海鳴り

2024-08-01 05:24:39 | フォーク&ニュー・ミュージック
研ナオコ



海鳴りが 寂しがる夜は
古い時計が泣いてなだめる
遠く過ぎて行った者たちの
声を真似して呼んでみせる

覚えてるよ 覚えてるよ
この足元で はしゃいでいたね
覚えてるよ 覚えてるよ
時計だけが 約束を守る

海鳴りよ 海鳴りよ 
今日もまた お前と私が残ったね
海鳴りよ 海鳴りよ
今日もまた お前と私が残ったね

見てごらん 今歩いてゆく
あんなふたりを昔 みたね
そして今日は明日は誰が
私のねじを巻いてくれるだろう

忘れないで 忘れないで
叫ぶ声が今も聞こえてる
忘れないよ 忘れないよ
時計だけが 約束を守る

海鳴りよ 海鳴りよ 
今日もまた お前と私が残ったね
海鳴りよ 海鳴りよ
今日もまた お前と私が残ったね




「海鳴り」、・・・

台風や強い低気圧が海上にあるとき、近くの海岸で聞こえる遠雷のような音で、海岸から数キロメートル離れた所でも聞こえます。

宮崎県、高知県などの太平洋岸では遠雷のように、瀬戸内海、大阪湾などでは1発ずつの大砲の音のように聞こえることが多いとか。

うねりや波浪が海岸近くでくだけるとき、水と水とが衝突する音、あるいは水中に巻き込まれて圧縮された空気がすきまから噴出する際の音といわれます。

「海鳴り」は一般に海岸よりすこし離れた所でよく聞こえますが、都市化の進行に伴う雑音のため近年では都会でこれを聞くのはまれとなりました。

海鳴りは台風や低気圧の接近の一つの指標です。

ところで、この「海鳴り」、潮の遠鳴りを連想しがちですが、よく考えてみると、遠くに聞こえる潮騒を意味するように思います。

つまり潮騒というのは、ひき潮からやがて、潮が満ちてくるときに、寄せ来る波が立てる音、それが遠くから響いているのが「潮の遠鳴り」なのでしょう。

それに対して、「海鳴り」は、海の方から鳴り響いてくる遠雷のような低い響き。

だからこそ、誰かの呼ぶ声に聞こえたり、汽笛の音にも聞こえたりするのかも知れません。

いつも聴こえていたわけではない海鳴り、でもいつか聴いたような気がする海鳴り、ちょっと怖い感じのする海鳴り。

でも、なぜか懐かしい響きのする「海鳴り」が、ふと聴きたいと思うのは、そんなことからでしょうか。

ちなみに、気象学的には、海鳴りは、台風や津波などにより引き起こされる沖合いの激しいうねりが打ち寄せて伝わってくる音とされています。

いずれにしろ、古来より、「海鳴り」はひとつのメッセージ性を持つものと意識されてきました。

それで、人は「海鳴り」に託して、いまは見えない者たちからのメッセージと受け止めるのでしょうか。

しかし、「海鳴り」が、遠く過ぎて行った者たちが残していったメッセージとしても、そのメッセージをどう受け取り、読み取って、

今日や明日の行動にどう移していくかは、いまここに残されて、生きて「海鳴り」を聞いているものにしかできないことなのです。

「海鳴り」を聴けるのは生きていればこそです。

忘れないで、忘れないよ、その約束は、過ぎていく時のうねりの中で生まれた「海鳴り」として、いつまでも心の中で響かせてこそ、

守っていけるものなのかもしれません。

この曲は、「わかれうた」や「化粧」、「世情」などの中島みゆきさんの初期の頃の名曲が入っている4枚目のアルバム「愛していると云ってくれ」に

収録されています。

このアルバムは、冒頭に朗読があります。

     わかってるのに
     わかっているのに
     うらやましくて
     うらやましくて
     ・・・つき合ってくれてありがとう
     でも 今夜は私 泣くと思います
                     「元気ですか」

中島みゆきさんをして、暗い、という評価を定着させた名盤かも知れません。(笑)










































































































































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