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いつでも君のこと好きだったよ

プラハにて 修行編(3)

2018-03-25 21:33:06 | 日記

 空港にて「マダム」と税関で呼び止められたとき、私のことと気がつきませんでした。私のイメージする「マダム」と自分がかけ離れていたせいでしょう。

 

 さて、修行編(1)において結果的にキセル乗車となり、罰金を支払ったのち、駅員さんの「あとひと駅くらいなら歩いたほうがいい。つぎの駅まで歩いて10分ほどだ」という言葉を信じて、予定よりひとつ手前の地下鉄駅から地上へあがったら。そこはヴルタヴァ川(ドイツ語でモルダウ川)の橋の手前。橋の向こうの丘の上にプラハ城。むこうがわからトラムが走って来る、という鉄道マニアには絶好のポイントでした。

 

 寒さを忘れるほどの美しい街並みに、さっきまでのどんよりとした気持ちがかなり和らぎました。

 

 日が差していても、気温が低いので雪が解けません。赤い屋根に雪が残っていて、雪のプラハもいいねぇ、などとのんきに坂を上ってプラハ城をめざしました。坂の途中にあった両替屋さんの前で現金を引き出し、チェココルナに両替してもらって、ちょっと安心しました。

 

 坂がかなりきつくて、すたすた前をいくRについていくのに必死です。マダムなんですから、ちょっとゆっくり行って。

 

 私たちのスタート時間が早すぎて、プラハ城へついたのが10時前で、まだどこもオープン前です。聖イジー修道院は10時から。聖ヴィート大聖堂は12時から。3月いっぱいまではまだ冬時間の営業で、しかも、たまたま日曜日だったので、そういう時間になっていたらしいです。少し散策して、聖イジー修道院の宝物を堪能し、憧れの広場で写真をたくさん撮り、歩き疲れたので、坂を下りて、さきになにか食べることにしました。

 

 自家製スープとピザとホットチョコレートを注文したら、そのスープがおいしくて、冷え切った身体に沁み渡っていくようでした。寒さに弱く、すぐにくたびれる私は、このお店に入るまでは、このまま坂をくだって、次の目的地旧市街地へ行こうと思っていました。けれど、おいしいものを身体に入れると、急に力が湧いてきて、Rが「またさっきのところに戻ってみる?」と言ったとき、「うん、戻ってみようか」と答えました。

 

 休息とおいしいもので単純に元気になるマダム。

 

 広場へ戻ったらちょうど12時で、聖ヴィート聖堂の南塔の入口が空いていました。前のおじさんがお金を払って入って行ったので、私たちも続きました。そのときはきれいなステンドグラスが見られたらいいなぁ、というくらいの気持ちでした。けれど、私が思っていたのは聖ヴィート聖堂のステンドグラスのことで、私たちが入ったのは鐘楼の塔だったのです。たしかに入口にステンドグラスがあったけれど、私がみたかったミュシャのものではありません。

 

 流れにまかせて、階段を昇り始めました。のぼってものぼっても、ずううっと階段です。螺旋階段なので、目が回ります。ときどき上から人が降りてきてすれ違うのですが、すれ違うのがやっとなくらい狭いので、階段の端に立って待っていると落ちそうになります。シーズンオフで人が少な目だったので、すれ違いも、途中でひと休みしてもOKだったので助かりました。途中休憩なしでは登り切る自信がありません。

 

 あとすこしで天辺というときに、鐘が鳴り始めました。すごい音です。しかも、人の力で鳴らしているのです。おじさんが縄にぶらさがるようにして全身を使って鳴らしていました。鐘の音ってすごいなぁ。自分も空洞になって、中に音を響かせているような錯覚に陥ります。有無を言わせない迫力。「無」にされる感じ。

 

 ようやくぜいぜい言いながら、天辺まで登りました。ドアがあって、外にでられるようになっているのですが、高い場所は怖いし、風が冷たいので、私は中で座っていました。すると、Rが呼びに来て、せっかく来たんだから、ちゃんと外で見ないと、、という。半強制的に外へでてみると。思い描いていたとおりの広場が下に見えました。でも、高すぎて怖い。あとで調べたら90メートルもあったそうです。

 

 そして、来た階段を下ります。降りるときは私は結構すいすい降りたのですが、なかなか地上につかなくて。ようやく地上についたとき、今回はたまたまRと来たから上ったけれど、私と友達とか、妹とだったら、絶対あきらめていたな、と思いました。あれを昇ろうという気にはなれない高さです。下から見上げると、よく登ったなぁと感心しました。

 

 まさに、修行です。

 

 

コメント
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