Through A Looking Glass / Bob Brookmeyer
また一人自分にとってのジャズの歴史で大事な人が亡くなった。先週の15日、82歳の誕生日を目前にした突然の訃報であった。トロンボーンのボブブルックマイヤー。普通のスライドトロンボーンではなく、バルブトロンボーンを使い続けていた。そして、晩年はプレーヤーとしてよりも、アレンジャーとして活躍する機会が多かった。
自分がこれまでに愛聴盤として紹介したアルバムにもブルックマイヤーが参加したアルバムは多い。
ブルックマイヤーを知ったのは多分、ジェリーマリガンの共演者としてだ。
そして、あの有名な真夏の夜のジャズのファーストシーンにも登場している。
その後、マリガンとのピアノレスカルテットのコンビで、
マリガンとはその後コンサートジャズバンドでも
さらに、好きなアルバムのNight Light
スタンゲッツとの共演は、メンバーといい演奏といい最高だ。
クラークテリーとのコンビも絶妙だった。
そして、サドメルオーケストラの立ち上げメンバーとしても
そして、ブルックマイヤーは、68年に西海岸に移る。その後しばらく東海岸のスタジオミュージシャンが西海岸に大移動したがその一人として。ジャズに限らずスタジオワークに精を出していたようだが、そこで、しばらくして活動暦は消える。実は、アルコール依存症になっていたそうだ。音楽的な悩みなのか、生活環境の変化なのか、それとも他の理由か・・・?その理由は与り知らないが。
そして、10年近く経ち、78年に自己のアルバム”Back again”で表舞台に復帰する。Concordのアルバムに顔を出すようになった。古巣のメルルイスのオーケストラにアレンジャーとして本格復帰した。その後も、プレーは続けたが、アレンジャーとしてのブルックマイヤーがマリアシュナイダーのような、彼の意を継いだ後進のアレンジャーも育ち、より大きな存在感になっていた。最近もその作品は提供され続けてきていたのだが、今回の死はあまりに突然だった。
マイヤーが復帰してまもなく、81年にその後の活動に向けての節目となるような、一枚のアルバムを作ったのがこのアルバムだ。
タイトルは“Through A Looking Glass”。不思議の国のアリスの続編に“Through The Looking Glass”という作品がある、これを意識したのかどうかは分からないが、マイヤーにとっては今まで過ごしてきた世界から、「姿見を抜けるとそこには夢に見た新たな世界がある」ことをかなり意識したようなタイトルであり内容だ。明らかに、演奏スタイルも、アレンジも、そして曲想も新しい次元になっている。その後のオーケストラのアレンジや演奏もその延長上にあるように思う。その意味ではマイヤーの大きな転換点ともいえるアルバムだ。
付き合っているメンバーは、御大メルルイスを筆頭にその時のメルルイスオーケストラの面々。ブルックマイヤーはニューヨークから去るときもサドメルオーケストラの一員だったが、ニューヨークに戻った時もそのメンバーに支えられての復帰だった。彼がサドメル~VJOの歴史には無くてはならない一人であったことは間違いない。
プレーは聴けなくなっても、彼の作品が演奏され続けることを願って冥福を祈りたい。もしかしたら、あの世に行ってまた新たな世界を見出しているかもしれない。
1. April March
2. Daisy
3. Mirrors
4. The Magic Shop
5. Dancing Woman
6. Sundays
7. Top of The World
All compositions By Bob Brookmeyer
Bob Brookmeyer : Trombone
Dick Oatts : Soprano sax
Tommy Harrell : Trumpet
Mel Lewis : Drums
Jim McNeely : Piano
MarcJohnson : Bass
Produced By Norman Schwartz
Co-Produced by Bob Brookmeyer
Director of Recording, Frank Lake
Recorded at Columbia Records’ 30th Street Studios
また一人自分にとってのジャズの歴史で大事な人が亡くなった。先週の15日、82歳の誕生日を目前にした突然の訃報であった。トロンボーンのボブブルックマイヤー。普通のスライドトロンボーンではなく、バルブトロンボーンを使い続けていた。そして、晩年はプレーヤーとしてよりも、アレンジャーとして活躍する機会が多かった。
自分がこれまでに愛聴盤として紹介したアルバムにもブルックマイヤーが参加したアルバムは多い。
ブルックマイヤーを知ったのは多分、ジェリーマリガンの共演者としてだ。
そして、あの有名な真夏の夜のジャズのファーストシーンにも登場している。
その後、マリガンとのピアノレスカルテットのコンビで、
マリガンとはその後コンサートジャズバンドでも
さらに、好きなアルバムのNight Light
スタンゲッツとの共演は、メンバーといい演奏といい最高だ。
クラークテリーとのコンビも絶妙だった。
そして、サドメルオーケストラの立ち上げメンバーとしても
そして、ブルックマイヤーは、68年に西海岸に移る。その後しばらく東海岸のスタジオミュージシャンが西海岸に大移動したがその一人として。ジャズに限らずスタジオワークに精を出していたようだが、そこで、しばらくして活動暦は消える。実は、アルコール依存症になっていたそうだ。音楽的な悩みなのか、生活環境の変化なのか、それとも他の理由か・・・?その理由は与り知らないが。
そして、10年近く経ち、78年に自己のアルバム”Back again”で表舞台に復帰する。Concordのアルバムに顔を出すようになった。古巣のメルルイスのオーケストラにアレンジャーとして本格復帰した。その後も、プレーは続けたが、アレンジャーとしてのブルックマイヤーがマリアシュナイダーのような、彼の意を継いだ後進のアレンジャーも育ち、より大きな存在感になっていた。最近もその作品は提供され続けてきていたのだが、今回の死はあまりに突然だった。
マイヤーが復帰してまもなく、81年にその後の活動に向けての節目となるような、一枚のアルバムを作ったのがこのアルバムだ。
タイトルは“Through A Looking Glass”。不思議の国のアリスの続編に“Through The Looking Glass”という作品がある、これを意識したのかどうかは分からないが、マイヤーにとっては今まで過ごしてきた世界から、「姿見を抜けるとそこには夢に見た新たな世界がある」ことをかなり意識したようなタイトルであり内容だ。明らかに、演奏スタイルも、アレンジも、そして曲想も新しい次元になっている。その後のオーケストラのアレンジや演奏もその延長上にあるように思う。その意味ではマイヤーの大きな転換点ともいえるアルバムだ。
付き合っているメンバーは、御大メルルイスを筆頭にその時のメルルイスオーケストラの面々。ブルックマイヤーはニューヨークから去るときもサドメルオーケストラの一員だったが、ニューヨークに戻った時もそのメンバーに支えられての復帰だった。彼がサドメル~VJOの歴史には無くてはならない一人であったことは間違いない。
プレーは聴けなくなっても、彼の作品が演奏され続けることを願って冥福を祈りたい。もしかしたら、あの世に行ってまた新たな世界を見出しているかもしれない。
1. April March
2. Daisy
3. Mirrors
4. The Magic Shop
5. Dancing Woman
6. Sundays
7. Top of The World
All compositions By Bob Brookmeyer
Bob Brookmeyer : Trombone
Dick Oatts : Soprano sax
Tommy Harrell : Trumpet
Mel Lewis : Drums
Jim McNeely : Piano
MarcJohnson : Bass
Produced By Norman Schwartz
Co-Produced by Bob Brookmeyer
Director of Recording, Frank Lake
Recorded at Columbia Records’ 30th Street Studios