Takepuのブログ

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スパイ映画「秋喜」を見た

2011-12-26 14:10:05 | 映画鑑賞
2009年10月の国慶節休み期間に上映された国民党と共産党のスパイ映画「秋喜」をネットで見た。この時期は中国建国60周年の「建国大業」や、やはりスパイ映画の「風声」が封切られた年だ。


監督は孫周。と言えば、かつてとても気に入った「心香」(邦題・心の香り)の監督だ。これは京劇役者の父母の確執で、田舎のおじいちゃんに預けられた京劇のうまい男の子の話で、田舎でおじいちゃんに嫌々四書五経を読まされたり、同年代の女の子と知り合ったり、おじいちゃんといい仲の近所のおばあちゃんにかわいがられたり、その死を目の当たりにするなど、成長する物語。
これ以外には「漂亮媽媽」(邦題・きれいなおかあさん)、「周漁的火車」(同・たまゆらの女)などを撮っているらしい。いずれもコンリーかあ。実はジャッキー・チェン主演、プロデュースの「神話(THE MITH)」とか、「荊軻刺秦王」(同・始皇帝暗殺)などに出演しているらしい。

中国ではテレビドラマの「潜伏」や、あるいは李安(アン・リー)監督の映画「色戒 ラスト・コーション」が大ヒットしてから、中国では抗日戦争期や国民党と共産党が争っている時代のスパイ映画、ドラマが目白押しになっている。

ここからは作品の中身に触れるネタばれになるので、ご注意。

「秋喜」も、中華人民共和国の成立を毛沢東が宣言した1949年10月1日以降も、国民党が支配していた広州で、放送局処長にして国民党幹部のもとで放送局部下として忠誠を誓うフリをして情報収集する共産党のスパイ(郭暁冬)の話。
どうやら国民党は台湾に逃げなければいけないらしい、と、いうときに、共産党の指示で台湾に潜入して諜報活動をし続けるように決まり、北京に行く気満々だった妻(彼女も共産党の活動員)だが、泣き叫び、結局広州を離れさせる。
「秋喜」とは二人が雇っていたメイドさん(江一燕)の名前で、夫婦が党の活動について密談しているときに、サンダルを履かず裸足で食事などを持ってきて、ドアの外で耳を澄まして二人の話を聞いている。二人は情報が洩れるかも、と秋喜を叱責し、今後はサンダルを履け、と命じる。

一方で、主人公は台湾に潜入することになり、「私も処長についていきます」と、相手を安心させて書類などの情報を入手、共産党の連絡員に伝える。処長は共産党のスパイに疑心暗鬼になり、多くを見つけ出し殺す。自分の部下に対しても疑いを持つが、主人公は同志の処刑を目の当たりにして、ぎりぎりで切り抜ける。

妻が広州を離れた後、主人公は身の回りの世話を秋喜にしてもらうが、秋喜はご主人に愛情を感じるようになる。最後に台湾を離れる前に、処長と銃を撃つ練習をした際、的の布の裏側に秋喜が縛られていて、我知らず主人公が秋喜を射殺してしまうことになった。

最後におそらく主人公は上司と相撃ちになって死ぬのだろうが、台湾に潜入して諜報活動を続けていたのなら、それはそれで面白かったなあ、とも思う。実際に、台湾に潜入している(していた)共産党の諜報員もいたのだろうが。

それと、秋喜は、田舎の父親が自分の船に共産党の人間を乗せた、というだけで殺された、という身の上で、国民党に憎しみを持っているが、共産党の関係者だったのだろうか。あくまでも濡れ衣、あるいは主人公を陥れるために、処長が捕らえて殺させたのか。立ち聞きしていたのも、実は情報員だったのか、まったく関係ないのか、秋喜の背景、というか状況が謎のままで、ちょっとすっきりしない。まあ、謎の女として描きたかったのかもしれないが。彼女は「南京!南京!」に出演していた。日本兵の慰安婦に、と自ら一番最初に手を上げた気の強い売春婦を演じた。薄幸の女性を演じるとハマるタイプかもしれない。

広州の雰囲気がいろいろ出ていて、撮影はどんな風にしたのだろうか、とセットや風景を見ていても楽しい。



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