-04-06 09:53:35 | Weblog
日本版インボイス制度についてのQ&A

~仕入控除やインボイスの保存方法~

現行の消費税法では、
3万円未満の取引については帳簿のみの保存で
仕入額控除を認める特例がありますが、
インボイス制度の開始後は、
公共交通機関の運賃など一部を除いて、
原則として認められなくなります。

クレジットカードやコインパーキングなどの利用に
注意が必要です。

【 カード会社の請求明細書は
インボイスとして利用できません 】

Q1.インボイス制度では、クレジットカード会社から
一定期間ごとに送付される「請求明細書」の
保存で仕入控除額が認められるのでしょうか?

→ A.インボイス制度では「請求明細書」は
   インボイスはインボイスとして認められません。
   クレジットカード会社が利用状況をまとめた
   「請求明細書」は、カード利用者に対して
   課税資産の譲渡を行った事業者(店舗等)が
   作成・交付した書類でないため、現行の
消費税法においても請求書等に該当しません。


Q2.クレジットカードを利用する際、何を
   インボイスとして保存すればよいでしょうか?

→ A.買いものをした店舗等が
適格請求書発行事業者であれば、
店舗等が発行する「ご利用明細」「ご利用控」に
インボイスに必要な事項が記載されていますので、
それを必ず保存しておいてください。

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役員給与の損金算入を巡り地裁判決

2023-04-05 10:24:15 | Weblog
役員給与について法人税法の規定は

原則、損金(経費)にできない。

参考に

役員給与の損金算入を巡り地裁判決、

売上高等の推移から「不自然に高額」で一部しか損金算入できないとした更正処分は適法

法人である納税者が役員に支給した給与の全額を損金算入して確定申告をしたところ、

課税庁が同役員給与の額には法人税法34条2項に規定する「不相当に高額な部分」があるとして、

更正処分等を行った。

これに対し、納税者が処分の取消しを求めていた事案で、

東京地裁(品田幸男裁判長)は3月23日、納税者が役員に支給した給与は各年度の売上高や売上総利益の推移などから

「不自然に高額」であると判断し、「不相当に高額な部分」があるなどとして処分を適法と判断した<令和2年(行ウ)第456号>

納税者は平成14年に食品や味噌、調味料などの製造、加工、卸、販売、仲介および輸出入等を目的に設立された法人(有限会社)で、

更正処分で役員給与に不相当に高額な部分があると判断されたXとYは兄弟となる。

裁判所の認定したところによると、Xは納税者の取締役で、納税者を含む関連会社全体の業務に従事しつつ、

納税者の経営方針について決定権を有していた。

Yも納税者の設立以来の取締役であったが、関連会社の業務に従事していたため、27年11月までは納税者の業務に従事しておらず、

同年12月から納税者のベトナム新規事業に係るベトナムでの業務を全般的に担う予定であった。

なお、Yは28年3月にベトナムでの業務に従事する見込みが立たなかったことなどから納税者の取締役を辞任した。

他に取締役Zもいたが、Zへの役員給与は処分の対象とはなっていない。

納税者がXに支払った役員給与は24年9月期は3000万円だったが、

25年9月期は1億8500万円、26年9月期は1億8600万円、

27年9月期は1億8000万円、28年9月期は6億円、28年12月期(3カ月のみ)は600万円だった。

また、Yへの役員給与は28年9月期のみで10億円だった。

これに対し、課税庁が25年9月期分から28年12月期分につき、

調査の結果、各役員給与のうち不相当に高額と認められる部分は損金算入できないとして更正処分等を行った。

これを不服とした納税者が訴えを起こした。

主な争点は、不相当に高額な部分の金額の有無など。

納税者は、課税庁が各役員給与の適正額の算出に用いた同業類似法人の抽出に当たり、

自社は食品製造に係るファブレス(製造装置のない)事業を主たる事業としており、

課税庁が分類した「卸売業」ではなく、

「学術研究、専門・技術サービス業」に当たるなどと同抽出基準の不合理性を指摘。

しかし、地裁は納税者は卸売業に該当すると判断した。

また、Yへの10億円の給与について、

納税者はYは腕利きの経営者で役員給与として何ら過大でないと主張。

ただ、地裁は、Yは月額にして2億5000万円の給与の支給を受けていた27年12月から28年3月までの間、

ベトナムに赴任したことはなく、27年11月にベトナムは全世界所得が課税対象となり、

ベトナムで徴収された税金は他の国で控除できないという情報を入手したため、赴任を拒んだと認定。

このため、Yは日本や香港でベトナム新規事業での工場の設計・設備の配備に関する検討やベトナムでの課税の問題を

合法的に回避するための方法の検討をしていたにすぎず、

そのほか、ベトナム新規事業に貢献していた具体的内容を認めるに足りる事情は見当たらないなどとした。

結果、Yが有能な人材であったとしてもベトナム赴任が具体化等しない中で

Yに月額2億5000万円もの給与を決定し、支給し続けたことは企業の意思決定として合理的とは言い難いと断じた。

その上で、納税者の各事業年度の売上高や売上総利益がほぼ減少傾向だったことからすると各役員給与の高さや増加率は

不自然で同業類似法人の役員給与の最高額と比較しても、

その較差は合理的な範囲を超えるものとなっていたなどとし、

納税者の各役員給与の全額を損金の額に算入すれば課税の公平性が著しく害される旨を指摘して、処分は適法だったとした。

( 税のしるべ)

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