かつて外敵から首都を守るために,東京湾の守りを固めた時代があった。
その名残が,千葉県富津にある第一海堡と第二海堡である。
神奈川県側には,猿島があり,そして第三海堡があった。
あったというのは,現在は存在しないからである。
関東大震災のおり,施設や土台が破壊された。
復旧不能になってしまったからだ。
第三海堡の全景図と,かつての第三海堡の姿を映した写真(震災後のものしかないという)
震災時に4.5mも土台が沈下し,第三海堡の武器類はほとんど使い物にならなくなったという。
そして施設も海水に浸かり,長い時間が経ってしまった。
30年もの年月をかけて作られた第三海堡。
海底30mを埋め立てたのである。
それが完成2年後の関東大震災で水没したのである。
軍事的には役に立つことはなかったが,建築において,経験・技術の蓄積では大きな貢献をしているのである。
その第三海堡の中の建築物で,崩れることなく引き上げることができたのは4点だ。
横浜市夏島に展示されている,「探照灯」、「観測所」、「砲台砲測庫」と横須賀市平成のうみかぜ公園にある「大型兵舎」だ。
探照灯施設の上から周囲を見渡すことができる。 → Map