A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

復帰したシムスは、よりスイング色を強くした演奏に・・・

2015-09-01 | MY FAVORITE ALBUM
Nirvana / Zoot Sims

二枚目で洗練されたイメージがあるアートペッパーやスタンゲッツと較べると、ズートシムスの風貌は田舎くさい。Zootというあだ名も、40年代に流行った長い上着とダボダボのズボンのZoot Suiteといファッションからつけられたという。ファッションも無頓着だったのかも。


Zoot Suite

ズートシムスはジャズの歴史の中でキーマンの一人であることは間違いないが、何故か巨人というタイプではない。そして、いい演奏をしているアルバムは多いが、これぞ名盤だというのはすぐには思い浮かばない。コンビというとアルコーンとのレギュラーコンビが有名だが、リーダーアルバムといっても誰かとコンビを組んだものが多い。協調性がある平均点が高い優等生だろう。

活動期間が限られたアートペッパーとは対照的にシムスは生涯切れ目なく活動していたように思っていた。ところが、ディスコグラフィーを見ると1968年から1971年の間にブランクがある。この間、演奏活動自体を休んでいたのか、レコーディングが無かったのかは寡聞にして分からない。

68年の最後のレコーディングが、ペッパーアダムスとの共演Encounterであった。このアルバムでは2人ともいつになくアグレッシブな演奏をしている。ちょうどジャズ界が変遷を遂げた時期でもあった。しかし、昔は一緒にプレーをしたマイルスやコルトレーンが突き進んだ新しいジャズのスタイルには、シムスは踏み込めなかった。

72年にはニューポートの舞台にも立ったが、本格的な復活は73年になってからアル&ズートの再会でスタートする。レコーディンも再開するが、世間で流行りつつあった8ビートには目もくれず、その後の演奏はシムスのスタイルの原点であるモダンスイングの演奏に回帰している。

丁度4ビートの復活の時流にも乗ったのだろう、新たに旗揚げしたPabloやChiaroscuro、Famousdoorといったメインストリームのジャズの復活に貢献したレーベルの常連となった。良くスイングするプレーには変わりはなかったが、以前と変わった点というと、元々高音域でのテナープレーを得意としていたが、ソプラノサックスも良くプレーするようになった。

その様な中、74年にGroove Marchantレーベルに一枚アルバムを残している。サドメルのデビュー作で有名なソリッドステートレーベルを立ち上げたソニーレスターが新たに作ったレーベルであった。

ギターのバッキーピザレリと組んだ、ピアノレスのデュオ&カルテットの地味に感じる編成だ。
ピザレリの控えめなプレーとのデュオも良い感じだが、このアルバムのもう一つの目玉は、ドラムにバディーリッチが参加している事。
当時のリッチは、自分のビッグバンドでの活動がメイン。若者相手に相変わらず強烈なビートを効かせたドラムを披露していたが、このようなスイングスタイルのコンボでの歯切れの良いドラムは久々だ。グループ全体で見事にスイングする演奏になっている。

そしてもう一つおまけは、シムスとリッチが歌を披露していること。Gee Baby,Ain't I Good To Youでファーストコーラスはシムスが、2コーラス目はリッチに代わりシムスはバックに廻って仲良く共演している。
バディーリッチはボーカルアルバムを出したことがあるが、シムスも時々その歌声を披露している。ヘビードランカーであったシムスだが、酔いも廻って鼻歌交じりの気楽な雰囲気のレコーディングであったのかも。でも、その後のパブロの作品に較べると緊張感のある演奏だ。



1. Indiana
2. Memories Of You
3. Come Rain Or Come Shine
4. Lazy River
5. Send In The Clowns
6. Summerset
7. Honeysuckle Rose
8. A Summer Thing
9. Somebody Loves Me
10. Gee Baby, Ain't I Good To You
11. Nirvana

Zoot Sims (ts,ss vocals)
Bucky Pizzarelli (g)
Milt Hinton (b)  #6/11
Stan Kay (ds)  #10
Buddy Rich (ds,vol) #6/11

Produced by Sonny Lester
Recorded in NYC, April 22, 1974


Nirvana
クリエーター情報なし
Groove Merchant
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