A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

命の恩人に先立たれるが、それをさらなる励みにして恩返しを・・・・

2007-11-27 | CONCORD
ROSIE SINGS BING / Rosemary Clooney

ロージーこと、ローズマリークルーニーがジャズの世界に復活したのは1977年。
現役を引退していたロージーであったが、けっして悠々自適の生活を過ごしていたわけではない。家庭の問題、健康の問題、精神的にもかなり落ち込んだ生活をおくっていた。
ビバリーヒルズの彼女の家の近くに住んでいたのが旧知の仲であったビングクロスビー。
彼女を元気付ける意味でも、自分のコンサートに彼女を招いたのが1976年。
クロスビーにしてみれば、彼女に本格的な復帰を促すというよりは、単に気晴らしの場を与えたつもりだったのかもしれない。
しかし、彼女はこれで自信を取り戻し、翌1977年にはレコーディングも再開
そして7月のコンコルドジャズフェスティバルの舞台にも立って、カムバックを祝う満員の聴衆から拍手喝采を得る。
このアルバムのジャケットの写真はその時のものだ。
そして、8月16日、同じコンコルドパビリオンの舞台では、恩人のクロスビーがコンサートを行った。実はこれがクロスビーのアメリカでの最後のステージになってしまうのだ。
10月14日スペインで休暇を過ごしていたクロスビーは心臓発作でこの世を去ることに。

自分の復帰を支えてくれた恩人の死、ロージーの悲しみは人一倍大きかったことであろう。
そのロージーが、彼の死を悼み、そしてきっと感謝の意を込めてクロスビーの愛唱歌のアルバムを作った。それがこのアルバムだ。

レパートリーの多いロージー、曲を選ぶのにそれほど苦労はしなかったそうだ。というより多すぎて困ったのかもしれない。結果として30年代の曲が中心に選ばれた。
バックを努めるのは、トランペットのビルベリーが抜けてギターのカルコリンズが加わっているが前作と同じクインテット編成。中でも、スコットハミルトンのバックが一段と光る。大先輩達を相手に余裕綽綽の演奏ぶりはすでにロージーに負けない貫禄さえ感じさせる。

そして、この2人はその後もコンコルドのスタープレーヤーとして数多くのアルバムを作ることになる。
マイナーレーベルであったコンコルドが今のメジャーレーベルに育っていった基盤を作ったのは、実はこの2人であった。と言っても過言では無いかもしれない。

新人のデビューとスターの復帰というたまたま偶然ともいえる共演、そしてエリントンに捧げるアルバムへの参加。そして恩人クロスビーは、ハミルトンとロージーの運命の出会いを作り出した張本人だったのかもしれない。

もしもクロスビーが彼女に復帰を誘わなかったら・・・・。
人生というものは、こんな偶然の積み重ねなのかもしれない。

1. But Beautiful             Burke, VanHeusen
2. Pennies from Heaven        Burke, Johnston
3. Blue Skies               Berlin
4. I Surrender, Dear           Barris, Clifford
5. Where the Blue of the Night (Meets the Gold of the Day)  Ahlert, Crosby, Turk
6. It's Easy to Remember       Hart, Rodgers
7. Swinging on a Star          Burke, VanHeusen
8. Just One More Chance       Coslow, Johnston
9. I Wished on the Moon        Parker, Rainger
10. Too-Ra-Loo-Ra-Loo-Ral (That's an Irish Lullaby) Shannon

Rosemary Clooney (vol)
Scott Hamilton (ts)
Nat Pierce (p)
Cal Collins (g)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna (ds)

Carl Jefferson Producer

Originally released on Concord CJ-60

Rosie Sings Bing
Rosemary Clooney
Concord Jazz

このアルバムの詳細を見る


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