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お国訛り

2017-12-15 10:27:18 | 日記
20歳の頃、1人のタクシー運転手と知り合った(仮にAさんとしておく)。或る夜、バイトの帰りが遅くなって、渋谷からタクシーに乗った。「エントツで行ってもらえない?三軒茶屋の少し先です」と言うと、快諾してくれた。エントツというのは料金メーターを倒さないという意味である。渋谷から三軒茶屋までは正規料金で120円だった。それを100円にしてもらう。メーターを倒さないから記録は残らない。1枚の100円札はAさんのポケットに入り、客は20円助かるというわけだ。100円は現在の2千円以上に相当するだろう。車中で話していて、Aさんが茨城の出身であることがわかった。「僕は竜ケ崎に6年間居ました」「ああ、そうけぇ。俺はオワライの方だ」と答えた。オワライとは水戸に近い大洗のことである。バイト帰りのほかにも、私は、渋谷駅ではAさんの車を探すようになった。オワライの車を探すようになった。

蒲田駅前のキャバレーにB子という大阪出身のホステスがいた。会社の仲間や下請会社の人たちとキャバレーに行くときは、いつもB子のいるグループを指名した。私は茨城弁や関西弁の人と話すと気がラクになる。酒は気楽な相手と呑みたいではないか。B子は気立てもよかった。関西訛りを全く直そうとしないのもよかった。

金曜日のリハビリがデイサービスサロン行きに変わった。そこで麻雀を打つ。メンバーの1人の関西訛りのお婆ちゃんがいる。お婆ちゃんは91歳である。「関西の御出身ですか?」と訊いても知らんぷりをする。麻雀メンバーのボランティアさんが、「ミウラさんはカンサイですか?」と大声を出して訊き直してくれる。「はい、サカイですわ」とお婆ちゃんは大阪・堺の生まれであるようだ。お婆ちゃんの麻雀は粗い。誰かにリーチがかかると、「こんなんで振り込んだら、死んだ亭主に叱られるやろなぁ」と危険牌を振る。当たると「ああやっぱりなぁ。そやろなぁ」とつぶやく。91歳の可愛げがある。

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