ほよほよさんぽみちNEW

いつでも君のこと好きだったよ

さようなら

2024-04-06 18:23:44 | 日記
 きょう、すこしお気に入りの春の服をきて、徒歩で15分の美容室へ行った。

 しばらく椅子にすわっていると、スタッフのひとが近づいてきて、

 「あの、予約は9日のようなんですが」

 え、また間違えたのか。6日の10時って言ったつもりでスケジュール帳にも書いたのに。

 「あしたの朝ってあいてませんか」というと、

 申し訳なさそうに、

 「担当のNは3月で退職しまして」

 え・・・・・

 ・・・・・・・ しばらく絶句。

 私「ご病気かなにかですか」
 スタッフさん「いえ、病気ではないんですけど」

 はぁ。 呆然としながらも明日の9時で他の担当者を予約して帰った。

 帰り道。 ふわふわ歩いた。

 Nさん。もう20年近く、毎月私の髪を切ってくれていた人。息子がうちにいたころ、高校生とか大学生のときは同じNさんに切ってもらっていた。

 なんでも話した。

 サーフィンをやっていたNさん。マウイ島の話もしたし、息子の話、老いていく親の話、短歌のこと、チェコのこと、インボイスのこと。息子の大学時代のオケのコンサートにも招待したことがある。

 前から決まっていたら、先月予約を受けなかっただろう。葉書の一枚もない、というのはよっぽど急な事情だったんだろう。

 さびしいな。

 私の記憶や時間をNさんは覚えていてくれていた。こう書くとSDカードみたいだけれど、そういう機械的な記憶の保存ではなくて。どこからどの話をしても、「そうでしたよねぇ」といっしょに懐かしがってくれた。

 いままで髪をきれいにしてくれてありがとう。 それから、私のこれまでのことを覚えていてくれて、楽しい時間を過ごさせてくれて、ありがとう。

 もう会うことはないだろうけれど、元気でいてほしい。

 さやうなら きれいな言葉だ雨の間のメヒシバの茎を風が梳きゆく 河野裕子『葦舟』


  



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