Mulholland Dr. 6980だったかな、その住所は。
D.リンチの映画はあまり観た事はないがもうほぼ10年以上前かテレビで「ツインピークス」を観て妙で典型的なアメリカの材料ではあるけど決定的に違う、ヨーローッパだな、と我々夫婦が毎週テレビの前で、こいつおかしいよ、と観ていたのは。
妙な人はどこでもいるのだが、アメリカ映画全盛の中でこの人のはハリウッド的ではないから引っかかったんだろうとおもうけど、今夜見ようとは思ってなかったのだけど見てしまった、それも中途半端に後半ぐらいからだろうか、久しぶりに見たのは。
妙だな、そういえば昨日か、ラジオでロッテルダムの映画祭にこの人来てるって、そして、インタビューのなかでまた悟ったような韜晦の妙なこと言ってたから、明日は早いのに、それに録画したばかりのフランス映画観ようかとしていたのを少々邪魔された感じだ。
で、この映画、3,4年前に観ていてひょっとすると全部見ていないかもしれないし、そのとき肝心なところで何かに邪魔されてどうも肝心なところをみていないのかの様に腑に落ちないところがあったと記憶している。
多分全部見ていて忘れているのだろう、構造が入れ子模様であったり、遊びがたくさんあって、何か分からぬ間に筋をたどっていけばハリウッドのカリカチュワだったり、妙なアメリカの亡霊、精霊とでも言ってもいいけれど、テンガロンハットかぶったそんなものが出てきたりするから。
主演の女優は明らかにヒッチコックの「鳥」の女だな。 どんどん変質していってもどるようなところはまるでヒッチコックとはちがうけど、それでもヒッチコックへのオマージュとしてみられぬこともないか。 肉感的なセックスにしてもアメリカ映画の一番おいしいところだけれど、リンチの映画はメジャーかマイナーか知らないけれども、とにかくここでは異性愛は仮であって演技のツマとして出てくるだけの反転仕込み、風刺が充分効いて、自虐的ですらある。 同性愛の美しい場面をとるがせりふの一つ一つにもプロットが振ってあってあとの修羅へのキーワードともなっているようだ。