きょうは数カ月に一度の歯のメンテナンス。会社は終業時間にタイムカードを押し、誰よりも早くエレベーターに乗り、すぐにきたバスに乗り、京都駅18時6分の快速に乗った。
そして、19時半すぎに歯医者へついて、歯磨きルームで歯を磨き、受付をして待つ。19時からの予約。
ここは毎回衛生士が変わる。同じ人にあたったことはない。もう3年くらい通っているけれど。
きょうはわりと年配の女性。ちょっと怖い。なんか力づくなイメージ。
歯を削られているあいだ、他の事を考える。象牙って歯かな。いや、あれは牙だから歯ではないな。でも上顎から出てるんだったら歯みたいなものかな。
いつもはあの機械音から意識を遠ざけるために、私は骨だ。いま、全部が骨だ。骨の一部を薄くスライスされているだけだ、大丈夫だ、と呪文のように思っていたけれど、きょうはそれくらいではいかないくらい、衛生士さんの指の力が強くて、そんなに唇をのばさないでよぉ、とかいろいろ気になる。そこから気持ちを別のところへもっていくには、骨の想像くらいでは負けてしまいそうだった。
そうだ、きょう、私は象牙だ。あのつるつるの、象牙なんだ。
いま、このそばで作業をしている人は象牙彫刻家だ。しかもかなりの熟練工だ。かなりの荒技で削っている。ちょっとがまんしていれば、わたしは数十分後にはあの、故宮博物館で見たような美しい彫刻になるんだ。(象牙彫刻ってすごいものです。見たことない人は画像の検索かけてみてください)
いつもより長い。機械で削ったあと、ノミを使って(イメージ)さらに削る。力任せな感じ。怖すぎる・・・ 象牙彫刻とかそんな美しいものではないような・・・そうだ、昔、中学くらいの美術で蠟の塊を彫刻刀で削って、友達の顔を彫ったことがあったな。とにかく彫刻刀って苦手で、目とか鼻とか彫っているうちにへんな力が入って、思ったようにまったくならなくて、ひどいものができあがったんだったな・・・・
よけいに気持ちが沈んでくる。
それで、このあと終わったらなにか食べに行こうと考える。城陽飯店って何時までだろう。水曜日は定休日じゃないよね。ああ、あそこのレバニラ、おいしいんだよなぁ。
メンテ終了。いつものように先生がチェックして、数値の表をみて、注意事項をきいて、歯ブラシを貰った。
あぁ、緊張して疲れた。そして、レバニラを食べて帰った。
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