Takepuのブログ

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映画「月満軒尼詩」見た

2012-03-19 10:59:34 | 映画鑑賞
李安(アン・リー)監督作品「色、戒(ラストコーション)」で、映画デビュー、梁朝偉(トニー・レオン)との大胆な濡れ場ばかりが強調され、一時中国大陸ではバッシングを受け、CM出演も締め出され、不本意な中で香港居住権を得たが、なかなか2作目が見られなかった女優、湯唯(タン・ウェイ)の第2作「月満軒尼詩(CROSSING HENNESSY)」を見た。
共演は香港四大天王の一人にして最も実力派で性格俳優としても活躍する張学友(ジャッキー・チュン)。

脚本家、岸西(アイビー・ホー)の監督2作目、2010年作品。
「色、戒」の役とは正反対な、ちょっとダサい商店街に働く女性。ダサい風の中に、ふとみせる髪をかき上げるしぐさや笑顔、本を読む姿が可愛らしく、ちょっと艶っぽく、なかなかいい女優だなあ、と再認識した。これで、「色、戒」のタガが外れて、どんどん映画に出られるようになればいいなあ、と期待している。

ストーリーは(この辺からネタばれです)、父親を早くに亡くして母親が経営する電気屋を手伝う40過ぎの頼りない男、ジャッキーが周りから結婚をせかされて心配され、道(軒尼詩道)をはさんだところにある便器屋さんで働いている湯唯と、お見合いの食事をして、そのあと、お茶を飲んで本の貸し借りだけで特に進展しない。
それぞれに実は元カノ、彼氏がいて、張学友はすでに別れたカメラウーマンで、個展を開くなど成功してるにもかかわらず、彼女のほうが張学友に未練があるらしい。また付き合ってくれ、ともいわれるが、張学友は湯唯のことが気になっているのか、いないのか、煮え切らない返事をする。
湯唯の彼氏は、刑務所にいて、なんかワイルドな感じ。出所して一緒に暮らし始めるが、本が好きな湯唯とは実はあまり趣味が合わず、テレビでスポーツやカンフー映画を見て喜んでいる教養なさげな感じで、徐々に湯唯はもてあまし始めてくる。

ポスターに書かれた字を見てなるほど、と思ったけど、宅男(オタク)の張学友と剰女(独身女)。現実的にいえば、張学友演じるさえない、たよりない歳を食った男に、「書呆子」で地味とはいえどもなかなか可愛い若い湯唯ちゃんがくっつくのはありえないだろう、と思ってしまうが、これは湯唯ちゃんのヌードにノックアウトされた香港のオタクが見て、希望を抱く映画なのだろうか。はたまた張学友ファンの剰女が現実を感じる映画なのか。
脇役たちも芸達者で、ファッショナブルだったり暴力的だったりITを多用するような今の香港映画ではなく、なんだか一昔前の香港映画を見たような懐かしさを感じだ。

それは、映画の舞台が香港島側の「湾仔(ワンチャイ)」だからだろう。懐かしい懐かしい。オフィス街で埠頭や議会棟など植民地っぽさがある「中環(セントラル)」や「金鐘(アドミラリティー)」と、大ショッピング街「銅鑼湾(トンローワン)」にはさまれた、雑多な地域だ。返還前から中国大陸に関する店や安くてうまい食堂、特に北京系の食堂などが少なくなく、大陸からの移民者が多かったのだろうか。
海側に行くと香港返還式典を行った会議展覧中心(コンベンションセンター)があるなど開発されているが、その辺を外れるとごちゃごちゃした下町風のところが多い。中国大陸へのビザ発給を受ける外交部の出店がある入境大楼や、確か、時々大陸映画を見に行った映画館もこの辺にあった。香港では珍しい北京餃子のうまい安食堂もあったなあ。映画の舞台となる店があるところは、ヘネシーロード(軒尼詩道)とジョンストンロード(荘士敦道)が交わるところ、ああ、電車(トラム)が金鐘(アドミラリティー)から一度ヘネシーロードを外れて、またヘネシーロードに戻るところだなあ、「298」と看板がかかった電脳市場があるところだ、と懐かしく感じた。
しかし、あんなに人の多い湾仔でよくロケできたなあ、とも思う。香港映画のいい意味で泥臭さも感じる。
がんばれ湯唯。次の作品も期待してます。


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