Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

新疆に厳打

2011-08-06 09:45:20 | 時事

中国高速鉄道事故を起こした責任追及を進める中国マスコミへの規制について、暴動が全国的に広がることを中国当局は最も危惧している、と先日書いた。案の定、新疆ウイグル自治区の治安悪化を重く見た当局は、「厳打」態勢に入ることを決めたようだ。
香港紙「明報」によると、先日、大規模なウイグル族と漢族の衝突で死者を出し情勢不安となっている新疆ウイグル自治区の治安維持について、国家反テロ工作協調グループは反テロ工作会議を区都ウルムチで開催、孟建柱・公安部長兼同グループ長が胡錦濤国家主席ら中央指導者の「重要指示」を伝えたという。直ちに事件を解決し、暴力恐怖勢力に徹底的な打撃「厳打」を与えよとの内容だという。
孟公安部長は、新疆の各党委政府は民族分裂に反対し国家統一と安全のための任務を果たし、まじめに総括しろと訴えた。明報はこれを張春賢・新疆ウイグル自治区党委書記のウイグル懐柔政策がゆるすぎる、との批判を暗に示したものだ、と報じている。
張春賢書記は、「新疆王」とまで呼ばれ独裁体制を築いていた王楽泉前書記が、2010年4月、一連の新疆暴動の責任を取る形で更迭されたあとを受け就任、「最も開放的な書記」といわれ、胡錦濤主席の信任が厚いともいわれている。
一方で、孟建柱公安部長は、胡錦濤の政敵といわれる周永康・政治局常務委員・党中央政法委員会書記の下にいる公安部門のナンバー2。上海副市長も歴任しており、江沢民系だろう。権力闘争の匂いがプンプンしてくる。

「厳打」は、犯罪撲滅キャンペーンで、凶悪犯を逮捕するために町が戒厳状態のようになる。パトロールも徹底され、ホテルや繁華街の出入りなども厳重になる。ますます観光客が遠のくだろう。
明報によると、実際、観光客はすでに激減で、明報記者が滞在しているカシュガルのホテルは75室のうち20室のみが埋まり、300元(約4000円)の宿泊費も250元程度に値下げしているという。カシュガル観光局長によると、観光地のエイティガール寺院(2枚目の写真)も以前は一日平均800人前後の観光客が来たのに、4日、入場券は273枚しか売れず、香妃墓地(冒頭の写真)も1200人着ていたのが360人などと激減しており、700万元の損失で、観光客回復まで1ヶ月はかかるだろう、と見ているという。

「厳打」のために町が戒厳状態になっているうえに観光客が激減していては、夏の観光客かきいれ時に大変な損害だ。これも胡錦濤系の党委書記に押し付けられるのだろうか。


味千拉麺災難

2011-08-06 00:57:04 | 時事

中国で大規模展開する「味千ラーメン」のスープが、店ごとに豚骨を煮出して作ったものではなく、工場で作った濃縮スープペーストをお湯に溶かして出していた、と大々的に報道され、「だまされた」などと中国で大騒ぎになっているという。化学薬品を使ったまがい物だ、と事実に反する報道も出ているという。写真は上海の南京東路あたりのデパ地下にあった味千ラーメン。2005年2月撮影。こんな店に行列を作っていた。

味千側は「スープ360ミリリットルに牛乳コップ4杯分のカルシウム」という宣伝文句は、誤訳に伴うものだ、と認めて訂正したらしいが、スープについては「工場で豚骨を使って製造している」と反論したという。

香港駐在中、1996年に銅鑼湾(コーズウェイベイ)にできた店(あとで調べたら、これが海外進出1号店だったという)に食べに行ったところ、目の前で袋に入ったスープペーストを、お湯が入った寸胴に入れ溶かしてスープとして使っていたところを目撃している。そんなこと最初から知ってるよ。いまさら何言ってんの、という感じ。
食べたラーメンを九州出身の同業他社の人に報告すると、「麺の太さは? スープの色は? 具は?」などと事細かに質問され、スープをお湯で溶かして出していると説明したら、「なーんだ。それなら食べない」みたいな言い方をされた。そのころはまだ九州初上陸前だったし、豚骨ラーメンそのものも大学時代に学食で一度食べたことがあるだけだったので、九州人がそんなに豚骨ラーメンにこだわっていたことさえも知らなかった。

そもそも、店ごとに豚骨を仕入れて、臭みとアクを抜きながら数時間から数日、豚骨を煮出しながらスープを作るなんて、また、毎日常に同じ味を保つように品質管理するなんて、中国の店ごとにできるわけないじゃないか。勝手にレシピを自分流に変えてしまう中国人コックたちに、日本のラーメン店が手間暇かけた段取りを守れるわけがない。それなら、味を守るなら、チェーン店なら、セントラルキッチン方式が当たり前だ。
牛丼の吉野家のけんちん汁や豚汁だって、大鍋で店で仕込んでいるわけではない。一人分ずつレトルトパックされ、客に出す前に電子レンジでチンしている。そのほうが異物は入らないし具もばらつきなく品質が管理できる。

と、中国相手に怒ってもしょうがない。どうやら、中国のファストフードで大人気の「味千拉麺」に対して、何らかの妬みや恨み、やっかみがある輩、たとえば同業他社などが、味千を落としいれようと流したデマの可能性が大だ。
スープが工場製だ、と騒ぐなら食べなければいい。結局品質が維持されているのは味千だと分かるだろう。本当に豚骨ラーメンを食べたいなら九州に行けばいい・・・と文句を言おうと思っていたら、中国の「騰訊財経」のサイトによると、香港証券市場で味千の株価が暴落、この2週間で65億香港ドル(約850億円)もの損害を出しているという。写真のようにお客も激減だという。これはたまったもんじゃないな。
そもそも豚骨ラーメンのスープに栄養を求めようとしても無理だろう。それならもっとバランスのよいものを食べたほうがいい。栄養が偏るだけだ。