わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

「太平洋序曲」7月1日感想

2011年07月01日 | 太平洋序曲2011年公演
今日は、上手のサイドから観劇しました。
違う位置から見ると、新たな発見があったりします。
ただ、やはりここまでサイドに寄っていると、音響はよくないです。
花道を含めた劇場全体を見渡すにはとてもよい席でした。

舞台は、「生(なま)」何が起こるかわからないところに、面白さもあり、怖さもあるのですが・・・
この話は最後の方で。

開幕してかなりの日数が経ち、落ち着いたところもあれば、雑になったところもあります。体力を相当消耗するので、疲労も目立ってきました。
が、こういう感想は、リピートする一部の観客の感想なので、どうかとも思いますが、少しお付き合い下さい。

観劇するたびに、観客の反応がいろいろ違うことに、私も一観客ながら驚いています。
そこで笑う?ここで拍手しない?などいろいろあります。
その観客の反応によって、キャストの皆様もいろいろ小芝居を打ってくるわけです。
それが成功しているときもあれば、やり過ぎではないかというときもあります。

さて、話は少々変わりますが、私も「太平洋序曲」で検索をして、いろいろな方の感想を読みます。まあ傾向として、面白かった、感動した、考えさせられた、など、好意的な感想が多いです。それは当然なのです。ブログを書かれる方が多いと思いますが、それなりに時間も、体力も、思考力も必要ですから、その原動力が舞台になければ感想を書く、という行為をしないわけです。私も、その傾向にあります、苦笑。
ですから、批判的な感想を書いて下さるブロガーの方々はとても貴重な意見を書いて下さっていると思います。
その批判的に感想のほとんどは、以前に私も書きましたが、「歴史がめちゃめちゃ。」という点から出発しています。きっと、教科書に書かれた歴史こそが本当の歴史だと信じていらっしゃるのだと思います。その視点から離れられないと、音楽が、構成が、キャストのがんばりが、とお話ししてもこの作品の良さはお分かり頂けないと思うのです。が、負けずに、その視点から離れてみて欲しいとアプローチさせて頂くこともあります。話してみなければ、わかりませんからね。

なぜ、私がこの話をしたかといいますと、勿論、脚本に書かれたお話自体に問題はあります。しかし、観客にこのお芝居の舞台は幕末、つまり、武士が武士道を守っていた時代だと伝えることは、とても大切にことです。また、その武士道自体が、この作品の一つのテーマともなっているわけですから。

具体的にいいますと、香山役の八嶋智人さんと万次郎役の山本太郎さんで芝居をなさる場面が多いのですが、はっきり言って、初日、3日目、中日と進むにつれ、芝居が雑になっていると思います。
セリフは、言いたいことは確かに同じかもしれませんが、言葉自体が全然違っています。
脚本に忠実にお願いしたいのです。
特に、語尾。語尾には会話の相手に対する身分の違いが表れるのが日本語ですから、絶対に勝手に変えてはいけないと思います。「よ」とか「ね」とかをつけたら、目下の者に対するセリフになってしまいます。
また、八嶋さんの笑顔が魅力的なのは私も同感です。しかしながら、香山自身のセリフにもあるように「私はわらったりしないぞ。」が、あのころの武士なのです。とにかく感情をあまり出さないのが武士です。だからこそ、たまての死に直面したときにも、香山が泣声を上げるのではなく、ナレーターが泣くのだと思います。
万次郎は歯を見せて笑っていいのですが、香山は絶対にしてはいけないと思います。
そういう対比が、日米の習慣の違いや、服装は西洋風になっても、心がついていかないあのころの日本人の苦悩を描きだすのだと思います。

観客の笑い声は、キャストの皆様にとって魅力的なのだと思います。一番によくわかる反応ですからね。でも、それがだらだらと垂れ流しになったのでは、つまらないと思いませんか。ぎゅううううっと絞って、わっと出る方がもっと楽しいと思うのです。
あくまで、私の好みですが・・・

是非、もう一度、日本から一歩も出たことのないけれど、西洋を理解しようとする香山、
アメリカの素晴らしさを知っているが、日本の身分制度もしっかりわきまえている万次郎、を描いて頂きたいと思います。

香山と同じような身分と思われる武士を「剣士」として演じていらっしゃるのが、園岡新太郎さんです。
いくら、00年、02年に演じられていたとはいえ、2週間で仕上げるとは・・・毎日殺陣をなさっているのかしら、と思ってしまうほどです。つまり、武士道が身に付いていらっしゃるように感じるのです。
一幕の「ウェルカム・トゥ・神奈川」のあとも、二幕の「プリーズ・ハロー」のあとも、観客が楽しんで、気持ちが高揚している時に、お一人で何かをなさるのです。一幕の方は、多少笑いの部分もありますが、それでも、それまでの観客のイケイケムードを、幕末モードに冷やして下さるのです。客席のムードに流されず、己を通す。まさに武士!
立ち姿だけでも、現代を江戸時代に変えてしまえる感じが、もしかして、毎日、武道(殺陣)をなさっているのではと思わせるのです。

話がまた飛びますが、ブロードウェイ公演の冒頭の踊りを見てものすごく感じた違和感。これは、腰の高さにあると思うのです。東洋人の血が流れているとはいえ、日本の風習にはなじんでいないので、何をやっても腰高になってしまうのです。
多分、ソンドハイムさんが日本初演の舞台に感激したのも、自分たちが追及したのに追求できなかったもの、つまり日本人が大した意識もせずにしている所作の美しさを目にしたからではないかと思います。

「太平洋序曲」は全体として、笑いがちりばめられた作品です。
先日来話がよく出ている「プリーズ・ハロー」のロシア司令官の「コートに触るな」なんて、なぜおもしろい?と聞かれて、答えられますか?私は他の場面は、いろいろ考えますが、考えるなんて損、とにかく面白い場面です。そんな場面がちりばめられた作品ですから、あまり無理に、笑いを取ろうとすると、とてもダレた作品になってしまうと感じています。

しかし、笑いを取るつもりもなく、必死に演じているのに、舞台は生(なま)!!!ハプニングは起こるものなのですねぇ。
詳しく書こうかと思ったのですが、まあ、やめておきます。そのうち時効かな?って思いましたときにでも書きます。

と、いろいろ思いましたが、本当に「太平洋序曲」最高!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿