Takepuのブログ

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映画「最愛」観た。

2012-06-15 14:25:56 | 映画鑑賞
カメラマン出身の顧長衛監督の2011年の作品「最愛」を観た。薄煕来問題でマスコミ相手に訴訟を起こしたアジアン・ビューティーこと章子怡(チャン・ツィイー)と香港四大天王の一人、郭富城(アーロン・コック)の共演。

売血でHIV患者が大量発生した村での出来事を映画化した。中国で実際に起きている問題を取り上げ、HIVへの無知から差別を生む中国社会に一石を投じようとした意図はよくわかる。ただ、社会派チックな展開を期待していたが、美しい章子怡とかっこいいが、映画ではちょっと抜けたような表情の田舎男、アーロンの純愛物語に落とし込んだ。いろいろと検閲がかかる可能性がある中国映画の場合は、今回のように愛情物語に落ち着かせたほうが、問題は少ないのだろう。
田舎の風景にアーロンと、特に章子怡が、美しすぎて溶け込めない。田舎の服を着ているが、あんな腰の細い足の長い、スタイルのよい、なおかつ色の白い田舎のお姉さんはいないだろう、と違和感はある。ただ、二人とも熱演していて、そんな違和感は小さなものだ。
特に、藤原紀香と付き合ったといわれた時期もあったマッチョでワイルド系のアーロンが、髪の毛をボサボサにして田舎のにーちゃん臭ささ満載の演技をしたのは、なかなかよかった。

で、村人から差別を受けて村から離れた石組みの小屋に二人で住んでいながら、赤い服を着て結婚証を手にするなどのところは、中国社会でイリーガルにならないように、「結婚」という社会システムの中で落ち着いた関係を描いて、中国社会を混乱させることなく、得てして封建的な考えを持つ観衆をも納得させるような意図を持って描かれたのではないか。

ただ、章子怡の赤い服はあまりにきれい過ぎて、また中国の田舎にはそぐわない風景。あんなきれいな赤い服を入手できるのだろうか、などと思ってしまう。

また、高熱を発したアーロンを、自分が水風呂に入って体を冷やして、アーロンに抱きついて体温を下げ看病したシーンなど、エロティックなはずだが、顧長衛のカメラワークがいいのか、いやらしく見えない。ただ、章子怡の体当たり演技は大変だったろうなあ、と思う。
章子怡、まじめでいい仕事してるじゃないか、と薄熙来問題で嫌な思いをさせられたこともあり、同情し、応援したい。

ストレートに売血によるHIV被害の村を描いて、弱いものの味方になって体制側を告発するような社会派のドキュメンタリー作品が撮れないのなら、このような方法がもっとも中国の観客、中国社会に受け入れられるのだろう、と思った。

ところで、田舎なのに違和感を持つほど美しく着飾って演じさせた章子怡に対して、顧長衛監督の妻で女優の蒋雯麗も出演しているが、これはNHKドラマ「大地の子」で主人公の陸一心の妻を好演したが、今回は章子怡を引き立てる対象なのか、思いっきり汚れメイクをしていた。自分の奥さんなら何でも出来る、ということか。


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