Ross Tompkins and Good Friends
長年付き合った仲間だと、会ったときの相手の言動は大体読める。
そして、ある種の信頼感に根ざした間柄であれば、ちょっとしたブランクがあり久しぶりに再会を果たしてもそれは基本的に変わるものではない。
性格的なものもあれば、価値観の違いもある。知識や興味の対象の違いもあるし、今置かれたそれぞれの境遇もある。しかし、近況を語り合っているうちに、お互いに今の相手を理解し、いつもながらの打ち解けた会話が自然に弾むようになる。
ジャズの世界にも、「安心して聴ける」演奏というものがある。
きっとプレーしている側でも、安心してプレーに専念できる関係というものがあるのであろう。いつも一緒にプレーしているのであれば、日々切磋琢磨しながらお互いの関係を深めていった結果であろう。
特に目新しさや奇抜さを狙わなくともよい。このような二人の間の親密度の増したプレーは、聴いているほうでも心地よさを感じるものだ。
二人のテナー奏者による双頭バンドにアル&ズートのコンビがあった。
似たようなプレースタイルで、テナーの音質も似たもの同士である。二人の掛け合いやソロは、やはり一人では出来ない二人にしかできない独自の世界を作っていた。
このコンビのピアノを一時担当したのがロス・トンプキンスだ。優等生タイプであり、ジャズピアノの教則本のようによくスイングするピアノである。
一方の雄アルコーンは、コンビを解消した後はニューヨークでアレンジを中心にした仕事をしていた。経済的な支えには必要であったが、もちろんテナーのプレーを止めたわけではなく、自己のリーダーアルバムも出し続けていた。
ピアノのロスは、ニューヨークから西海岸に移り、テレビの「ツゥナイトショー」のレギュラーとして活躍をしていた。
或る時、アルコーンが仕事で西海岸に飛んで暫く滞在することになった。
アルが、再会を果たしたのはズートではなく、このピアノのロスとであった。
旧知の間柄であった二人は、当然のように旧交を温めることになるが、地元の有名なクラブ “Donte” に出演して、久々に一緒にプレーをすることになる。
一緒に演奏していた二人の間柄故、演奏はすぐに呼吸がぴったりと合う。いつも一緒にプレーをしているレギュラーグループのような演奏を繰り広げることとなる。
そして、このクラブ出演に合わせて、このグループの演奏が録音されることになった。
仕掛け人は、またもやジェファーソン。仲を取り持ったのはトンプキンスであったのだろう。
トンプキンスは、コンコルドには初期のアルバムから参加し、自己のアルバムもすでに2枚出していた。夏のフェスティバルにも参加してすっかりConcordの顔の一人になっていた。
こんなトンプキンス自らの再会セッション。これを録音しておかない訳にはいかなかったということであろう。
演奏は、アルコーンのテナーのワンホーン。
トンプキンスのピアノも水を得た魚のように躍動する。ソロやトリオもよいが、主役が別に現れ、バックに廻った時の引き立て役としてのピアノのプレーも素晴らしい。
ベースのモンティーバドウィッグとドラムのニックセロリは、ここでは控えめだ。裏方として、2人の親友同士の久々の共演のバックをしっかり支える役回りに徹している。
このセッションが、そしてConcordの雰囲気が気にいったのか、アルコーンは所属していたXANADUレーベルをその後離れ、Concordからアルバムを出すことになる。
トンプキンスもこのセッションを通じてコンコルドにまた新たな仲間を増やす介添え役を果たしたのかもしれない。ジェファーソンのためのリクルート役としても。
BLUE LOU
LOVER MAN OH WHERE CAN YOU BE
MY SILENT LOVE
ALWAYS
MY GEART STOOD STILL
SERENADE TO SWEDEN
HOW DEEP IS THE OCEAN
CLOSE YOUR EYES
Ross Tompkins (p)
Al Cohn (ts)
Monty Budwig (b)
Bick Ceroli (ds)
Originally released on Concord CJ-65
長年付き合った仲間だと、会ったときの相手の言動は大体読める。
そして、ある種の信頼感に根ざした間柄であれば、ちょっとしたブランクがあり久しぶりに再会を果たしてもそれは基本的に変わるものではない。
性格的なものもあれば、価値観の違いもある。知識や興味の対象の違いもあるし、今置かれたそれぞれの境遇もある。しかし、近況を語り合っているうちに、お互いに今の相手を理解し、いつもながらの打ち解けた会話が自然に弾むようになる。
ジャズの世界にも、「安心して聴ける」演奏というものがある。
きっとプレーしている側でも、安心してプレーに専念できる関係というものがあるのであろう。いつも一緒にプレーしているのであれば、日々切磋琢磨しながらお互いの関係を深めていった結果であろう。
特に目新しさや奇抜さを狙わなくともよい。このような二人の間の親密度の増したプレーは、聴いているほうでも心地よさを感じるものだ。
二人のテナー奏者による双頭バンドにアル&ズートのコンビがあった。
似たようなプレースタイルで、テナーの音質も似たもの同士である。二人の掛け合いやソロは、やはり一人では出来ない二人にしかできない独自の世界を作っていた。
このコンビのピアノを一時担当したのがロス・トンプキンスだ。優等生タイプであり、ジャズピアノの教則本のようによくスイングするピアノである。
一方の雄アルコーンは、コンビを解消した後はニューヨークでアレンジを中心にした仕事をしていた。経済的な支えには必要であったが、もちろんテナーのプレーを止めたわけではなく、自己のリーダーアルバムも出し続けていた。
ピアノのロスは、ニューヨークから西海岸に移り、テレビの「ツゥナイトショー」のレギュラーとして活躍をしていた。
或る時、アルコーンが仕事で西海岸に飛んで暫く滞在することになった。
アルが、再会を果たしたのはズートではなく、このピアノのロスとであった。
旧知の間柄であった二人は、当然のように旧交を温めることになるが、地元の有名なクラブ “Donte” に出演して、久々に一緒にプレーをすることになる。
一緒に演奏していた二人の間柄故、演奏はすぐに呼吸がぴったりと合う。いつも一緒にプレーをしているレギュラーグループのような演奏を繰り広げることとなる。
そして、このクラブ出演に合わせて、このグループの演奏が録音されることになった。
仕掛け人は、またもやジェファーソン。仲を取り持ったのはトンプキンスであったのだろう。
トンプキンスは、コンコルドには初期のアルバムから参加し、自己のアルバムもすでに2枚出していた。夏のフェスティバルにも参加してすっかりConcordの顔の一人になっていた。
こんなトンプキンス自らの再会セッション。これを録音しておかない訳にはいかなかったということであろう。
演奏は、アルコーンのテナーのワンホーン。
トンプキンスのピアノも水を得た魚のように躍動する。ソロやトリオもよいが、主役が別に現れ、バックに廻った時の引き立て役としてのピアノのプレーも素晴らしい。
ベースのモンティーバドウィッグとドラムのニックセロリは、ここでは控えめだ。裏方として、2人の親友同士の久々の共演のバックをしっかり支える役回りに徹している。
このセッションが、そしてConcordの雰囲気が気にいったのか、アルコーンは所属していたXANADUレーベルをその後離れ、Concordからアルバムを出すことになる。
トンプキンスもこのセッションを通じてコンコルドにまた新たな仲間を増やす介添え役を果たしたのかもしれない。ジェファーソンのためのリクルート役としても。
BLUE LOU
LOVER MAN OH WHERE CAN YOU BE
MY SILENT LOVE
ALWAYS
MY GEART STOOD STILL
SERENADE TO SWEDEN
HOW DEEP IS THE OCEAN
CLOSE YOUR EYES
Ross Tompkins (p)
Al Cohn (ts)
Monty Budwig (b)
Bick Ceroli (ds)
Originally released on Concord CJ-65