1月31日(月)、晴。
今日も寒い一日でした。
ある方からのお尋ねです。
「書き駒では、どんなことが難しいですか」。
それにお答えいたします。
「そうですね。盛り上げ駒と比べて難しいことはいろいろありますね。
まず第一は文字の位置を揃えること。そして文字の形を揃えることです。
盛り上げ駒の場合、下地に文字の形と位置が明確に示されているわけですが、書き駒の場合は、何もないところに、いきなりフリーハンドで漆の文字を書くのですから、文字の位置取りをピタリと見極めるのが難しい。
すなわち、第一画の筆の降ろし先、それを確実に間違いないところに下ろす。
これが難しいということになります。その時、迷いがあってはいけません。迷いがあると、よい位置になることは無いわけです。
そういう時は、木地を余分に用意して、残り4枚を補正した位置になおして、文字を書くことになります。
文字の形も、下地がある盛り上げ駒の時は、揃えるのは容易ではありますが、書き駒の時はフリーハンドなので、精神を整え、統一した状態で筆を運ばせなければなりません。ですが、これが結構揃うのですね。
筆に付ける漆の量は、ある程度たっぷり。
これが、一筆書きのポイントです。
漆が少ないと、一筆書きにはならないのです。
1月30日(月)、曇り。
あい変わらずの寒空です。
仕事は引き続いての「雛駒」。
それに関して、ある方からのコメント。
非公開扱いのコメントでしたが、コピーして掲載させていただきます。
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非公開扱い
雛駒は、普通サイズの駒より安いようです。工賃を考えれば、むしろ高くなっても納得です。今日も、国会中継を視聴しながらのお仕事でしょうか。
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そうですね。雛駒の場合、木地の材料は、普通にレギュラーサイズに成型したモノから、都度、雛駒のサイズに再成形します。
木地の端を面取りするのも大変で、利き手の親指と人差し指でしっかりと持ちながら、サンドペーパーにあてがって擦ることで、いつの間にか爪先が削れ、指の皮も一緒に擦ってしまう。そして、駒の角が繰り返し当たる指先の指紋があるところなどは、皮が破れて痛みをこらえての繰り返し、という訳です。
一組作る場合でも、リスクを考慮して、ある程度の余裕を持たせて1組半とか、2組分とかの木地を用意することになります。
今回の場合は、書き駒のほかに、一組は盛り上げで作ろうかと、3組分の木地を用意したわけです。
雛駒でも、もう少し大きい盤の大きさが30x27センチの駒の場合は、時にして盛り上げ駒で作ることもあるのですが、今回のように半分程度(面積では1/4)の小さな場合は、専ら書きゴマで作っておりました。
ですが今回の場合は、フトしたことで、盛り上げで意図した駒が作れるかどうか、チャレンジすることにしたわけです。
普通サイズに比べて、極端に小さい雛駒の場合、文字を彫るだけでも結構困難なものになるわけですし、一旦彫り埋め状態にして、最終的には小さな文字で書き上げなければなりません。
はたして納得できるものができるかどうか。その辺がチャレンジという訳です。
途中工程の、彫り埋めで仕上げることもできますが、私の感覚では、彫り埋め駒というのは、あくまで途中工程の中途半端な仕上がりのモノであり、含みとか奥行きの点で物足らない。そのように思っています。
ご指摘のように、手間がかかっているにも関わらず、価格は安いのではないか、とのことですが、私の場合、雛駒に関しては、コストにかかわらず、もっと使ってほしいとの思いがあり、出来るだけ入手しやすい値段にしております。
工業製品なら、コストが値段に大きくかかわるのでしょうが、手作りの駒の場合は、作者の思いと買っていただけそうな方、使ってくださいそうな方の見方と気持ち、それこそが重要であり大切にしたいと思っています。