夢七雑録

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5.古河から白坂へ

2008-05-09 22:09:21 | 巡見使の旅
(3)享保2年3月27日(1717年5月8日)。
 巡見使一行は古河を出立し、野木、間々田を通り過ぎる。その先、小山に向かう途中で、白川藩主の松平大和守と対面している。参勤交代の途中で行き合ったのであろう。その後、小山、新田を経て小金井で休憩。石橋で宿泊する。

(4)同年3月28日。
 石橋を出立。雀の宮へ向かう途中、巡見使は仙台藩主・伊達陸奥守と対面している。白川藩主と同じで、参勤交代の途中で行き合ったのだろう。ところで、天明8年(1788年)の巡見使の出立の日は、仙台藩主の出立の日と同じになり、奥州街道を前になり後になりして通行した。ところが、仙台藩から巡見使への挨拶はまるで無かったと云う。この巡見に随行した古川古松軒は、仙台藩の態度は大いに無礼なりと憤慨している。70年ほどの間に巡見使の権威が落ちてしまったという事かも知れない。さて、享保の巡見使一行は、宇津宮(宇都宮)を素通りして白沢[河内町]で休憩。阿久津、氏家、喜連川を経て、佐久山で宿泊する。

(5)同年3月29日、晴。
 佐久山を出立。大田原、鍋かけを経て越堀で休憩。その後、芦野に出て、西行の歌で知られる遊行の柳を見る。ここから坂を上れば下野陸奥国境となる。国境を挟んで玉津島明神と春日大明神があり、二所明神とも呼ばれていた。国境を越えると、巡見使としての仕事が始まる。巡見使一行は国境を見分したあと、白坂まで行き宿泊している。江戸から白坂までは四十六里、五日の行程であった。
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