万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌1305 見れど飽かぬ1175

2014年03月15日 | 万葉短歌

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万葉短歌1305 見れど飽かぬ1175

見れど飽かぬ 人国山の 木の葉をし
我が心から なつかしみ思ふ  柿本人麻呂

1175     万葉短歌1305 ShuD288 2014-0315-man1305

みれどあかぬ ひとくにやまの このはをし
  わがこころから なつかしみおもふ
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注のいずれもないが、作者名は第1310歌左注読下しによる。
【編者注】「寄木」二首(1304~1305)の第2首。
【訓注】人国山の(ひとくにやまの=人国山)[和歌山県田辺市秋津町?]。我が心から(わがこころから=己心)。なつかしみ思ふ(なつかしみおもふ=名著念)。


万葉短歌1304 天雲の1174

2014年03月14日 | 万葉短歌

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万葉短歌1304 天雲の1174

天雲の たなびく山に 隠りたる
我が下心 木の葉知るらむ  柿本人麻呂

1174     万葉短歌1304 ShuD287 2014-0314-man1304

あまくもの たなびくやまに こもりたる
  わがしたごころ このはしるらむ
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注のいずれもないが、作者名は第1310歌左注読下しによる。
【編者注】題詞「寄木」二首(1304~1305)の第1首。
【訓注】たなびく山に(たなびくやまに=棚引山)。我が下心(わがしたごころ=吾下心)。


万葉短歌1303 潜きする1173

2014年03月13日 | 万葉短歌

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万葉短歌1303 潜きする1173

潜きする 海人は告れども 海神の
心し得ねば 見ゆといはなくに  柿本人麻呂

1173     万葉短歌1303 ShuD285 2014-0313-man1303

かづきする あまはのれども わたつみの
  こころしえねば みゆといはなくに
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注のいずれもないが、作者名は第1310歌左注読下しによる。
【編者注】「寄衣」八首(1296~1303)の第8首。
【訓注】潜き(かづき=潜)。海人は(あまは=海子)。海神の(わたつみの=海神)。


万葉短歌1302 海神の1172

2014年03月12日 | 万葉短歌

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万葉短歌1302 海神の1172

海神の 持てる白玉 見まく欲り
千たびぞ告りし 潜きする海人は  柿本人麻呂

1172     万葉短歌1302 ShuD285 2014-0312-man1302

わたつみの もてるしらたま みまくほり
  ちたびぞのりし かづきするあまは
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注のいずれもないが、作者名は第1310歌左注読下しによる。
【編者注】「寄衣」八首(1296~1303)の第7首。
【訓注】海神(わたつみの)。千たびぞ告りし(ちたびぞのりし=千遍告)。潜き(かづき=潜)。海人は(あまは=海子)。


万葉短歌1301 海神の1171

2014年03月11日 | 万葉短歌

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万葉短歌1301 海神の1171

海神の 手に巻き持てる 玉ゆゑに
磯の浦みに 潜きするかも  柿本人麻呂

1171     万葉短歌1301 ShuD285 2014-0311-man1301

わたつみの てにまきもてる たまゆゑに
  いそのうらみに かづきするかも
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注のいずれもないが、作者名は第1310歌左注読下しによる。
【編者注】「寄衣」八首(1296~1303)の第6首。
【訓注】海神(わたつみの)。手に巻き(てにまき=手纏)。磯の浦みに(いそのうらみに=石浦回)。潜き(かづき=潜)。


万葉短歌1300 をちこちの1170

2014年03月10日 | 万葉短歌

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万葉短歌1300 をちこちの1170

をちこちの 磯の中にある 白玉を
人に知らえず 見むよしもがも  柿本人麻呂

1170     万葉短歌1300 ShuD284 2014-0310-man1300

をちこちの いそのなかにある しらたまを
  ひとにしらえず みむよしもがも
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注のいずれもないが、作者名は第1310歌左注読下しによる。
【編者注】「寄衣」八首(1296~1303)の第5首。
【訓注】をちこちの(遠近)。磯(いそ=礒)。


万葉短歌1299 あぢ群の1169

2014年03月09日 | 万葉短歌

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万葉短歌1299 あぢ群の1169

あぢ群の とをよる海に 舟浮けて
白玉採ると 人に知らゆな  柿本人麻呂

1169     万葉短歌1299 ShuD283 2014-0309-man1299

あぢむらの とをよるうみに ふねうけて
  しらたまとると ひとにしらゆな
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注のいずれもないが、作者名は第1310歌左注読下しによる。
【編者注】「寄衣」八首(1296~1303)の第4首。
【訓注】あぢ群の(あぢむらの=安治村)[巴鴨群]。とをよる(十夜)。


万葉短歌1298 千の名に1168

2014年03月08日 | 万葉短歌

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万葉短歌1298 千の名に1168

千の名に 人は言ふとも 織り継がむ
我が機物の 白き麻衣  柿本人麻呂

1168     万葉短歌1298 ShuD281 2014-0308-man1298

ちぢのなに ひとはいふとも おりつがむ
  わがはたものの しろきあさごろも
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注のいずれもないが、作者名は第1310歌左注読下しによる。
【編者注】「寄衣」八首(1296~1303)の第3首。
【訓注】千の名に(ちぢのなに=千名)。我が機物の(わがはたものの=我廿物)。


万葉短歌1297 紅に1167

2014年03月07日 | 万葉短歌

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万葉短歌1297 紅に1167

紅に 衣染めまく 欲しけども
着てにほはばか 人の知るべき  柿本人麻呂

1167     万葉短歌1297 ShuD280 2014-0307-man1297

くれなゐに ころもそめまく ほしけども
  きてにほばばか ひとのしるべき
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注のいずれもないが、作者名は第1310歌左注読下しによる。
【編者注】「寄衣」八首(1296~1303)の第2首。
【訓注】着てにほはばか(きてにほはばか=著丹穂哉)。


万葉短歌1296 今作る1166

2014年03月06日 | 万葉短歌

- 譬喩歌 -

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万葉短歌1296 今作る1166

今作る 斑の衣 面影に
我れに思ほゆ いまだ着ねども  柿本人麻呂

1166     万葉短歌1296 ShuD278 2014-0306-man1296

いまつくる まだらのころも おもかげに
  われにおもほゆ いまだきねども
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注・左注のいずれもないが、作者名は第1310歌左注読下しによる。
【編者注】題詞原文は「寄衣」(衣[きぬ]に寄す)。八首(1296~1303)の第1首。
【訓注】我れに(われに=吾尓)。思ほゆ(おもほゆ=所念)。
【編者注-巻七の譬喩歌】部立としては巻三(0390~0414)に既出。巻七では前の雑歌に続き、後の挽歌へ引継がれる位置づけ。第1296歌~第1310歌(左注読下しは、「右の十五首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。」)までの15首は人麻呂歌集、第1311歌~第1402歌の92首は出典未詳歌。


万葉短歌1271 遠くありて1165

2014年03月05日 | 万葉短歌

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万葉短歌1271 遠くありて1165

遠くありて 雲居に見ゆる 妹が家に
早く至らむ 歩め黒駒  柿本人麻呂

1165     万葉短歌1271 ShuD235 2014-0305-man1271

とほくありて くもゐにみゆる いもがいへに
  はやくいたらむ あゆめくろこま
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。作者名・脚注のいずれもないが、作者名は左注読下しによる。
【編者注】題詞は「行路」(かうろ)。左注読下しは、「右の一首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。」
【訓注】雲居(くもゐ)。妹(いも)。黒駒(くろこま)。
【編者注-旋頭歌】第1272歌(次歌)~第1295歌までの24首は、旋頭歌。その最初に題詞「旋頭歌」、その第23首(1294)に左注読下し「右の二十三首は柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。」とあって、最後の第24首には脚注・左注はない。


万葉短歌1270 こもりくの1164

2014年03月04日 | 万葉短歌

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万葉短歌1270 こもりくの1164

こもりくの 泊瀬の山に 照る月は
満ち欠けしけり 人の常なき  

1164     万葉短歌1270 ShuD233 2014-0304-man1270

こもりくの はつせのやまに てるつきは
  みちかけしけり ひとのつねなき
=未詳。作者名・脚注のいずれもない。左注読下しは「右の一首は、古歌集に出づ。」
【編者注】題詞は「寄物発思」(きぶつはっし)。
【訓注】こもりく(隠口)。泊瀬(はつせ)[桜井市初瀬]。満ち欠け(みちかけ=盈=「呉」旧字体の「口」を「日」にする])。


万葉短歌1269 巻向の1163

2014年03月03日 | 万葉短歌

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万葉短歌1269 巻向の1163

巻向の 山辺響みて 行く水の
水沫のごとし 世の人我れは  柿本人麻呂

1163     万葉短歌1269 ShuD230 2014-0303-man1269

まきむくの やまへとよみて ゆくみづの
  みなわのごとし よのひとわれは
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。
【編者注】題詞・作者名・脚注のいずれもないが、作者名は左注読下し「右の二首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。」による。
【訓注】巻向(まきむく)[奈良県桜井市]。響みて(とよみて=響而)。行く水(ゆくみづ=徃水)。水沫のごとし(みなわのごとし=三名沫如)。我れは(われは=吾等者)。


万葉短歌1268 子らが手を1162

2014年03月02日 | 万葉短歌

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万葉短歌1268 子らが手を1162

子らが手を 巻向山は 常にあれど
過ぎにし人に 行きまかめやも  柿本人麻呂

1162     万葉短歌1268 ShuD230 2014-0302-man1268

こらがてを まきむくやまは つねにあれど
  すぎにしひとに ゆきまかめやも
柿本人麻呂(かきのもとの ひとまろ)=第30歌参照。
【編者注】題詞・作者名・左注・脚注のいずれもないが、作者名は第1269歌左注読下し「右の二首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。」による。
【編者注-前歌】第1267歌の題詞は「就所発思 旋頭歌」、左注読下しは「右の十七首は、古歌集に出づ。」
【訓注】子ら(こら=児等)。巻向山(まきむくやま)[奈良県桜井市]。過ぎにし人(すぎにしひと=過徃人)。行きまかめやも(ゆきまかめやも=徃巻目八方)。


万葉短歌1266 大船を1161

2014年03月01日 | 万葉短歌

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万葉短歌1266 大船を1161

大船を 荒海に漕ぎ出 や舟たけ
我が見し子らが まみはしるしも  

1161     万葉短歌1266 ShuD226 2014-0301-man1266

おほぶねを あるみにこぎで やふねたけ
  わがみしこらが まみはしるしも
=未詳。作者名・左注・脚注のいずれもない。
【編者注】題詞は「臨時」。全12首(1255~1266)の第12首。
【訓注】大船(おほぶね=大舟)。荒海(あるみ)。漕ぎ出(こぎで=榜出)。や船(やふね=八船)。我が(わが=吾)。まみ(目見)。