A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

能ある鷹は爪を隠す・・・といわれるが。

2008-05-15 | MY FAVORITE ALBUM
The Voice Is Rich / Buddy Rich Sings with His Orchestra

ウディーハーマンのオーケストラはいつの時代にも若手中心のメンバーで、元気一杯、新しい物へチャレンジしてきた。常に先頭に立ってバンドを引っ張ってきたウディーハーマンの頑張りには感服する。もちろん演奏だけでなく、ビッグバンドを維持するとなると、お金を含めたマネジメントも大変だ。ハーマンも色々苦労をしたようだ。
そんな気苦労が増えるからという訳でもないと思うが、バンドリーダーになると自らプレーしなくなることも多い。ところがハーマンはセッションワークに参加するだけではなく、自らのクラリネットやアルトをフィーチャーした曲を必ずレパートリーには加えていたし、時には唄まで披露していた。もっとも、このソロや歌は名演、名唱というには程遠いものが大部分。マルチタレント振りを披露したがる目立ちたがり屋だったのかもしれない。

唄を歌うジャズプレーヤーは多い。ナットキングコールやサッチモなどは、晩年は楽器よりも歌中心になってしまった。ピアノの名手ピーターソンの歌も有名だが、ドラムの名手バディーリッチも歌アルバムを何枚か出している。
ドラムでは派手なプレーを繰り広げるリッチであるが、歌の場合はいささか控えめだ。ドラムのように強烈なドライブ感でグイグイ引っ張っていくというよりは軽快にといった感じだが、スローでもアップテンポでも根っから身についているのスイング感は変わらない。少し高い声色で、朗々と歌うというよりは軽いノリで粋に歌うタイプだ。ダイナミックなドラムがリッチの売りだが、軽妙のブラッシュワークが似合う歌のスタイルだ。
ハーマンのように一曲だけ唄うのであれば余興の内だが、アルバム一枚作り通すとなるとこれは立派に一人前の歌手の仲間入り。長く在団したハリージェームスオーケストラでは、ヴォーカルは別契約にしてくれまで主張するほどの自信があったとか。ヒット曲でも出してしまったら、このまま歌手の道を選択してしまったかもしれない。歌以外にも色々才能を持っていたかもしれないが、最後はビッグバンドドラム一本にかけたのが結果的にリッチの名声を確立し後に残すことができた。ドラムを捨てて歌手になったリッチより、ビッグバンドを率いるリッチの方が魅力は100倍だ。
反対にドラムを諦めて歌手に専念したのがメルトーメ。彼の場合はドラムに未練があるのか、ステージではけっこうきまったドラミングを披露することもある。
マルチタレントがもてはやされる時代ではあるが、一芸に秀でた者は他の才能はあまりひけらかさない方が、巨人としての尊厳さが保たれるような気がする。

1. Down The Old Ox Road
2. Born To Be Blue
3. I’ve Heard That Song Before
4. I Want A Little Girl
5. I Can’t Give You Anything But Love
6. You’ve Changed
7. Me And My Shadow
8. When The World Was Young
9. It’s Been A Long,Long,Time
10. I Don’t Want To Walk Without You
11. Back In Your Own Backyard

Buddy Rich (vocals)
Vocal Arrangements and Orchestrations by Phil Moore
Produced By Jack Tracy

Recorded in N.Y. 1956

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