Takepuのブログ

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映画「西蔵往事」見た

2011-12-12 16:01:34 | 映画鑑賞
会社で留守番の泊まりだったので、ネットで映画を2つ見ることが出来た。2つ目は「西蔵往事」。西蔵とはチベットのこと。漢族の女性監督、戴瑋による今年4月の作品。


日中戦争終結前の1944年、連合国側は抗日戦争を戦う蒋介石の中国軍を支援するため、インドからヒマラヤを越え雲南省や重慶に物資を運んでいた。険しい気象環境と山々に阻まれ、1500機の輸送機が墜落、3000人近くの犠牲者が出たという。そんな時代のチベット人の村の物語。当時のチベットは、一時期、清朝から保護区とされ、辛亥革命後の中華民国時代は英国軍が駐留するなど、半独立状態にあった。

ここから映画のあらすじにも触れます。ネタばれです。ご注意。

主人公の米国人パイロット、ロバートは中国へ向かう途中、輸送機が墜落、目を傷め山の中をさまよい、ただ一人、チベット族が住む村にたどり着く。村人は西洋人を見たことがなく「紅毛鬼」と恐れ、そこで「妖女」と仲間はずれにされていたチベット人女性、雍措が世話をすることになる。外国人の殺人犯を調査するため国民党の兵士が村に来て、捜索を命じる。村の長は農奴の江措に「殺人犯を捕まえたら自由の身にしてやる」と約束する。雍措はロバートに身の危険が及んでいると感じ、逃がすが、江措はロバートこそが殺人犯だと思い込み、追う。

チベット族の話を漢族の監督が撮るという奇妙な感じ。中華人民共和国成立(1949年)直後の1950年に人民解放軍がチベットを侵攻(共産党側は「和平解放」と呼ぶ)、1963年製作の「農奴」という映画も、チベット政権下で圧制に苦しみ、共産党による“解放”で奴隷の身分から自由のみになった、というプロパガンダ映画だ。学生時代に池袋文芸座でやっていた中国映画祭で見た。当然、オールモノクロ、体制側がどのようにチベットを治め、洗脳しようとしているのか、垣間見られる映画だった。45年たって現代になったが、この映画も、農奴や女性を村八分にする封建的、後進的な地域として当時のチベットを描いている。作品としてはわかりやすいが、恣意的な感じがする。

中国辺境に米軍の輸送機が墜落して、現地の女性と・・・・、というのは、1986年に香港の厳浩(イム・ホー)監督が撮った「大菩薩」というのがあった。物語の取っ掛かりは同じだ。「大菩薩」の場合は米兵が雲南省の少数民族、イ族の村にたどり着き、奴隷として扱われるが、同じ奴隷の境遇の女性と結ばれ、子供も出来るが、戦後、彼を捜索しに来た軍により、村を離れなければならなくなる・・・・という話だった。

当然、家の中に掲げられているはずのダライ・ラマの肖像画も、詳細なチベット仏教の祈りの様子もない。ただ、マニ車を回し、五体投地をしながらラサを目指す様子を映し出すぐらい。チベット人がこの映画を見たら、どう思うだろうか。


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