ほよほよさんぽみちNEW

いつでも君のこと好きだったよ

お花のおじさん

2024-04-11 19:13:29 | 日記
 今朝、植物に水を遣っていたら、鼻にチューブをつけてキャリーバッグを引いている男性がうちの前を通りかかった。軽く会釈をしてすれ違った後、あれ、いまのひとは、お花のおじさんじゃないのかなと思って振り返ったけれど、よくわからなかった。

 お花のおじさんというのは、うちの隣の町内のおじさんで、名前は知らない。以前は家の前にトレリスを備え付けてそこにハンギングの鉢植えをたくさん並べていつもきれいな花を育てていた。

 最近、たまに通りかかっても花がなくて、どうしたのかなぁと思っていた。まぁ、かなり月日が経ったから、花の世話ができなくなったのかしら、とか。

 ガレージの植物にはホースで水をかけ、赤くなってきたハゴロモジャスミンの蕾をよけながら枯れた葉っぱや茎を切っていると、おじさんが戻ってきた。やっぱり。お花のおじさんだった。

おじさん「このチューリップ、すごいねぇ、大きいの咲いたねぇ」
私「そうなんです、八重咲きの球根を買ったんですけど、こんなに大きくなって」
おじさん「こっちの鉢のももうすぐ咲きそうやね」
私「同じ時期に植えたチューリップの球根でも、種類によって咲く時期が違うんですよね」

 そこへたまたま家から夫がでてきた。おじさんは一瞬驚いたようだったけど、お互いに挨拶を交わして植物談義は続く。おじさん「そうそう。野葡萄。復活しましたねぇ」

 おじさん、見守ってくれていたんだ、と思う。一度ガス工事で根元から切られて全滅したかと思われた野葡萄が1年で復活したのだ。

おじさん「秋にたくさん実がなってましたねぇ。一度枯れかけて、ぼく、入院して、退院してもどってきたら、復活していたんでびっくりしましたよ」

 おじさんは、急に「ですます」調の話し方になった。夫に気をつかっているのか。かわいい。

おじさん「いつもここ通るの楽しみなんですわ」
私「またいつでも見に来てくださいね」

 おじさんはキャリーバッグをコロコロひいて緩い坂を下って行った。

 野葡萄。通るひとに心配されたり勇気づけたり。植えたわけでもない、勝手にはえてきた野葡萄がこの小さな町の人の心にとまっていることがなんとなく嬉しかった。

 いい一日のはじまりだった。

コメント
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