熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
送料込み5000円。
残部僅少ながら、注文受付中。

目次

作品 文章 写真 販売品

ふたたび「平箱」について

2022-02-18 02:17:28 | 文章

2月18日(金)、深夜。

Tすずき様より、再度、ご意見をいただきました。

ーーー小生の駒箱への考えを話します。
昨年から将棋に興味を持ちだし、将棋道具を集め始めました。
初心者の常で、初めは形から入りました。対局では、駒袋が駒箱に入れてあり、その袋から駒が盤上に出されるのを拝見しました。
そこで、駒を集めながら駒箱と駒袋も集め始めました。
しかしながら、駒の手入れをしているうちに、駒箱を開けて駒袋から駒を出して磨く手順の手間が少し、腑に落ちなくなりました。
結論から申し上げれば、「駒それぞれのすべてが一覧できる上、駒にキズを付けずに保管しておく」には、平箱が最適だと得心しました。
ーーー

以下は、これに対して、小生の意見です。

対局時、盤上に置いて使う四角い駒箱は、伝統的な様式美であります。
一方、貴兄の「平箱は、駒が一覧出来てキズがつかない」とのご意見は、そのとおりで、保管には最適です。

それは私が先に述べたように、駒屋さんや制作者にとって、商品に疵をつけないという販売上の必須条件なのですが、片や、将棋を全く指すことなく、駒を集めて眺めている愛好者もおられます。
その方々は、駒に傷がつくことを極力避けながら、そっと眺めているのだろうと思います。
それはもっともなこととは思うのですが、大きな欠損や傷は別として、駒は使われてこそ価値があるわけで、大切に使っていれば、駒の価値を下げる致命的な傷は付かないものなのです。

一般の消費者、つまり、プロを含む駒の使用者たる将棋愛好家にとって、使用することで「駒に小傷がつく」こと自体は自然なことで、むしろ、駒全体がしっとりして自然な良い感じになるのですが、おそらくはその方々は、キズが付くことを恐れるあまり、駒を触ることがないまま、実感されていないのではないでしょうか。

かって大山名人が、私ともう一人の前で、その人が大山名人に見せに持ってきた「新しく購入した駒(確か静山作の錦旗の盛り上げ)」を、どれどれと言いながら袋から出して、両手のひらでくるみながらグルグルと揉んで、「新品の駒はこのようにするのが良い」と、おっしゃったことがあります。

つまり大山名人は、駒は小傷を気にすることなく使って、むしろ自然な小傷は人にとっての向こう傷でもあるかのような口ぶりであり、それを見た私はびっくりしましたが、直ぐに「なるほど」と思ったものです。

私なりの結論を申し上げます。
駒は眺めるだけでなく、時には箱から出し、自らの指先で実際に盤に並べて他の惜しんでいただきたいと思います。
箱のまま、いつまでも納めたままではカビが生じます。
カビは駒にとって致命的です。一旦ついたカビは取ろうとしても取れません。
駒には人の自然な指先の油っ気が一番。
駒の価値を高めます。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

駒の写真集

リンク先はこちら」 http://blog.goo.ne.jp/photo/11726