熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
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盛り上げ駒と書き駒の比較考

2024-06-05 11:41:42 | 文章

6月5日(水)、晴。
雲はありますが、今日もさわやかな陽ざしです。

先日、コメントで二つ、質問と言いますか指摘をいただきました。
その一つです。
ーー

ーーー
「書き駒」は、文字が消えてしまいますよね。
そのほかに、見た目、出来上がった「盛り上げ駒」と「肉筆の書き駒」に違いはありますか?
ーーー
これに対するお答えです。

そうですね。
「書き駒」は永年使い続けていると、漆で書いた文字がすり減って、次第に消えてゆくのは、おっしゃる通りです。
でもやまちゃんは、そのような文字が消えかけた駒を見たことがありますか? 
あまり無いのではないかと思います。

私は文字が消えかかった江戸時代に作られた「守幸筆の書き駒」を一組、持っています。
いつの頃に文字が消えたのかは分かりませんが、作られたのはおそらく250年ほど前のモノです。
盛んに使われたのでしょう。その結果、銀将と角行の裏などは摩耗が激しく、文字が完全に無くなって、歩兵の裏なども同様の状態のモノもあり、その古い駒を見るにつけ「ここに至るまで、良く使い続けたもんだなあ」と思うのです。

さて、「盛り上げ駒」の場合はどうかです。
良く使われた「盛り上げ駒」で、文字(特に裏の文字)の漆がいちばん高くなったところが少し平らになっていて、そのような駒は結構見かけます。
しかし、土台の木地の根っこのところまで極端にすり減って、そこまで使い込まれた駒は勲章モノ。
そのような駒はほとんど見かけませんが、では、
何百局、何千局使えば、書かれた文字が消えてしまうのでしょうかです。

それを知りたくて、昔一度、実験を試みたことがあります。
あるとき一枚の「
銀将」を、堅い机に「パシッ」と1000回数えて叩きつけるのですね。
それを毎日続けて、ひと月が経過したころ、子細に見ると、漆の文字の一番高くなっているところが僅か平たくなってはいるものの、文字全体に大きな変化はなく、そのことで盤上に駒を打ち付けたとき、漆の高いところを軸にクルッと回転することが無くなって、駒に安定感が備わりました。

実験で打ち付けた回数は、ひと月30日間x1000回で3万回。
1局で「銀将」
を20回動かすとして1500局。
1500局は大変な数で、普通の人なら一生かかっても、それには及ばない数字だと思います。

結論として申しあげたいのは、「漆が摩耗して文字が消えてしまう書き駒の一面性は、50年も100年も使い続けたとき、やがてそうなるのであって、現実として余り考えなくてもよいのでは」。
と言うことです

まだ書きたいことはありますが、今日はここまで。

 

コメント (3)
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