わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

「パジャマゲーム」もう少し語りたい

2017年10月27日 | 観劇記
東京公演が終わってしまい、今は大阪で公演中。その大阪公演もあと数回を残すばかりですね。
Twitterでの呟きを眺めながら、皆さんマニアックだなぁとクスクス。
ただ、私自身はリピートすることもありますが、一度しか観劇しない人が多いので、何度も観ると楽しいという舞台は評価しません。(「何度も観たくなる」は勿論大歓迎です。)
でも、何度も観たからついつい言いたくなるし、マニアックなファンに仲間入りしたくなってしまうのです。
2度目を観たとき、香盤表作ったら楽しいだろうなぁ、と思ったのですが、拠り所にするものがパンフレットにないのです。開幕しばらくして、ホームページ上にナンバーが発表になりました。パンフにこれがあれば作れたかもしれません。でも、もう、「太平洋序曲」の時のようなパワーはないですね。十数年前の話ですから・・・年を重ねました・・・
でも、ついつい、香盤表を作るなら・・・と変なところを観察(観劇ではない)私がいました(苦笑)。

さて、前置きはこれぐらいにして、書き残したいことを気ままに書こう、の勢いで書いていきます!!!

最初の場面で、男優さんがミシン台を飛び越す場面があります。公開稽古の映像にあったのですが、こんないい場面公開しちゃうのね、と思いましたし、怖いなあとも思いました。見るたびにしびれました。東京千秋楽まで本当にケガなく、良かった、と思う場面でした。
大阪もどうかケガのないようにと祈っています。

ケガなくと言えば、盆がないのに回り舞台のようなセットなので、躍動感あふれる舞台ではあるのですが、ヒヤっとすることも。
ある時、ハスラー社長が階段を上っているときに、あっ、こけた?と思ったら、シド工場長も危うく段ボール箱を落としそうになっていました。どうやら、上に着いたら止まることになっているはずが階段の途中なのに止まったようでした。
いろいろなタイミングでセットは回っていますが、階段を上る時は、セットが先に回り始めていてそこに乗っていくようですね。遥か昔に聞いた、慣性の法則、でスムーズにキャストの皆さんが動いているんですよね。
かなり前方に座ったときに、ピクニックナイフ投げの場面とかキャストの皆さんの反応の声が聞こえるのです。それで、セット回すときに掛け声とかあるのかなあ?と耳と目にこのうえない集中力を与えたのですが、収穫なし。つまり、音楽やセリフで動き出しを決めているんでしょうね。ダンスリーダー(青山航士さん)がいらっしゃるように、これもリーダーがいらっしゃったのかな?(逞しいのでついつい目が行ってしまう神谷直樹さん?)収穫あったとしたら、止める力もかけている場面も結構あったことかな。ついつい動かし始めには注目しますが、止める頃はお話が進んでいますので、ついそちらに気持ちが行ってしまっていました。押すより引く方が大変なんだろうなあ、と。で、ストッパー押して。止めるのはあまり注目していないのに、なぜかストッパーを押すしぐさは注目していたのですよね。目が二つしかないから、すべてを見るのは難しいのですよ、苦笑。
装置を動かすほうも大変だけど、動いていたことすら観客に感じさせない装置上の役者の皆さん、そして演出が素晴らしいなぁと思いました。
装置を動かすといえば、何よりヘルナンドス・ハイダウェイの場面、若手男優さん総出でビアノ2台乗った盆を回すのですが、とてもステキ。アップライト・ピアノとはいえ、300キロ近い重さがあるのが2台。600キロをあの速さで回す!!!!!あそこでピアノを登場させるのもステキなんだけれど、回っている・・・感動!!!
この場面は、もうお話も終盤ということで、いろいろなことが起きているのです。ところがちょっと暗め。ついつい何度も観たくなってしまう場面です。
でも、大筋は主要人物を見つめていればちゃんと進むので、初見の方も大丈夫です。

この「装置動かし」に気を取られるようになると、いわゆるヌマの淵にたたずんでいる感じでしょうか(苦笑)
トム・サザーランドさんの演出は、役者を袖に捌けさせない、が原則なのかと思っています。
装置動かしは突然舞台に出てきて動かすわけではないんですよね。自然に、そのあたりにいて、いろいろやっているの。なにしゃべっているのかなぁ、でも、あんまり楽しいこと話していると、きっかけ、遅れちゃうだろうしなぁ。
観劇ではなく、観察に近づいていますね・・・
ああいう演出だから、カンパニーの一体感がものすごく出るんでしょうね。
(「グランドホテル」も基本は舞台の奥の椅子にいることになっていたのですよね。ホテルだからいつも人がいるという設定。)

演出と言えば、「恋なんてしてない」をグラディスが引き継いで歌いながら場面転換するところも、自然な流れを大切にしていていいなぁと思うのです。同じ曲なのに、アレンジが違うと空気が涼しくなるのですよね。いつも、すごくおしゃれな転換だと思っていました。

最初のミシン台飛び越しも、ピアノ回しもしびれると言うか、ゾクゾクする場面ではあったのですが、私、自分が意外なところに目が釘付けになっていることに、ある日気が付きました。
それは、シドが背広の上着を着る仕草。中でも、上着着て、最後にYシャツの袖を引っ張るところとか、すごくいいなあって。
上着着るのは演出なのだと思いますが、シャツの袖を引っ張るのは、ご本人の癖?
ええ、新納さんについてあまり語っていませんでしたけど、こうしてちゃんと見つめていましたよ。
チャーリーへの思い入れが大きいのは確か。でも、役者さんとしては新納さんの方がたくさんの舞台を拝見しています。それだけにいろいろ思うことがありすぎて、言葉に出来ない感じでした。
新納さんは、見た目、とてもステキで、立ち姿も非の打ちどころがないのです。でも、動くと脆いというか、弱いというか、もっと自分を信じようよ、と声かけして差し上げたくなる感じでした。でも、今回のシドは、「自信」を感じました。歌も素晴らしいし、演技もどこにいても、いつでも「シド」でした。そしてセリフにしても歌にしても声の厚みが増したなぁと。
シドは、一人で舞台にいることも多いし、ソロも多い。だから、迷いがあると舞台全体が崩れてしまうと思うのです。「ブルー・タウン」はとても不安定な音の運びなのですが、安心して、というかあの時のシドの心情に寄り添うことができる歌唱でした。「ねえきみ」もしっとりと、よいですねえ。

正直、大好きな、特に歌声が大好きな佐山陽規さんがあまり歌わないにもかかわらず、なんでまた観たくなるのか?自問自答していました。答えは、キャストの皆様が佐山さんの歌声に匹敵する素晴らしい歌の数々を聞かせて下さるから、でしょう。そして、本当にストレスがありません。こんなこと言っては何ですが、「ええ、どうしてこの役者さんがこの役???まあ、あの役者さんがステキだからこの役者さんには目をつぶろう」と妥協しながら、プラスマイナスしながら、プラスに傾くとリピートしているわけです。この「パジャマゲーム」にはそういうストレスがありません。もちろん、細かいことを言えば、話の展開が強引なところもあります。でも、限られた時間の中でのこと。その強引にところは、観客の想像力を掻き立てるためにあると思えば、本当に楽しいです。それに、東京の半ばごろから、サイドストーリーの想像力を掻き立てるような小芝居(演技の充実)が随所に見られるようになりました。厳しく言えば、初日からやって頂きたいのですが、観客の反応が変化をもたらしているのかもしれませんから、日々変化するのは仕方のないことなのでしょうね。

まあ、いろいろ言ってみても、本当に楽しい舞台でした。
新納さんの言うように、「頭、パッカーン」で楽しめる舞台です。
でも、楽しいだけではなくて、歌、ダンス、演技、そして、演出、振付、装置、衣装、音楽どれをとっても素晴らしくて、観れば観るほど、また、観たくなる、刺激と安心感が同居している舞台でした。
大阪での大千秋楽までもうすぐですが、多くの方に観劇して頂きたいですね。

書き残したいことを気ままに書こう、の勢いで書いたとはいえ、支離滅裂。大変失礼いたしました。それでは、また。




教育費の無償化が本当に格差を縮める?

2017年10月11日 | 雑記
あまり政治の話はしたくないのですが、選挙を目の前に、教育費の無償化を公約に掲げる政党も多く、中には憲法にも書き込むとしています。
私は、この公約を出している政党が、今までやってきたことをきちんと国民が理解しないで、この公約を支持してほしくないと考えています。

一つ目、本当にこの法律がよく通ったと思いますが、こんな制度があるのです。
ざっくり言うと、お金持ちのおじいちゃんやおばあちゃんからお金をもらった孫は、1,500万円教育費に使えるという制度です。
学校の授業料たけでしなく、500万円までですけどお稽古ごとや塾の費用でもいいのです。
普通は、こういう風にお金をもらったら、もらった人(ここでは孫です)が贈与税を負担するのですが、この負担がないのです。
まあ、ほかにもいろいろ税金が減る制度なのです。
そして、さらにびっくりなのは、当初平成25年から27年までに限定していたのに、現在は平成31年3月31日まで延長されていることです。
格差を広げるなんていう表現では間に合わないほどのこの制度を作っておいて、一方で「親の経済状況で子どもの夢をあきらめさせない」と堂々と言えるなぁと感じています。
詳しくは、
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku-zoyo/201304/pdf/01-01.pdf
を見て下さいね。

もう一点、国立大学の学費の高騰です。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/__icsFiles/afieldfile/2015/12/25/1365662_03.pdf
私立大学も高いですけど、ものすごい勢いでその差が縮まっているのがわかります。
国公立大学の学費が無償にできていない現状で、どうやって私学も無償にするというのでしょうか?
いろいろ予算を組み替えると言っていますが、私はこれにも賛同できません。
それは、また、後日書きたいと思います。

教育の予算を増やしてくれるというなら、高等教育の無償化ではなくて、義務教育の充実を図るべきだと思います。
小学校から英語、プログラミングの授業をやりなさい、とか、いじめ問題、不登校生徒問題の解決を求めています。
私も、時々、小学校や中学校で授業をしますが、25人ぐらいが授業をしやすいですね。
少なすぎると、いろいろな意見がないし、多すぎると無関心の生徒が出てきてしまうのです。
何年もPTA活動もしました。教員の忙しさは、どこぞの社員の比ではないと感じていました。
大学の教授とも話しますが、「えっ、それ経験していない?習っていない?」が授業で続出だそうです。
高等教育の充実を否定するつもりはありませんが、まず、義務教育の充実、教員の負担軽減をしなければ、真の教育の充実にはならないというのが、私の考えです。

諸外国で無償化しているのだから・・・
という人がいますが、本当の意味での教育費を精査しているのか疑問です。
日本は「塾」があります。超進学私立高校に通っているのに塾に通っている生徒は少なくありません。
無償化されている国に、日本と同じような「塾」があるのでしょうか?
無償化されて余裕ができた家庭がそのお金を塾通いに向けていくとしたら、ますます格差が開いていくのではないかと思ってしまうのです。
無償化できている国々と、日本との違いをしっかり把握しているでしようか?
塾という学校以外の勉強するところがあるか?進学率は?最終学歴による将来の収入の差は?
比較するときには、きちんと比較し、現状の日本に高等教育無償化を導入すべきかを考えてほしいと思います。

自衛隊も憲法に書き込みたいから、教育無償化を掲げたという印象です。
是非、冷静に、現在の政権がやっていることをみてほしいです。



「タイタニック」の再演情報!うれしい

2017年10月10日 | 雑記
仕事中になのに、スマホがにぎやかでつい見てしまいました。

嬉しい!

佐山陽規さんもご出演とのこと。
トムさん作品、皆勤賞!!!
でも、かなりキャストは変わりましたね。
初演より、男性が1名多くキャスティングされていますね。
発表の並び順からすると、鈴木さんが船長に役替わりで、
石川さんがオーナーかな?
トムさんのことだから、直前までわかりませんけど、苦笑。

また、日本青年館なんですね。
(今、トム・サザーランドさん演出の「パジャマゲーム」でしばしばお邪魔中)
初演はコクーンでしたら、かなり演出も変わるでしょうね。
キャパは1.5倍ぐらいになるから当日券でのリピートもできるでしょうかね。
本当に、初演は完売でしたから!

来年も、この時期、外苑前に出没することが、決定しました。

あと、神宮球場にも行きたくなるような状況になっていることも
祈っているのですけど。来季ことは!
Go Go Swallows!

忙しいな、私(苦笑)

さらに、「タイタニック」も素晴らしかったけど、上演中の
「パジャマゲーム」もとても良い作品ですよ。
栗原さん、上口さん、佐山さんとも、両作品、真逆の役柄です。
そしてなにより、トムさんの演出手腕炸裂!の舞台。
今週中、日本青年館で上演中です。
大阪もあります。

それでは、また。

「パジャマゲーム」

2017年10月07日 | 観劇記
日本青年館 
2017年9月25日初日と10月1日ソワレ
そしてもう一回観ているのですがいろいろあって秘密(笑)

一階席の前後左右とも真ん中あたりが2回とやや後方だけど上手通路近く


コメディミュージカル・・・久しく接しないジャンル・・・
最近、日本で流行るミュージカルは割と悲劇が多いです。まあ、世界的にも、「楽しむ」というより「考えさせる」作品を提供することが潮流となっているのでしょう。久しぶりにハッピーで、わくわくする舞台を観ました。
2回目を観て、そういう楽しい舞台でも、初日は堅かったなぁと思いました。観ている私も堅かった???苦笑。

いろいろ細かいことにも触れています。観劇前に読む場合は、ご了承のうえお読み下さい。
観劇するかどうか迷っている皆さま、是非、読んでその勢いで劇場へどうぞ。

あらすじは、紆余曲折はあるものの、ヒーローとヒロインが結ばれ、その周りの人も元の鞘に納まり、どうかよくわからないカップルはいるものの、一番の問題の7セント半の賃上げは叶うという本当にハッピーなお話し。

ハスラー社長を演じる佐山陽規さんのおかげで(?)、トム・サザーランドさんの日本での演出3作品すべてを観劇することになりました。大好きな佐山さん中心で考えると、私の中では「グランドホテル」「タイタニック」「パジャマゲーム」の順ですが、作品全体の完成度からすると「パジャマゲーム」がダントツで抜きんでています。3作品とも、群像劇ですが、「パジャマゲーム」が、一番全員が本当に生き生きと、大活躍するので、そこも私好みであり、なおかつ、ミュージカルといえば「歌・ダンス・演技」を求められますが、キャストの皆さまがそれを満たして、観客を楽しませて下さっているのです。曲は、もともとあるものですけれど、アレンジがすごくおしゃれ。そして、振り付けも、本当に、憎いほど一つ一つがおしゃれ。溜息が出るばかり。そして、演出は、劇場にいる全員が、その一瞬一瞬を共有していると感じる、人々が紡ぎだす空間作りなのです。キャストの皆さまは、大道具を動かすので、大変だと思いますが、その動かしている前後にもお芝居があったりします。そういうことの積み重ねが、また、キャストの皆さまの息が合って、よりお芝居が、自然な流れの中で運ばれていくのだと感じています。

長くなるかもしれません。最後までたどり着かないと困るので、このあたりでお伝えしたいことがあります。
私も、行きたい作品すべてを観劇できるわけではありません。で、あとになって、観ておけばよかった、と後悔することがあるので、この俳優さんが気になるなら・・・ということを書いてみたいと思います。

プリンシパルの方は別にして・・・
一番に、青山航士さんのファンやちょっと気になるなぁという皆さまへ伝えたいです。かなりの困難があっても乗り越えて是非劇場へ行きましょう!ええ、ええ、もう、惚れ直すと思います。(「グランドホテル」でもすてきでしたが、あれが満足度80点とすると、今回は150点ぐらい。)
2番目に、神谷直樹さんのファン皆さま。少々の困難など、一蹴して劇場へお運び下さい。
次に、鈴木結加里さんのファンの皆さま。チケット代以上の満足感があると思います。

プリンシパルの皆さんのご活躍は、半端ありません。ちょっと気になっている、ぐらいのファンの皆さま、是非是非。他の舞台で、こんなに歌って、踊る、なんてこの後もないかもなぁと思うほどです。
あと、某ドラマで、新納慎也さんや栗原英雄さんのファンになった皆さま、ミュージカルはちょっと、と言わずに、劇場に来て観て下さい。生ってこんなにすごいんだ。生って楽しい!と感じて頂けると思います。お二人とも、「歌」素晴らしいのですよ。

やや、梅芸の回し者になった感じですが、私はたくさんミュージカルや舞台を観るのですが、ここに書かなかったキャストの皆さまも、他の舞台ではその魅力の十分の一も発揮されず、残念と思うことがしばしばです。「パジャマゲーム」はキャストの皆さまにとっても、実力の限界を見つけ出すお稽古場だったのではないでしょうか。本当に、キャストの皆さま全員が魅力をいかんなく発揮している、充実した舞台となっていると感じています。

ちょっと、かっこいいこと言ってしまいました、苦笑。
具体的な舞台の話をしたいと思います。

ハッピーなお話しの中に、ダンス、ダンス、ダンス!本当に楽しい。オープニングから、うそ!と言うような男性キャスト陣のアクロバティックなダンス。ピクニックの楽しい、運動会みたいなダンス。ラブラブなシドとベイブの歌の間のダンス。もう、ここまでで、ダンスは終わりかなぁ?と言うほどの運動量なのですが、第2幕もダンス!
「スチーム・ヒート」は圧巻。北翔海莉さん、青山航士さん、神谷直樹さんが踊るのだけれど、いわゆるフォッシースタイルで、かっこいいのなんのって。照明も衣装も本当に魅力的。このダンスを観るだけでも、観劇した甲斐があったと思う場面です。
このすてきな「スチーム・ヒート」の場面ですが、組合活動の一部なのです。なんてよくできた脚本だろうと感心します。全体としては、ダンスのイメージですが、お話し自体も面白いです。初日は唐突と思ったのですが、2回目は、キャストの皆さまの「間」やその「間」での目線の感じがよくなったのか、セリフはないのだけれど、気持ちが伝わる場面が多くなって、お芝居としての面もとてもいいなぁと思いました。
それが顕著だったのは、新納慎也さん演じる工場長のシドが、北翔海莉さん演じるベイブをデートに誘う場面の二人のやり取り。シドはぐいぐい行きたいのをぐっと抑えて、クールに誘い、ベイブは一瞬嬉しいとなるのだけれど、シドに悟られないうちに押し隠して断ってしまうのです。ここでの、間やちょっとした表情が観客の共感を得られると、ちょっと唐突なピクニックでの出来事も納得なのです。
まあ、細かいことが気になる私の悪い観劇癖です。そんなこと考えなくても、本当に楽しい舞台です。

この感じで書いていくと終わらないので、コメディの感想らしく、変化球でいきます(笑)。

ハインジー(栗原英雄さん)がラストの方で、シドとベイブの熱々を揶揄して、「あの二人は長く続かないな」というのですが、私も同感、笑。
大体、ベイブは人を見る目がないですよね。あんなにそばにすてきなチャーリー(広瀬友祐さん)がいたのに、それに気が付かないなんてね。チャーリーがすてきな場面はいくつもあるのですが、一幕のラストで、シドと一緒に「Hey There」を歌うのですが、シドが感情を思い切りぶつけて歌うのですが、チャーリーはソフトに歌うのです。その対比がとてもすてきです。広瀬さんの歌を初めて意識して聞いていると思いますが、すごく緻密に歌声をコントロールできる方なんだろうなぁと思っています。演技もいいですよね。ハンカチを見つめる・・・相当チャーリーに感情移入しているので、ベイブ、どこに目を付けているのぉ!!!
と思わせるほど、可愛らしいベイブを演じるのは、宝塚で男役をなさっていた北翔さん。宝塚時代のご活躍を拝見していないのです。宝塚出身の女優の方々はもうたくさん拝見しています。宝塚出身といっても、本当に実力はまちまち。トムさんが北翔さんと出会ったから作った「パジャマゲーム」と聞いていましたので、めちゃくちゃ私の中のハードルは高かったです。そのハードルの遥か上をひらりと飛び超えて下さいました。これほど、歌に表情があるとは・・・ダンスも演技も素晴らしいのですが、ミュージカルで活躍するなら、豊かな表現が出来る歌声をもっていることが大切だと思っているので、本当に素晴らしい女優さんだと思いました。

ハインジーも他人のことは冷静だけど、グラディス(大塚千弘さん)と長続きするとは思えないですよ。グラディスみたいな女性とお友だちにはなりたくないけど、ああいう話題性のある女性が存在していたら、噂話に事欠かなくていいかも。
ハインジーとグラディスのカップルはいろいろ衝撃的なカップルです。栗原さんと大塚さんのイメージが180度覆った感じです。栗原さんはコメディも出来るのだろうなぁと思っていました。大塚さんの方が衝撃的でした。いつもニコニコ可愛らしいイメージだったのに。結構、途中までは、一番の悪人という感じです。本当においしい役で、悪のイメージもありながら、たくさんの笑いも取に行ける役です。こんなにモテる役もないでしょうしね。ハインジーに、プレッツ(上口耕平さん)、そしてシド。モテ過ぎ・・・
(ハスラー社長ファンとしては、グラディス、許せない、となるけれど、大笑。)
結局、グラディスはハインジーが一番らしいのですが、グラディス、苦労すると思いますよ、結婚したら、笑。「やきもちはやかない」って歌いますけど、簡単にその性格が直るとは思えませんし、時間にあんなに几帳面ながら、洋服を着たまま寝たり、起きてベッドで髭そったり、う~~~ん。水で濡れたベッドはどうするのかな?っていつも思います。グラディス、お掃除大変だろうな・・・
やっぱり、ハインジーとグラディスも長くは続かないんじゃないかなぁ・・・笑。

チャーリーのように一途で優しい男性の反対側に存在しているのが、女性の敵、プレッツ委員長。労働者の味方だけど、女としては近くにいて欲しくない男。本当に奥さんがかわいそう(誤解のないように書きますが、プレッツの奥さんは登場しません。)でも、演じている上口さんがすてきだから、なんとなく、「まぁいっか」となっています。相変わらず安定した歌声です。ダンスも素晴らしいです。こんなリーダー的な役柄もしっかりこなせるとは・・・「タイタニック」の内気な青年役からは想像もつきませんでした。

以上、演じているとは思えない、個性豊かな、俳優の皆さまのおかげで観劇後の仲間との話が尽きませんでしたよ。
演じているは思えない、と観客が感じるか否か、は舞台作りにとても大切だと思っています。勿論、技術だけで見せることもできると思いますが、観客が共感するというところまで楽しむのは、やはり演出が大切なのだと思っています。
先ほどの相当下らない感想も、想像力が膨らむから出てくるのです。その想像は、俳優の皆さまが、その役柄として生きていることを感じられるときに出てきます。
群像劇は、多くの場面に、キャストの皆さまが登場します。現実の生活でもそうですよね。本当に、一人とか二人きりなんてことはありません。
「愛なら負けない」の場面がもしベイブとシドの二人だけなら、二人もあんなに楽しく歌わないと思うのです。ベイブが「ねえきみ」を歌うとき、小道具をキャストの皆さまが渡していくのですが、人と人の繋がりを感じられてとても好きです。(「太平洋序曲」の「ボーラ・ハット」を思い出していました。)
そうそう、ここで北翔さんの歌がすごくいいのですよね。コンパクトを取り出して、涙声で2フレーズぐらい歌い、その後はしっかり歌うのですが、その最初の涙声の寂しさが余韻として残っていくのです。そのあとは、決して崩したりしないのに。聞き手を納得させる歌を歌える女優さんなんだなぁといつもこの場面で思うのでした。

(話が行ったり来たりしていますが・・・終わるのかな?)

ハスラー社長はこのカンパニーで唯一嫌われる役、と聞いていたので、「グランドホテル」で青山航士さんが演じた運転手みたいな怖そうな役かと思っていましたら、まあ、職業倫理上の問題は大いにありますが、普通の人で、ほっ。
脱線しますけど、青山さんは「グランドホテル」での演技がすてきで、悪役なんですけど、惚れ惚れ。で、この舞台でも演技が光る場面があります。すてき!あの場面、ラジオを付けて流れる音楽で雰囲気を変えるというのもおしゃれな演出ですよね。コメディがあって、雰囲気がよくなって、一大事になり、さらに事件が続く・・・笑。是非、注目して下さいね。
ええ、佐山さんの話でした、苦笑。ご本人がいろいろな場面で、「ダンスは得意ではない」とおっしゃっていますから、「パジャマゲーム」がダンスミュージカルだと知った時、ファンとしては、一抹の不安・・・一抹ということにしたいと思います。
今回、演技が中心ですね。なんというか、舞台全体が、ピンクのハートに埋め尽くされているような感じなのに、社長が登場すると、ああ、ここ工場だったのね、と現実感溢れます。でも、ヤギさんみたいにお手紙食べてしまうのです。コメディです、ハイ!
最後の場面は、ほんわりとなるので、よかったぁ。
現実と舞台での出来事(役名であり続けるのか、一俳優なのか、不思議な時間)が交錯するフィナーレ。ここでもチャーリーの優しさ、気配りに目が釘付け!本当に、チャーリーいいです。社長への気配りが素晴らしいので、きっと出世するでしょう。
(ツイッターのつぶやきで、アフタートークの内容を紹介して下さっている方がいらして、知ったのですが、最後の「7セント半」に合わせてフィナーレをやることは、ゲネプロの後決まったそうです。社員の皆さんは本編で踊っているわけですが、社長は勿論その場にはいないわけですよ。それに、7セント半賃上げしたくないわけですから、チャーリーが社長の様子を伺いたくなるのもわかるわ!)

ちょっと変な観劇記ですが、なにしろコメディの舞台の感想ですから、堅いことは考えず、笑いながら読んでくださいね。
書いていても楽しくて書き続けたら、ちょっと公にできないだろう、となりました。そのあたりを直しているうちに、話が行ったり来たりしています。もっと、書きたいことはたくさんあるのですが(新納さんの話がほとんどない!)、また、何かの折に。
最後まで、お付き合い頂きありがとうございました。

キャストの全員の大活躍を応援して、明るい気分で劇場を後にできる、爽快、ミュージカル・コメディ「パジャマゲーム」は2017年10月15日まで、日本青年館(東京)で上演中です。その後大阪へ(2017年10月19日~29日梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)。
是非、お運び下さいね。



PG初日の客席

2017年10月07日 | 雑記
2017年9月25日、新しくなった「日本青年館」へ、「パジャマゲーム」を観劇に行きました。
神宮球場側から見ていた建物についに足を踏み入れました。

もう少し、ロビーを広く取れなかったのかなあ。
客席の横並びが長すぎます。真ん中あたりの席だと大変なことに。
真ん中の時は、早めに着席した方がいいようです。

すごい!ダンス、ダンス、タンス。

と、怒涛のダンスの一幕目が終わって、ロビーに出ようとすると、
トム・サザーランドさんが演出した舞台に出演されていた俳優の皆様が、
ちょうど真ん中の通路の柵のあたりでたむろされていたんですね。
数人の俳優の方とその柵が私の想像力を思い切り駆り立てました。
「タイタニック」の舞台へです。
連日立ち見が出るほどの盛況だったので、すぐにでも再演があるのかと
思っていたのに、再演されずに、トムさんが別の作品(「パジャマゲーム」のこと)
を持っていらしたので、トムさんは再演に乗り気ではないのかなぁ???

トムさんの演出作品にはかかわっていらっしゃらなかったIさんが
いらしていました。新作かな?

とにもかくにも、トムさんまたいらして下さいね。


そういえば「パジャマゲーム」の「ゲーム(game)」っていろいろな意味があるんですよね。
いつか、英訳で「標的」みたいな訳になる「ゲーム」にぶつかって、
苦労したことを思い出します。
ここでの「ゲーム」は「商売、職業」という感じでしょうか。
まあ、「商売」も「ゲーム」と思えば、頑張れる?
邦題が「パジャマ業」ではピンとこないから、そのまま「パジャマゲーム」なんでしょうね。
観劇すると「パジャマ」に関する「ゲーム」のたくさんの意味を網羅しているかも、うんうん、
となりますが、キャッチーな作品名って難しいです。

では、また。