A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

オールスタービッグバンドにも色々あるが、これを上回るものはなかなか・・・・

2015-09-11 | MY FAVORITE ALBUM
GRP All Star Big Band


ビッグバンドは運営にお金がかかる。今では、レギュラーバンドといえども日常的に活動するのは難しい。神田にTN Swingというライブハウスがあるが、ここでは毎日ハウスバンドがビッグバンドサウンドを聴かせてくれる。こんなバンドは世にも珍しいが、商売抜きで運営できないと難しいと思う。
木幡光邦の923バンドも月一回の定期的なライブを続けている。新宿のSomedayもビッグバンドのプログラムが良く組まれていたが、最近はすっかり少なくなった。頑張って欲しい。

こんなビッグバンド事情なので、何かのきっかけで編成されるスペシャルバンドが楽しみだ。最近ではブルーノートオースルタービッグバンドなどが良く活動しているようだ。
昔から、きっかけはレコーディングであっても、イベントであっても、このようなオールスター・ビッグバンドにはファンにとっては色々なお楽しみがプラスされているものだ。

フュージョン全盛期のGRPレーベルは元気なレーベルの一つであった。プロダクションとして活動を始めて20年、さらにレーベルとして活動をして10年目の節目に、色々なプロジェクトがGRPの総帥ラリー・ローゼンよって企画された。その第一弾が、傘下のソリストを中心としたオールスター・ビッグバンドの結成であった。

これを思い立ったのも、ローゼン自身が昔はビッグバンドのドラマーであり、40年から50年代にかけてのメトロノームオールスターズのスリリングな演奏を忘れられず、ビッグバンドにはノスタルジー以上の思い入れがあったからだそうだ。

すでに、プロダクション&レーベルとして活動して10年以上、このGRPから育ったミュージシャンは皆第一線のリーダーに育っていた。このビッグバンドは、まさにそれらの大物スターを一堂に会した夢のビッグバンドとなった。

第一線で活躍する皆の生活&活動拠点は全米各地に散っていた。そして日々の活動は世界中を駆け巡るものであった。まずは、メンバー全員をレコーディングのためにロスアンジェルスに集合させるのに一苦労したという。

次に、そのオールスターバンドが演奏する曲選び。600曲以上の候補から絞り込んで最終的に残ったのは古今のジャズの名曲ばかり。曲の方もオールスターバンドに相応しい名曲集となった。

次はアレンジ。プロデューサーのアベーンに加えて、トムスコット、ボブミンツァーなどの参加メンバーがアレンジでも腕を振るう。そして出来上がった譜面はどれもストレートアヘッドなスタイルに仕上がった。集まったメンバーの中にはフュージョンバンドと思ってやってきたが、思いがけず久々の4ビートの演奏に気合が入った者もいたという。

そしていよいよレコーディング。
メンバー達は1992年1月12日ロスのオーシャンウェイスタジオに集まった。映像も一緒に録ることになった。
したがって、仕切りのないスタジオライブでのセッティングでの演奏。パートごとに録音しダビング&ミックスを重ねるような手法も排除された。
聴衆は地元のプレス中心の関係者、スタジオ内ではなく隣のモニタールームでの鑑賞とはなったが。普通のステージのように皆が顔を合わせ、お互いの息遣いやアクションを共有する環境での演奏となった。当然のようにプレーには一発勝負の緊張感と熱気が自然と籠ってくる。



トランペットが3本、トローンボーンが1本という少し変則的な編成だが、アンサンブルワークといいソロといい、一流ミュージシャンの入魂のアレンジと演奏は迫力があり、聴き所は山ほどある。
結果は、悪いはずがない。単なるお祭り騒ぎでもない、記念すべきアルバムとなった。
このような経緯でラリー・ローゼンの思いを込めて作り上げたアルバム、レコーディングだけでなく一般コンサートを望む声は多く上がった。

これだけのメンバーを再び集めるのは至難の業であったが、翌年これが日本公演で実現した。バブルが弾けた後で経済的な環境は厳しくなりつつあった時だが、当時の日本の経済力とファンの熱意は、まだまだ世界のジャズ界に与える影響力が大きかった証左であろう。

1, Airegin               Sonny Rollins 5:14
2. Blue Train              John Coltrane 4:39
3. Donne Lee              Charlie Parker 4:18
4. Maiden Voyage           Herbie Hancock 6:37
5. Sister Sadie              Horace Silver 6:54
6. The Sidewinder             Lee Morgan 6:43
7. Seven Steps to Heaven  Miles Davis / Victor Feldman 6:03
8. I Remember Clifford           Benny Golson 5:36
9. Footprints               Wayne Shorter 6:58
10. Manteca       Gil Fuller / Dizzy Gillespie / Chano Pozo 7:00
11. 'Round Midnight   Bernie Hanighen / Thelonious Monk / Cootie Williams 7:04
12. Spain                  Chick Corea / Joaquín Rodrigo 5:19

Arturo Sandoval (tp,flh)
Sal Marquez (tp,flh)
Randy Brecker (tp,flh)
Eric Marienthal (as,ts.ss.fl)
Nelson Rangell (as,ts,ss,fl,piccolo)
Ernie Watts (ts,as,ss,fl)
Tom Scott (bs,as.ts.ss)
Bob Mintzer (ts,bcl,ss,fl)
George Bohanon (tb)
Dave Valentin (fl)
Eddie Daniels (cl)
Dave Grusin (p)
Kenny Kirkland (p)
David Benoit (p)
Russell Ferrante (p)
Gary Burton (vib)
Lee Ritenour (g)
John Patitucci (b)
Alex Acuña (per)
Dave Weckl (ds)

Produced by Michael Abene,

Arranged by Michael Abene, Tom Scott, Dave Grusin, David Benoit, Russell Ferrante, Bob Mintzer, Vince Mendoza, Chick Corea

Recorded the afternoon and evening of January 12, 1992
At Oceanway Studios, Hollywood, California
Recording Engineer : Don Murray

GRP All Star Big Band
クリエーター情報なし
GRP
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