2019-0715-man3252
万葉短歌3252 ひさかたの3045
ひさかたの 都を置きて 草枕
旅行く君を いつとか待たむ ○
3045 万葉短歌3252 ShuG086 2019-0715-man3252
□ひさかたの みやこをおきて くさまくら
たびゆくきみを いつとかまたむ
○=出典未詳。
【編者注】相聞(3248-3304、57首)の第5首。女。3250番歌(長歌)への第二反歌。
【訓注】ひさかたの(久堅之)。都(みやこ=王都)。旅行く君(たびゆくきみ=羈徃君)。いつとか(何時可)。
2019-0714-man3251
万葉短歌3251 大船の3044
大船の 思ひ頼める 君ゆゑに
尽す心は 惜しけくもなし ○
3044 万葉短歌3251 ShuG086 2019-0714-man3251
□おほぶねの おもひたのめる きみゆゑに
つくすこころは をしけくもなし
○=出典未詳。
【編者注】相聞(3248-3304、57首)の第4首。女。3250番歌(長歌)への第一反歌。
【訓注】大船(おほぶね=大舟)。思ひ頼める(おもひたのめる=思憑)。
*** 万葉集 巻13 相聞(3248-3304、57首) 始 ***
2019-0713-man3249
万葉短歌3249 磯城島の3043
磯城島の 大和の国に 人ふたり
ありとし思はば 何か嘆かむ ○
3043 万葉短歌3249 ShuG082 2019-0713-man3249
□しきしまの やまとのくにに ひとふたり
ありとしおもはば なにかなげかむ
○=出典未詳。
【編者注】相聞(さうもん、3248-3304、57首)の第2首。女。3248番歌(長歌)への反歌。左注に、「右二首」。
【訓注】磯城島(しきしま=式島)[下記注]。大和の国(やまとのくに=山跡乃土)。人ふたり(ひとふたり=人二)。
【編者注-しきしまの】集中の出現は、次の7か所。09-1787(長歌)礒城島能 日本国乃(しきしまの やまとのくにの)、13-3248(長歌)式島之 山跡之土丹(しきしまの やまとのくにに)、-3249式島乃 山跡乃土丹(しきしまの やまとのくにに)、-3254志貴島 倭国者(しきしまの やまとのくには)、-3326(長歌)礒城島之 日本国尓(しきしまの やまとのくにに)、19-4280之奇島能 人者和礼自久(しきしまの ひとはわれじく)、20-4466之奇志麻乃 夜末等能久尓々(しきしまの やまとのくにに)。
2019-0712-man3246
万葉短歌3246 天なるや3042
天なるや 月日のごとく 我が思へる
君が日に異に 老ゆらく惜しも ○
3042 万葉短歌3246 ShuG076 2019-0712-man3246
□あめなるや つきひのごとく あがおもへる
きみがひにけに おゆらくをしも
○=出典未詳。
【編者注】雑歌(3221-3247、27首)の第26首。男。3245番歌(長歌)への反歌。左注に、「右二首」。3247番歌は長歌。
【訓注】我が思へる(あがおもへる=吾思有)。君が日に異に(きみがひにけに=公之日異)。
*** 万葉集 巻13 雑歌(3221-3247、27首) 終 ***
2019-0711-man3244
万葉短歌3244 阿胡の海の3041
阿胡の海の 荒磯の上の さざれ波
我が恋ふらくは やむ時もなし ○
3041 万葉短歌3244 ShuG073 2019-0711-man3244
□あごのうみの ありそのうへの さざれなみ
あがこふらくは やむときもなし
○=出典未詳。
【編者注】雑歌(3221-3247、27首)の第24首。男。3243番歌(長歌)への反歌。左注に、「右二首」。3242は長歌。
【訓注】阿胡の海(あごのうみ=阿胡乃海)[「広島県呉市の阿賀(あが)か。」(依拠本)、「広島県呉市の南、倉橋島周辺か。」(講談社『万葉集事典』)]。荒磯(ありそ=荒礒)。さざれ波(さざれなみ=少浪)。我が恋ふらくは(あがこふらくは=吾恋者)。やむ時(やむとき=息時)。
2019-0710-man3241
万葉短歌3241 天地を3040
天地を 憂へ祈ひ祷み 幸くあらば
またかへり見む 志賀の唐崎 ○
3040 万葉短歌3241 ShuG065 2019-0710-man3241
□あめつちを うれへこひのみ さきくあらば
またかへりみむ しがのからさき
○=出典未詳。
【編者注】雑歌(3221-3247、27首)の第21首。男。3240番歌(長歌)への反歌。左注に、「右の二首。ただし、この短歌は、或書には<穂積朝臣老(ほづみのあそみおゆ)が佐渡に配(なが)さえし時に作る歌>といふ」。下記注。
【訓注】天地(あめつち)。憂へ祈ひ祷み(うれへこひのみ=難乞祷)[03-0443(長歌)天地乃 神祇乞祷(あめつちの かみをこひのみ)、20-4499安米都知乃 可未乎許比能美(あめつちの こひのみ)。原文三文字の訓に諸説]。志賀の唐崎(しがのからさき=思我能韓埼)[琵琶湖岸、滋賀県大津市辺]。
【 編者注-「配」】集中3か所出現。01-0024(長歌)是云配于伊勢国伊良虞島者、06-1019(題詞)石上乙麻呂卿配土左国之時歌三首 并短歌、13-3241(左注)右二首 但此短歌者 或書云穂積朝臣老配於佐渡之時作歌者也。保留。
2019-0709-man3238
万葉短歌3238 逢坂を3039
逢坂を うち出でて見れば 近江の海
白木綿花に 波立ちわたる ○
3039 万葉短歌3238 ShuG056 2019-0709-man3238
□あふさかを うちいでてみれば あふみのうみ
しらゆふばなに なみたちわたる
○=出典未詳。
【編者注】雑歌(3221-3247、27首)の第18首。男。3237番歌(長歌、或本歌)への反歌。左注に、「右三首」。
【訓注】逢坂(あふさか=相坂)[滋賀県大津市逢坂(おうさか)]。近江の海(あふみのうみ=淡海之海)[琵琶湖]。白木綿花(しらゆふばな)[「白木綿〔白い木綿(ゆふ)〕を花に見立てた語。」『詳説古語辞典』]。
【参考歌】箱根路を我が越え来れば伊豆の海や 沖の小島に波の寄る見ゆ 源実朝(『金槐集』『続後撰集』)
2019-0708-man3235
万葉短歌3235 山辺の3038
山辺の 五十師の御井は おのづから
成れる錦を 張れる山かも ○
3038 万葉短歌3235 ShuG048 2019-0708-man3235
□やまのへの いしのみゐは おのづから
なれるにしきを はれるやまかも
○=出典未詳。
【編者注】雑歌(3221-3247、27首)の第15首。男。3234番歌(長歌)への反歌。左注に、「右二首」。なお3233番歌は、集中唯一の旋頭歌形式の反歌。
【訓注】山辺の五十師(やまのへの いし=山辺乃 五十師)[三重県鈴鹿市山辺町(やまべちょう)辺]。
2019-0707-man3231
万葉短歌3231 月日は3037
月日は 変らひぬとも 久に経る
みもろの山の 離宮ところ ○
3037 万葉短歌3231 ShuG043 2019-0707-man3231
□つきひは かはらひぬとも ひさにふる
みもろのやまの とつみやところ
○=出典未詳。
【編者注】雑歌(3221-3247、27首)の第11首。男。3230番歌(長歌)への反歌。左注(読下し)に、「右の二首。ただし、或本の歌には<古き都の 離宮(とつみや)ところ>といふ。」
【訓注】月日は(つきひは=月日)[下記注]。みもろの山(みもろのやま=三諸之山)。離宮(とつみや=砺津宮)[「外(と)つ宮所」]。古き都(ふるきみやこ=古王都)[「明日香の古京」]。
【依拠本注-月日】「月日」は月次日次を示し、「日月」は照らす日月を示すことが多い。
【編者注-月日】03-0443(長歌)何在 歳月日香(いかにあらむ としつきひにか)、04-0510還来武 月日乎数而(かへりこむ つきひをよみて)、-0958下従吾痩 月日異(したゆあれやす つきにひにけに)、10-2066択月日 逢義之有者(つきひえり あひてしあれば)、など。
2019-0706-man3229
万葉短歌3229 斎串立て3036
斎串立て 御瓶据ゑ奉る 祝部が
うずの玉かげ 見ればともしも ○
3036 万葉短歌3229 ShuG037 2019-0706-man3229
□いぐしたて みわすゑまつる はふりへが
うずのたまかげ みればともしも
○=出典未詳。
【編者注】雑歌(3221-3247、27首)の第9首。男。3227番歌(長歌)への第二反歌。左注(読下し)に、「右の三首。ただし、或書には、この短歌一首は載(の)することあるなし。」
【訓注】斎串(いぐし=五十串)。御瓶据ゑ奉る(みわすゑまつる=神酒座奉)。祝部(はふりへ=神主部)[10-2309祝部等之 斎経社之(はふりらが いはふやしろの)、-2981祝部等之 斎三諸乃(はふりらが いはふみもろの)]。うずの玉かげ(うずのたまかげ=雲聚玉陰)[下記注]。
【依拠本注-うずの玉かげ】「うず」は頭に挿して髪飾りにした木の枝や花などをいう。「玉かげ」はひかげのかずらをほめて呼んだ語。常緑の蔓性植物で、葉は杉に似る。
【編者注-うずの玉かげ】19-4266(長歌)安可流橘 宇受尓指(あかるたちばな うずにさし)、-4276照在橘 宇受尓左之(てれるたちばな うずにさし)。14-3573安之比奇能 夜麻可都良加氣(あしひきの やまかづらかげ)。
2019-0705-man3228
万葉短歌3228 神なびの3035
神なびの みもろの山に 斎ふ杉
思ひ過ぎめや 苔生すまでに ○
3035 万葉短歌3228 ShuG037 2019-0705-man3228
□かむなびの みもろのやまに いはふすぎ
おもひすぎめや こけむすまでに
○=出典未詳。
【編者注】雑歌(3221-3247、27首)の第8首。男。3227番歌(長歌)への第一反歌。
【訓注】神なびの(かむなびの=神名備能)。みもろの山(みもろのやま=三諸之山)[三輪山。11-2472三諸山、11-2512三毛侶乃山、など]。斎ふ杉(いはふすぎ=隠蔵杉)。苔(こけ=蘿)。
2019-0704-man3226
万葉短歌3226 さざれ波3034
さざれ波 浮きて流るる 泊瀬川
寄るべき磯の なきがさぶしき ○
3034 万葉短歌3226 ShuG033 2019-0704-man3226
□さざれなみ うきてながるる はつせがは
よるべきいその なきがさぶしき
○=出典未詳。
【編者注】雑歌(3221-3247、27首)の第6首。男。3225番歌(長歌)への反歌。
【訓注】さざれ波(さざれなみ=沙邪礼浪)。泊瀬川(はつせがは=長谷河)[「奈良県桜井市初瀬から三輪山の南を回って北流し、佐保川に注ぐ川。」 下記注]。
【編者注-はつせがは】01-0079隠国乃 泊瀬乃川尓(こもりくの はつせのかはに)、06-0991多芸千流留 泊瀬河(たぎちながるる はつせがは)、07-1107泊瀬川 白木綿花尓(はつせがは しらゆふばなに)、など。
***** 万葉集 巻13(3221~3347、百二十七首) 始 *****
雑歌(3221-3247、27首)
相聞(3248-3304、57首) 3253、3254=柿本人麻呂歌集
問答(3305-3322、18首) 3309=柿本人麻呂歌集
譬喩歌(3323、1首)
挽歌(3324-3347、24首)
*** 万葉集 巻13 雑歌(3221-3247、27首) 始 ***
2019-0703-man3224
万葉短歌3224 ひとりのみ3033
ひとりのみ 見れば恋しみ 神なびの
山の黄葉 手折り来つ君 ○
3033 万葉短歌3224 ShuG026 2019-0703-man3224
□ひとりのみ みればこひしみ かむなびの
やまのもみちば たをりきつきみ
○=出典未詳。
【編者注】雑歌(ざふか、3221-3247、27首)の第4首。女。3223番歌への反歌。3221~23歌は、長歌。 【訓注】神なびの(かむなびの=神名火乃)。黄葉(もみちば)。
2019-0702-man3220
万葉短歌3220 豊国の3032
豊国の 企救の高浜 高々に
君待つ夜らは さ夜更けにけり ○
3032 万葉短歌3220 ShuF802 2019-0702-man3220
□とよくにの きくのたかはま たかたかに
きみまつよらは さよふけにけり
○=出典未詳。
【編者注】問答歌(3211-3220、10首)の第10首。女。
【訓注】豊国の企救(とよくにの きく=豊国能 聞)。さ夜更けにけり(さよふけにけり=左夜深来)。
*** 万葉集 巻12 問答歌の部(3211-3220、10首) 終 ***
***** 万葉集 巻12(2841~3220、380首) 終 *****
2019-0701-man3219
万葉短歌3219 豊国の3031
豊国の 企救の長浜 行き暮らし
日の暮れゆけば 妹をしぞ思ふ ○
3031 万葉短歌3219 ShuF802 2019-0701-man3219
□とよくにの きくのながはま ゆきくらし
ひのくれゆけば いもをしぞおもふ
○=出典未詳。
【編者注】問答歌(3211-3220、10首)の第9首。男。
【訓注】豊国の企救(とよくにの きく=豊国乃 聞)[12-3130豊洲 聞浜松(とよくにの きくのはままつ)、参照]。行き暮らし(ゆきくらし=去晩)。日の暮れゆけば(ひのくれゆけば=日之昏去者)。
【2010年11月01日開設から】3163日
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