森の中のティータイム

離婚を経験し子供達も独立 
暮らしの小さな発見をノートに。

完璧な母親

2018-09-07 | 映画ドラマ
「透明なゆりかご」の第7話は、これまでよりも一層心に残るものだった。

その昔、私たちが子育てした時代は、世間もそれほど他者の子育てに関して今ほどの「厳しい目」が
なく、「今だったらベランダに締め出した『お仕置き』も虐待通報されるのかもねぇ」などと友人と
話すこともある。 それくらいのことを「躾」として、殆どの家庭がやっていた時代だった。

強い父親が子供を殴る家庭もあり、さすがの夫もそれはやらなかったが、そういうことさえ黙認され
る時代だった。(ただ小さい息子の手の甲に、お灸をすえた夫には猛反発したことがあった)

ある家庭では「謝るまでご飯抜き」だったり、我が家でも「人に悪いこと」をしたら、撓る素材のハ
タキの柄で「お尻ペンペン」を6年生までと「決めて」やっていた。私の母は、姉たちのお仕置きに
押し入れに閉じ込めるという罰を与えていたそうだ。でも、そのうち「おしっこが出る~」と喚くと
布団に被害が及ぶのを恐れた母が慌てて出してくれるという「知恵」を、長姉が身に着けたことで廃
止したらしい(笑)

だけど、この回に登場する主人公の幼馴染みの少女時代は、そんな冗談交じりで話せるレベルではな
かった。少女の母は再婚相手の子供を産んだ後、少女を物置小屋で生活させていた。新しい夫が少女
を嫌っていただけでなく、母親も愛情を無くしていたからだ。いつも汚れた服を身に着け、髪はクシャ
クシャ。食べ物も満足に与えられずにいた。

ある日少女が学校から帰ると、大切にしていた自分のものを弟が切り刻んでいた。それを止めた時、
弟は取りあげたはさみで小さな怪我をしてしまった。
それを見た母は怒りで娘の顔をハサミで切りつけ、少女は施設で暮らすようになった。
明らかに虐待だった。

けれど、それからもずっと少女は母が自分を生んだ時の母子手帳を「心の支え」にして大切にしてい
た。 主人公のアオイも、幼い頃「注意欠陥多動性障害」と診断された時から、母との関係に悩んで
いた。時に母をイラつかせる自分を、母親が嫌っていると思い込んでいた。そして「母子手帳」を
恐る恐る開いて読むと・・そこには生まれたアオイに愛情をたっぷり注ぐ母がいた。

確かに母親はアオイの言動や行動に戸惑いを隠せず、注意したりキツイ言葉を投げかけることが多か
った。どんなに愛しいと思っている子供にも、子育てした人の誰もが経験する「困った」とか「異常
かも」とか、不安な気持ちからどん底に突き落とされてしまうことがある。

睡眠不足や疲労に拍車がかかる「夫の協力がない家庭」では、特にそうだと思う。マイナス思考になり
私も子供の入院以後、心配し過ぎから軽い「育児ノイローゼ」になった。あの頃、先輩ママのご近所さ
んたちに「焦らなくても大丈夫!」と優しく諭してもらえなかったら・・と思うと今更ながら怖くなる。

きつく叱った日の夜、子供の寝顔を眺めて「自分の未熟さを恥じた母親」は、私だけではなかったと思う。
二人目からは、意識して肩の力を抜いて子育て出来たのも、その経験からだった。
「完璧な母親」なんて世界中どこを探しても「胸を張って言える人」なんて居ないと、今なら判る。

ただ、子供を誰よりも愛しているのは自分だと、それだけは胸を張って言える。
それだけは自信を持って。

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