熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
送料込み5000円。
残部僅少ながら、注文受付中。

目次

作品 文章 写真 販売品

作品展示会のお知らせ

2022-03-08 20:19:54 | 作品

【作品展示会のお知らせ】
私にとっては、24年ぶりに開催する本格的な作品展示会です。
田舎の地元・
加茂までお越しいただく方々に、大いなる感謝の気持ちを込めて、事前連絡いただいた方、並びに両日先着50名様に、小生作「盛上げ駒根付」を1個宛進呈致しますとともに、即売品につきましては、遠くから来られましても新幹線代の倍返しはおろか、それに余りある当日限りの格別価格にてお待ち申し上げます。
皆様、何卒、奮ってご観覧くださいますようお願い申し上げます。

日時:令和4年4月16、17日(土日)
   (両日とも、11時~16時)

場所:木津川市加茂町 木津川市文化センター
           あじさいホール(2階)

展示即売品
 1、良尊作将棋駒・各種取り揃え
  (盛上駒、ちょっと膨らんだ彫埋駒、彫埋駒、彫り駒。
   盤付き中将棋駒、盤付き雛駒など

 2、将棋チェスト
 3、成型済み駒木地(島ツゲ、薩摩つげ)
 4、日本産榧製など、各種将棋盤

展示非売品(熊澤コレクション)
 5、俊光銘・中将棋駒(江戸時代)
 6、守幸銘・将棋駒(江戸時代)
 7、
良尊作・兼成卿のレプリカ駒(書き駒)
 8、良尊作・象牙兼成卿レプリカ象牙中将棋駒
  (400年前手法での書き駒)
 9、良尊作・五十九才谷川浩司書の駒(盛上駒)
10、魔訶大々将棋駒(書き駒)
 など

加えて協賛出品として、
福井県在住神戸さん「若水作」将棋駒を展示即売

                    以上。



     

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回想録、再掲

2022-03-06 07:56:30 | 文章

以前にアップしていた回想録のなかから、関連記事をコピーして再掲しておき

  谷川浩司書の駒は、大阪・心斎橋筋で開催した展示会で、「私の字で駒ができないか」と、問いかけをいただいたのがきっかけです。
 そのあたりのことは、ご自身の著「復活」(毎日新聞社)に詳しいので、それを抜粋引用させていただきます。(54ページ~58ページ)

 「苦しさを駒に刻む」
 無冠となったことは、私なりの道を歩んできたことの結果である。無冠の屈辱はもちろんある。だが振り返ってみれば、自分の将棋が指せない私自身の姿が見えてくる。なぜ勝てないのか、その結果ばかりにとらわれて、自分の将棋を見据えることを忘れていた。
 将棋をきれいさっぱりと忘れることが必要だとわかっていても、当時はそれもできなかった。テレビを見ていても、気づくと頭の中では将棋のことを考えていた。
 そんな状態だった平成8年のある日、原田泰夫九段の書と、駒作家の熊澤良尊さんの駒の展示会があり、それを見に行くことで、違った視点から将棋の世界を見ることができた。時として人は、無意識のうちに欲するものを見つけ、欲することをしているのか。
 原田先生の書は、力強く、伸びやかで、かつ繊細でもあった。書の中に、人の強さと意思が見えてくるような気もした。書は人を表すのかもしれない。
 また、棋士にとっての駒は、自分の思いを直接受け止めてくれるものだ。駒によって、指す手が変わるということは無いにしても、自分の気持ちを投入できる駒、愛着のある駒というのはある。
 原田先生の書と熊澤さんの駒を見ているうちに、自分の駒、自分の書体による駒が欲しくなった。この世に一つだけの、自分のためだけの駒が・・・。この時にはそれほど強く意識していなかったのだが、今、振り返ってみると、この時の自分の精神状態がよくわかる気がする。自分の将棋を取り戻したい、常に頭の中にはそのことが渦巻いていたのだ。その渦の中からするすると手が伸びてきて、自分の駒を捜している。駒を捜す触手は、闇の中から自分を引き上げるための、手掛かりをつかもうとする手であったのかもしれない。
 六月、熊澤さんに私の書による駒を一組作っていただくようお願いした。駒の素材についてはお任せすることにした。王将から歩まで、すべて自分で書き、熊澤さんにお預けした。
 後日、この駒の制作依頼の話を聞いた人が、不思議そうな顔をした。「そんな時に、よく自分の駒を作ろうと思いましたね」と。普通なら、何かの記念、それも祝い事や慶事の時に作るのではないかと言うのだ。
 私が欲しかったのは記念の駒ではなかった。一番苦しい時の自分の字を、駒に残したかった。それを手元に置いて、その駒で自分の将棋を取り戻す。この不調を自分で乗り越えるには、苦しい時の自分から逃げてはいけないと思ったからだ。
 
 「至龍の駒」
 駒の制作費についても熊澤さんにお任せした。熊澤さんは、少し考えられた後、こう言われた。
 「5五の龍、ということでいかがでしょう」
 『5五の龍』という題名の将棋コミックがあり、それに掛けたものだった。五十五万円ということだが、本格的な駒の一組の制作には数か月もの日数と手間とがかかる。熊澤さんのご好意を感じた。
 5五というのは、九x九枡の将棋盤のちょうど真ん中に位置する、中央の枡である。四方八方どこにでも行けるという枡に龍があるという意味だ。「龍」は私の好きな駒「飛」が敵陣に入って成った時の駒名である。
 お願いした駒が仕上げにかかっている頃、私は竜王戦の挑戦者として羽生六冠王と対局していた。タイトル戦の挑戦者となるのは二年ぶり、海外での対局も、BSの中継が入る対局も久しぶりのことだった。十一月二十九日、七番勝負を四勝一敗で勝ち、私は竜王位を奪取した。この日は、9ヵ月半の無冠から脱却した日でもある。8月頃から、復調の兆しはあったのだが、竜王戦の挑戦者決定トーナメントを勝ち上がり、名人位と並ぶ棋界のビッグ・タイトルに挑戦できることが、非常にうれしかった。
 後日、東京で竜王の就位式があったが、その時に熊澤さんから「至龍」の銘が入ったもう一組の駒を頂いた。私がお願いしたのは一組だけだったが、その姉妹駒として同時に制作されていた駒を、竜王復位のお祝いとして贈っていただいたのだ。

 駒について書かれたものから引用させていただく。
ーー「谷川浩司書」の駒は、谷川九段(当時)の要請を受けて昨年七月に着手し、約半年かけてこのほど誕生した「谷川竜王、三十四歳の筆跡」の駒です。「至龍の駒」はその「谷川浩司書」初作駒の姉妹駒で、いずれ実現するであろう慶事を予感して、その時のために供すべく、ほぼ並行して制作しておりましたところ、早々に第九期竜王戦にて見事「竜王」復位を果たされました。これを賀し「至龍」の銘を刻み、「至龍の駒」誕生を担い得た喜びとともに、僭越ながら竜王就位の今日、この駒を谷川新王位に贈ります。奇しくもこの駒の制作過程が谷川新竜王誕生(復位)に至った今期竜王戦進行時期と重なるところから、「竜王に至る駒」として、且つ「斯界の龍」谷川新竜王の筆跡にも因んで、「至龍の駒」と命名しましたーー

 奇しくも、とは言い得て妙の言葉だ。人の知恵には限りがある。ここでこうなるとは、分からないところに人生の機微がある。
 世界に二つとない駒のはずが、奇しくも二組手元にある。苦しい時と喜びの時と、そのどちらも忘れてはいけないことを教えてくれる、至宝の駒である。

 以上ですが、追記として、
 谷川先生からはその後、「将来、お世話になった人などに贈りたい」とのことで、複数組の追加注文をいただきました。お弟子の都成さんが四段に入品されたお祝いとして贈られたのは、その中の一組と聞いております。
 なお、当初より私は、この駒は本人の要請、または許可が無いと制作しないと決めておりました。しかし困ったことに、ニセ物事件が相次いで発覚したのです。調べてゆくと東京を震源地として関係者は天童・静岡に及び、そしてもう一つは大阪で、中には比較的近しい人も居たりで、この世界のモラルの無さ、低さを嘆くこと、しきりでした。

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「谷川浩司書」の駒

2022-03-05 19:07:23 | 文章

3月5日(土)、晴れ曇り、時に雨。

気温は上昇しましたが、空は変わりやすい一日でした。

「谷川浩司書の駒」について。
ある方から、「谷川先生の駒が欲しい方がいるのですが、どうすればよいでしょうか」、とのお尋ねがありました。

以下は、その答えです。

===
そもそも「谷川先生の駒」は、先生と小生の共同作業で生まれた駒であり、谷川先生の許可が無い限り、一存で作ることはしないと決めております。
と言いますのも、谷川浩司書の駒は、一般的な駒とは違って、25年前、先生が王将の座をなくし無冠となられた34才のとき、再びの復活を期して日頃の将棋研究に使う駒を、ご自身の筆跡で作ろうと決意されて誕生した駒であり、それにより「龍王」「名人」を見事、奪還されました。
そのあたりのことは、著書(毎日新聞社刊)「復活」に詳しく述べられています。

その後、10数年が経過した二度目では「お世話になった方へ贈る駒」として数組制作を承り、今回は「新将棋会館建設に伴う駒」として何組かを作らせていただきました。そのいずれもは、谷川先生もしくは日本将棋連盟の要請、ご意向によって作っているもので、そのことをご理解いただきとう存じます。

なお、谷川先生の駒は以前、モラルに欠けた心無い複数の人(東京・天童・静岡・大阪)の手によって、雑誌の写真などを利用してモラル逸脱も甚だしい「真っ赤な偽物」が作られて、先生ともども心を痛めた経緯がありました。そのことも申しあげておかねばなりません。

以上。




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肉筆の「摩訶大々象戯駒」

2022-03-02 20:25:03 | 写真

ワクワクしながら書き始めた「摩訶大々象戯駒」。
先に作った「ひな形」を見ながら書くのですが、参考にするのは、文字の大きさと配置、バランス感覚。
文字は、筆先を使っての一筆の出たとこ勝負。書き直しは出来ません。
「鉄将」の「鉄」は、鐡あるいは鐵、銕などといろいろあるのですが、今は使われることが無くなったけれど、水無瀬兼成さんの象戯図にある「金偏に截」を使いました。

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「ひな形」づくり

2022-03-01 18:44:37 | 文章

木地磨きは一応、区切りがつきましたので、肉筆文字書きの前準備を始めました。
手始めは、どんな文字にするかということで、駒の大きさに合わせての文字とその形、大きさの基本とする制作見本、つまり「ひな形」作り。
普通の駒40枚の将棋であれば、このようなことはしませんが、何せ普段はなじみのない文字を書かねばなりませんし、それに「鉄将」の「鉄」などは「鐵」もあるし「鐡」もありますので、どの字で書くかを決めなければなりません。
それに文字の大きさも、違和感がなく適切なものでなくてはなりません。
ぶっつけ本番では不都合なので、あらかじめ「ひな形」を作っておいて、それを見ながら歩兵なら38枚、そのほかは4枚、あるいは2枚と、必要な枚数を漆書きするわけです。
映像は、今日、作り始めた魔訶大々象戯駒の「ひな形」。
文字を書いた紙を木地に貼り付けたところ。
まだ一部ですが、こんな感じです。

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フリーハンドの楽しみ

2022-03-01 13:10:44 | 文章

3月1日(火)、雨。
朝から冷たい雨が続いています。
予報では「昨日より暖か」とのことでしたが、昨日より寒さが強まっています。
今日のしごとは、昨日の続き「摩訶大々将棋駒」の木地づくり。
何せ200枚近く用意せねばなりません。
そのうち、昨日今日は、玉将などの大駒と、歩兵以外の140枚ほどを先行しての木地づくりなのですが、ウキウキした気持ちで、磨き続けています。

そのウキウキした気持ちは、このあとの文字書きです。
文字は駒一枚の裏表で3文字平均を書くことになります。
192枚の総数は、およそ600文字になるわけです。
600文字を集中してフリーハンドで書く。
それを考えると、楽しいのですね。
さーて、どんな文字が書けるかですが、フリーハンドの漆書き。
ワクワクはその幸せな気持ち。それが楽しいのですね。
「楽しい」は、創作意欲の原点だと思います。
今は、着手に向け、とにかくそのキャンバスとなる木地に一層の磨きをかけているのです。

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駒の写真集

リンク先はこちら」 http://blog.goo.ne.jp/photo/11726