うちから歩いて5分くらいのところに、水度神社(みとじんじゃ)という古いお宮があります。
そのお宮さんの石段をのぼって、いくつかある鳥居をくぐると、鴻巣山という小さな山に繋がっています。
桜の季節にはよく登ってお花見をしたり、桜見台という、桜が一望できる場所に座って、本を読み、持ってきたお茶を飲んで長いあいだぼうっとしているのが好きでした。
桜の終わるころになるとコバノミツバツツジの濃いピンクの花があちらこちらに見られるようになります。 木の枝を渡っていくリスを見ることもありました。
最近は桜見台へも鴻巣山へも行っていません。
少し距離を置いてみる桜の山は、うす桃色の雲の上にいるようで、それはすてきな眺めなのです。 距離をおくと見えてくることがあります。 人の本質や、弱ったものにどういう言葉をかけるのか、ふうん、へえ、と見ていると、ははぁん、なるほどと思って、お茶をもういっぱい飲みます。
いままでいろんなことがあったけれど、私は自分の人生を気に入っているし、きっと明るいほうへ向かっているんだと思っています。
真っ暗に思えたときだって、それは目を休めるための時間だったのかもしれないし。
自分に必要のないものは自ずから離れていくものだから。
きっと来年はおいしいお茶を水筒に入れて、桜見台に座って、桜の山を眺めていると思うと、いまから春が楽しみです。